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2015-10-13

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 終末の聖母』読了。


久しぶりの積読本消化。

なんというケツァルコアトル祭り。

バチカンで法王選挙が行われる最中、美貌の天才科学者・平賀と古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルトは、有名彫刻家の作品の除幕式に出席するため、メキシコのグアダルーペ寺院を訪れる。だがその時、法王候補の名を刻んだ彫刻が、音もなく中空に浮き上がり、光り輝く神の道が忽然と出現した。果たしてこれは神の奇跡か、陰謀か!?黒い聖母に秘められた真実を追う2人の行く手に危機が迫る!大人気シリーズ、第7弾(文庫より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 終末の聖母』

表紙カバーは新キャラのチャンドラ・シン。
インド人ジャイナ教徒で、超がつくほど真面目な博士さん。でもちょっと精神不安定。
只今絶賛失踪中のローレンの後を継いで平賀に協力してくれる人なのですが、
ことあるごとにローレンに対抗心燃やすなんだかよくわからん人です。
んでもってそれをいち早くロベルトに見抜かれてるという、わかりやすい人でもあります。
なんだろ、ただ単にプライドが高いだけなのか、ローレンと確執があるのか…。
まぁ、それは今後徐々にわかってくることなのでしょう。
それにしても、最近のこのシリーズは
ロベルト&平賀が奇跡(の可能性がある)事件にリアルタイムで遭遇してしまうケースが多いですね。
以前はまず事件が発生した後、二人が調査に乗り出すというパターンが多かったもんだけど。

今回のテーマはラテンアメリカの文化と宗教。
ほとんど馴染みがなかったので、神話に登場する神々の名前や関係性を追うのが大変でした。
もうね、目が滑る滑る。
そして、なかなかに血生臭い雰囲気が漂っております。
アステカの文明がなぜこれほどまでに生贄を必要としたのか、
その理由が事件解明の鍵というかネタバレそのものというか…。
表層だけを見て「野蛮だ」と眉を顰めるのは良くないことですが、
生贄の儀式の描写やアステカ人の独特の価値観は現代人にとっては
ちょっと受け入れがたいものがありますわい。

以下、シリーズ恒例箇条書き感想文(途中ネタバレあり)。

・謎解きが地球を飛び出して宇宙まで行ってしまったのはこれが初
 …と思いきや、2冊前にもありましたね。
 ですがスケールの大きさはこちらが上でしょう。
 正直、ラストは壮大すぎてもう(゚Д゚)ポカーンと…。
・生贄の七面鳥「さん」w
・空気の読めない平賀の笑顔は天使だな
 んでもって、空気読めないがゆえに突如暴挙に出る天使
・時限爆弾タイマーの構造が目からウロコ。どっち切っても良いんだね!
・つか平賀、グロ画像は一応ワンクッション置いてから送信しないと。
・途中、ハッキングして平賀にヒントを教えてくれるローレン。
 嫌だわ、この子ったら「構ってほしくない構ってちゃん」なんだな面倒くせぇ。
・今回は平賀がすごく雄弁だったというか活き活きしていたなぁ、と。

寄生生物の話は不気味ながらも理解できますが
生物の進化とか真正細菌とか、んでもって地球と生物にとっての鉄(Fe)の重要性とか
の話になるともう「へぇ」「ほぉー」としか声が出ませんな。
ちょっと間違えば…いえ、読者によってはトンデモだとバカにされるネタでしたが
オカルトホラー寄りのSFロマンを感じられる1冊でした。

このシリーズ、積読してる間に新刊続々出て消化するのが大変です(知らんがな)。
続けて読んでいこうと思います。
posted by まるひげ at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2015-06-26

icon_45_b.gif『ヒポクラテスの誓い』読了。


図書館レンタ本。

初読の作家さんなのですが非常に読みやすかったです。
続編あってもおかしくないラスト。
さらに言えば、TVドラマにしても面白そうな話ですな。

凍死、事故死、病死……何の事件性もない遺体から偏屈な老法医学者と若き女性研修医が導き出した真相とは? 死者の声なき声を聞く迫真の法医学ミステリー!(アマゾン・レビューより引用)
中山 七里(著)『ヒポクラテスの誓い』

