最近あまり読まなくなったミステリですが、
読んだかと思えば、ほぼ確実にすり替えトリックにぶち当たるのは何故だろう。
![]() | 「一つ目の鬼を見た」と言い残して、名家・鬼田山家の人々は施錠された離れから次々と失踪した。さらに長男・柊也が毒殺されて捜査は混乱する。そこへ古今東西の薬と毒に精通する〈毒草師〉と名乗る御名形が現れ、『伊勢物語』になぞらえて一族の忌まわしき秘密と真相を暴く。QEDシリーズ一の曲者、御名形史紋の推理が冴える!(ノベルスより引用) 高田 崇史(著)『毒草師―QED Another Story』 |
講談社ノベルス『Q.E.D』の外伝的な位置づけでスタートしたこのシリーズですが、
本編を読んでなくても支障は全くありませんね、多分…。
かくいう自分もまだ本編での彼をまだ読んでいなかったり。
探偵(?)が歴史の裏に隠された真実を明らかにし、
歴史の勝者たる権力者たちの騙りを暴く、という基本的な形式は同じです。
そしてミステリそのものよりも、薀蓄の方が重要という形式も同じ(笑)。
おまけに、下手に感想文書くとネタバレの嵐になります。
ということで、以下、奥歯にモノの挟まったような感想文で失礼します。
こちらの毒草師・御名形史紋も、本編のタタル氏と同様クセが強い人物ですね。
つーか、服装が奇抜すぎて怖い。
真っ黒な長髪に真っ白のロングコート、真っ赤な皮手袋ですよ…わぉ。
まだタタルの方がとっつきやすそ…う〜ん、どっちもどっちか。
語り手は御名形のマンションの隣人で雑誌記者の西田君。
主人公でありながら最も災難に見舞われた青年です。
ネタ的にはこの作品、
『伊勢物語』と「一つ目」と「毒」、この3つがキーワードになってます。
まず、『伊勢物語』は、誰しも一度は高校の古典で習った歌が出てきます。
例えば、
「白玉か何ぞと人の問いしとき 露とこたへて消えなましものを」
ある男(在原業平)が懸想していた女房を拐して、ある小屋で一夜を明かしたものの、
その小屋は鬼の棲み処で、女房は鬼に食べられてしまう―という内容。
うん、これなら古典嫌いだった自分でも覚えてる。
いくつか紹介される歌の解釈だけでも、
当時の背景を知ることが出来て勉強になりました。
そして2番目の「一つ目」。
こちらは日本の一つ目だけではなく、西洋の一つ目も登場します。
場所は違えど両者に共通する特徴は…って、あれっ?
このネタは本編でも前に出てきましたよね。
えぇ、Q.E.Dでは常連さんです(笑)。
しかもこの一つ目、正確には一つ目の「鬼」。
「鬼」とくれば、ねぇ?
こちらも常連さんです。
最後に、『伊勢物語』と「一つ目」を結ぶのが「毒」ですよ。
今回の事件でも、毒が使われたわけですが。
御名形、専門は自ら毒草師と名乗るだけあって、
毒草に関する知識だけは惜しみなく披露してくださいます。
しっかし、別名が「断腸草」てなんと直接的な…。
はい、ということで面白く読ませて頂きました。
今春に出版された続編の『白蛇の洗礼』、
こちらは、千利休=キリシタンということで興味をそそられます。
ノベルスに落ちたら読もうと思います。



















道尾 秀介(著)『骸の爪』