「あなた、死体はお好き?」
この第一声で強烈な印象を読者に植えつけたキャシー先生ですが、
読んでみたらこの死体好きの准教授女史よりも、
彼女の上司であるご老体の光崎教授の方がものすんごい存在感でした。
偏屈で傲岸不遜、口が悪いが解剖の腕は超一流という…。
この二人、実際に自分の周りにいたら怖いだろうなぁ。

主人公はひよっこ研修医・栂野真琴。
単位不足のために法医学教室に放り込まれた真琴が
光崎教授の解剖の腕と死因を特定する観察眼に圧倒され、
自らも法医学の世界に強く惹かれていきます。
ジャンルとしてはミステリーですが、主人公の成長物語的な側面もありました。

法医学教室に持ち込まれる遺体は、
ある時は病死、またある時は事故死であったりしますが
そのどれもが警察の調査を受け、不信性は無しと判断されたものばかり。
ところが、光崎教授はそれらの遺体の一部にわずかな違和感を覚え、
司法解剖によって本当の死因を突き止める、という流れとなっております。
法医学の世界的権威である光崎教授の解剖がなければ
真相が闇に埋もれてしまう事件ばかりなのですが、問題はその手段。
警察の要請を受けた案件はともかく、
時には犯罪に抵触、さらには違法な手続きを踏んでまで強引に解剖を行います。
光崎教授が解剖実績を異常なまでにこなす背景には何があるのか・・・?

という感じでありまして、
各短編(5編)のラストに残された謎が最終話で明かされる構成なのです。

法医学の話なので腹開いたり頭開いたりしてるんですが
それほどグロい印象は受けませんでした。
そして主要な登場人物は数人だけなのに、みんな個性強すぎ。
脇役の皆様は他作品にも登場しているそうなので気になる方は要チェックですぞ。
posted by まるひげ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2015-02-22

icon_45_b.gif『殉教カテリナ車輪』読了。


絶版ゆえ図書館レンタ本。

二度目ましての飛鳥部作品。
この作者さんは、本編読んでもあとがき読んでも
なんとなくひねくれてる(褒め言葉)感が滲み出てるのが好き。

憑かれたように描き続け、やがて自殺を遂げた画家・東条寺桂。彼が遺した二枚の絵、“殉教”“車輪”に込められた主題とは何だったのか?彼に興味を持って調べ始めた学芸員・矢部直樹の前に現れたのは、二十年前の聖夜に起きた不可解な二重密室殺人の謎だった―緻密な構成に加え、図像学と本格ミステリを結びつけるという新鮮な着想が話題を呼んだ、第九回鮎川哲也賞受賞作(アマゾン・レビューより引用)。
飛鳥部 勝則(著)『殉教カテリナ車輪』

至極フェアな叙述トリックでした。
最初からがっつり二度読み…とまではいきませんが、
読了後にパラパラと読み返してみると構成の端正さに唸ります。
最大のヒント(というか答えそのもの)はすべて序盤に揃っているのが憎らしい仕様。
伏線の張り方、ミスディレクション、クセのある登場人物、
んでもってタイトルと表紙カバーにも騙されますねこれは。

ストーリーは
自殺した無名の画家が2枚の油絵に描いた主題、
その画家が巻き込まれた20年前の殺人事件の真相
(犯人が1つの凶器でほぼ同時に2つの密室殺人を可能にしたトリック)、
これらの謎を解くのがメインとなっております。
また、この作品には、
根暗な中年男とミステリアスな若い女の悲恋物語というような一面もあります。
恋愛小説苦手な自分としては、感情移入することなく淡々と読み進めていったわけですが。
まぁ、切ないというかやりきれない話であることよ…。

それはともかく。
この作品で個人的にうまいなぁと感じたのは
第一に作品の構成、第二に図像学×ミステリの調和です。
美術における図像学(イコノグラフィー)をミステリと絡ませた手法は、発表当時には斬新だったそうな。
今ではいわゆる「美術ミステリ」のジャンルに分類される作品ですね。
ちなみにこの作家さんは洋画家でもあり、
作家自身の手による作中画の読み解きパートは結構引き込まれました。
逆に、図像学に興味がなければあまり楽しめない作品かもしれません。

作中で言及されていることでもありますが
現代画(しかも宗教画ですらないもの)を図像学的に追及することは
ナンセンスというかあまり有効ではないことのように感じられます。
にもかかわらず、
いざ問題となっている作中画を見てみると
図像学的に意味深な要素がガッツリ散りばめられているので、
主人公ならずとも思わずその意味を読み解いてみたくなりそうです。
posted by まるひげ at 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2015-02-14

icon_45_b.gif『死と砂時計』読了。


本編最終話でイイハナシダナー的展開となりながらも、
エピローグのラスト1ページでガッツリめっこり裏切られます。
読了直後は素直に「うわぁ…」って引く感じですが、
しばらくするとじわじわ効いてくる系のラストでありました。

世界各国から集められた死刑囚のみを収容する終末監獄。死刑執行前夜、密室状態の独房で、囚人はなぜ殺されたのか? 奇想と逆説に満ちた、著者渾身の本格ミステリ連作集(アマゾン・レビューより引用)
鳥飼 否宇(著)『死と砂時計』

中東の架空国にあり、世界各国から死刑囚が収容される「ジャリーミスタン終末監獄」。
主人公はアメリカで親殺しの罪に問われ死刑宣告を受けた青年・アラン。
このアランが、監獄で最長老である頭脳明晰なシュルツ老人と出会い、
監獄内で起こる事件を捜査していく…というストーリー。
探偵役はシュルツ老でアランは助手という立場です。
すべて死刑囚である囚人はもちろん、
看守も獄卒も医者も…クセのある人物がわんさか。

構成は連作短編集となっていて、6編収録されています。

・死刑執行前夜、なぜ囚人は密室となった独房で殺されたのか?
・なぜ囚人はわざわざ不利な条件のもと、脱獄することができたのか?
・監察官は、なぜ退官間近に殺害されなければならなかったのか?
・墓守の囚人は、なぜ墓を暴き、死体を損壊したのか?
・女囚人は、なぜ男子禁制の居住区で身ごもったのか?

たまに監獄のボスの気紛れで死刑確定の知らせが来る以外は
わりとユルめな素敵監獄ライフのなかで起こる不可解事件が5つ。
ちなみに最後の1編はアランの過去とシュルツの謎が語られており、
いわばこの物語設定のネタバレパートとなっているので割愛します。
それまでのわりとゆったりした雰囲気が漂う事件とは異なり、
主人公の死刑が確定してしまうというハラハラ感のなかで
怒涛の展開が待ちうけておりました。
そして、エピローグの衝撃の大きさよ…。

1つ1つの事件は綺麗にまとまっており、
不可解な事象が探偵により解き明かされていくところが小気味良いです。
細かいところで納得いかない点がありますが、なかなかに楽しめました。
posted by まるひげ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2015-01-30

icon_45_b.gif『オルゴーリェンヌ』読了。


ちょっと前から薄々感じてはおりましたが…この作家さん、結構ロマンチックですよね(笑)。

「悲しく美しい物語」とあちらこちらで見かける評判どおりの作品でした。
プロローグで語られる悲恋、エピローグで託された遺書が切ない。

書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった“小道具”をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが…。そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!(単行本より抜粋)
北山 猛邦(著)『オルゴーリェンヌ』

水没した世界で人類の滅びを待つばかり、という静かな終末感が特徴のシリーズ第2作。
海面の上昇により陸地から切り離され、海に残されたわずかな土地―海墟―に
数名のオルゴール職人たちが住まう「カリヨン邸」。
そこで起こる連続殺人事件と、事件の裏に隠された衝撃の真相が語られます。
読了後は、なんだか謎解きADVゲームしてたような感覚が残りました。
高画質だけどBGMとかSEほとんど無さそうなゲームね(ついでに操作性も悪そう)
それはともかく。
以下、ちびっとネタバレあります。

犯人当てやトリックの謎解きはさほど気にならず、
ただ物語の雰囲気に浸り、ストーリーを追っていくのが楽しかったです。
中盤がややなかだるみな感がありますがね…。

トリックについては、流石は北山作品ですな。
前作は物理というより叙述の方が際立っていましたが、
今作ではガッツリ物理トリック仕掛けてきましたね。
1件目の串刺し、2件目の転落死、
そして最後のトリックはうまく作動するかはなはだ微妙ですが、
密室となった堅牢な塔のなか、死者の側で鳴り続けるオルゴールという情景がなんとも言えません。

真相判明に至るまでは、事件解決の仮説がいくつか挙げられていて
「本当にそうなの?」と怪しみながら最後まで読みましたが…
これは犯人わからんわ。
探偵が到着してからも殺人事件が続くという状況なのに
犯人は探偵が来る前にすべての犯行を終わらせていて
しかも犯行現場に居る必要すらないってのがね…。
アリバイなんてあってもなくても関係ないじゃないの。

キャラについて。
主人公の素直なクリス少年と探偵役の少年検閲官・エノの間柄も前作と変化なし。
前作からほとんど時間が経過していないらしいので無理もないですね。
そして新キャラで事件のキーパーソンでもある少女ユユ。
この娘は口がきけないのですが、仕草や表情が非常に豊かで可愛らしいお嬢さんでした。
同じく新キャラの少年検閲官カルテ。
こちらは非常にあざとい奴です。また出てきそうな雰囲気。
少年検閲官が属する組織についても記述がありますが、その謎はまだ深いです。
さらに、対立する立場にあるクリスとエノの友情に似た関係は今後どうなるのか、
気になるところです。

個人的には前作の方が好きですが、今作は全体的により洗練された印象が強かったです。
気が早いけど、2016年度ミステリランキングには確実にランクインするでしょう。
posted by まるひげ at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2015-01-23

icon_45_b.gif『九つの殺人メルヘン』読了。


一昔前に流行った「本当はこわい○○童話」系統の本が読みたくなりますな。

彼女がワイングラスの日本酒を呷ると、確実なはずのアリバイが崩れ出す―!渋谷区にある日本酒バー。金曜日に現れる日本酒好きの女子大生・桜川東子が、常連の工藤と山内、そしてマスターの“厄年トリオ”と推理する九つの事件。グリム童話の新解釈になぞらえて、解き明かされる事件の真相とは!?興趣あふれるバー・ミステリー珠玉集、華やかに登場(文庫より引用)。
鯨 統一郎(著)『九つの殺人メルヘン』

都会の片隅の日本酒バーを舞台に、
セレブ美人大学生が殺人事件の謎を解き、事件を解決へと導くというストーリー。
大学で童話研究を専攻するお嬢様が、事故と思われていた事件を
グリム童話の解釈とともに洗い直し、犯人のアリバイを崩していく流れになってます。
1編が短め(40ページ程度)なのでサラリと軽く読めますね。
タイトルにあるとおり、9つの短編を収録。
全話をまとめる第9話のラストにはちょっと驚く仕掛けが待ってました。
参考までに目次を以下に。

・「ヘンゼルとグレーテルの秘密」
・「赤ずきんの秘密」
・「ブレーメンの音楽隊の秘密」
・「シンデレラの秘密」
・「白雪姫の秘密」
・「長靴をはいた猫の秘密」
・「いばら姫の秘密」
・「狼と七匹の子ヤギの秘密」
・「小人の靴屋の秘密」


それぞれのトリックは目新しいものはありませんし、
童話と殺人事件を関連づけるという設定のため、ところどころでこじつけ感があったり。
探偵の美人大学生の仮説が事件の真相を完璧に言い当てているというのもちょっと…ねぇ?
推測の域を出ないものだと思うんですが…。

個人的にはグリム童話の新解釈が興味深かったです。
童話だけでなく、日本酒の雑学や昭和のTV番組ネタが多く出てくるので
作者さんと同年代の方(40代?)なら、こうした脱線話もより楽しめるかと。
ちなみにこの作品はシリーズ化しており、4作目まで刊行中。
でも自分はこの1冊でなんか満足した感じかな。
posted by まるひげ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2014-02-28

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム』読了。


今月の積読本消化1冊目。

シリーズ初の短編集。
帯に「ファン必読&初心者歓迎」とありますが
今までの事件を踏まえての記述がいくつが見受けられますので、
初心者よりはシリーズ既読者が読んだ方が楽しいと思います。

奇跡調査官の初仕事を終えた平賀は、ある少年と面会することに。彼は知能指数測定不能の天才児だが、暇にあかせて独自に生物兵器を開発するなど危険行為を繰り返し、現在はバチカン情報局で軟禁状態にあるという。迷える少年の心を救うため、平賀のとった行動とは…(表題作)ほか、ロベルトの孤独な少年時代と平賀との出会いをえがいた「日だまりのある所」、ジュリアの秘密が明らかになる「ファンダンゴ」など計4編を収録(文庫より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム』

全部で4編収録。
どのお話もシリーズ登場人物の過去を描いており、
キャラの生い立ちや内面が詳しく語られています。
ちなみに今作はシリーズ恒例の奇跡調査の案件はないものの
悪魔絡みの事件が2本目と3本目に登場してるので
オカルト的色合いも残っております。
表題作が一番好みでした。

・「日だまりのある場所」
ロベルトの過去+平賀との出会い。
陽気で話好きな現在とは正反対だったロベルト少年。
孤独な少年時代を過ごす彼に、運命の出会いが…!ということで。
なんだか少女漫画にありそうな雰囲気です。
そしてロベルトと平賀の出会いはとてもかわいい。
ロベルトが平賀の世話を焼きたがる理由がよくわかります。


・「天使と悪魔のゲーム」
平賀とローレンの出会い話。
作中、平賀が語る「悪魔の子」の話、
この真相が分からないままなのが不気味楽しい。
前作ラストでローレンの秘密が明かされましたが、
もっと詳しい身の上がここで判明してます。
頭良すぎるのって周囲にとっても本人にとっても不幸なことだよねという話(違)。
そして自分の苦しみが聖書によって救われた、という平賀自身の過去も読んでみたいですね。

宗教と精神のあり方について二人が話すシーンが好きです。
論理的でありながら、どこか言葉遊びのようなテンポの良さが面白い。
本編でのローレン、平賀をサポートし続けたことからいい感じに
信頼関係を築けていたと思うのですが何故あんなことに…。


・「サウロ、闇を祓う手」
平賀とロベルトの上司である大司教サウロの若かりし頃。
エクソシストとして駆け出しの頃のサウロと
義父であり恩師でもある人物との会話が心に染みます。
サウロもなかなか壮絶な過去持ちさんで…。
エクソシストの現場は
「世界まる●え」とか「アンビリ●ボー」とかで時々見るシーンそのものですな。

・「ファンダンゴ」
金持ちの坊ちゃんが犯罪を犯すも持ち前の頭脳と美貌とカリスマで
世渡りしていく話、と思いきや…。
敵サイドである秘密結社「ガルドウネ」ジュリア神父の秘密が明かされております。
ジュリアはなんとなくバチカン上層部と繋がってそうな雰囲気を勝手に感じておりましたが、
実際はあの組織でしたか…第1作以来ですね。
ジュリアはまんま「私は死んでも代わりはいるもの」的設定ですが
本人はそう思ってないあのプライドの高さよ…厄介な。
posted by まるひげ at 20:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2013-10-23

icon_45_b.gif『アリス殺し』読了。


図書館レンタ本。

グロ・クトゥルー・SF要素ありのダークファンタジーミステリ。
見事に誰も救われないEDでした。

複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審死。驚愕の真相にあなたも必ず騙される。鬼才が贈る本格ミステリ(アマゾン・レビューより抜粋)
小林 泰三(著)『アリス殺し』

アリスといえば、
数年前にティム・バートン監督&ジョニデのタッグで
「アリス・イン・ワンダーランド」がありましたけど。
ナンセンスをハイセンスに描くことに定評のある監督には、
こちらの作品を映画化したら出来が良い映画になりそう。
・・・・・
それはともかく。

「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の世界観を元にしたミステリ作品です。
あらすじを補足すると以下の通り。

自分の夢の世界=「不思議の国」で起きた殺人が、
現実世界での殺人事件とシンクロしていることに気づいた主人公・亜理。
夢の世界でアリスは容疑者扱いされてしまい、
最悪の場合、女王によって死刑にされる恐れがあるという。
現実世界では、亜理は同じ夢を共有している同学年の井森と出会い、
アリスの容疑を晴らすために殺人事件を調べ始めるのだが…


という展開です。
なんつーか。
主人公の名前が「栗栖川亜理」ってとこからしてもう‟騙してやるぞ”臭が
プンプンして非常に胡散臭いです(笑)。
ミスリードされてるんだろな…と思いつつ読み進め、
やっぱり最後で盛大に騙されました。やられたわ。
読み返すと「その記述必要?」という描写が実は伏線だったり。
そもそも、あらすじ読んだ時点ですでに騙されてたり。

原作の不条理な世界観をうまく再現しているところがうまいですね。
特に、不思議の国の世界のキャラたちの会話。
話の腰折りまくりで噛み合わない応酬が延々と続くので、なかなかにイラッとします。
あと、特徴的なのは、殺害方法がエグかったりグロかったりして生々しいこと。
真犯人の動機なんかは割とどうでも良いんですが、
終盤、真犯人判明後から世界観の暴露という流れがスイスイ読めるのでスッキリでした。
読了感はスッキリとは程遠いんですがねぇ。
作風を受け付けない読者も多いだろうと予想されますが、
個人的にはこのブラックさと巧妙な物語設定は好きな方です。
他作品読みたいとまでは思わんけど。
posted by まるひげ at 02:18 | Comment(0) | TrackBack(1) | ミステリ | edit | web拍手

2013-10-02

icon_45_b.gif『人魚姫 探偵グリムの手稿』 読了。


9月の積読本消化2冊目。

作者は‟物理の北山”との称号がありますが、
個人的には‟叙述の北山”と思ってます。
でも、ふと考えてみたら、物理トリックが大掛かりなものになればなるほど
その舞台を隠蔽するため記述に工夫が必要になってくるので、
物理トリックと叙述トリックってカブる場合も多いのかな…とも思ってみたりして。

11歳の少年ハンス・クリスチャン・アンデルセンは、海の国から来た人魚の姫という少女セレナと、風変わりな旅する画家ルートヴィッヒ・エミール・グリムとともに、王子殺害の真犯人を追う!!(単行本より抜粋)
北山 猛邦(著)『人魚姫 探偵グリムの手稿』

アンデルセン童話「人魚姫」をモチーフとしたミステリです。
ジュブナイルっぽいのでさらりと読めます。

「人魚姫」の登場人物である王子様が殺害され、
容疑者となっている人魚姫の無実を晴らすために、
人魚姫の姉・セレナが人間の姿となって
アンデルセン少年と正体不明の青年・グリムとともに事件解決に乗り出す―


というあらすじです。

童話と史実が融合した世界観良いですね。さすが北山作品。
読み始めしばらくは、北山さんのことですから、
人魚っつーファンタジーな生き物は
「もしかしたら何かの比喩なのか?」と疑いながら読んでしまいましたが、
ガチで半身半魚でびちびちしてました。
あ、もちろん魔女も登場します。
探偵役はグリム(弟の方)で、彼は一足先に真相を掴んでいるのですが、
主人公であるアンデルセン少年にそれを教えてくれません。
なので、読者としてはアンデルセンの視点に沿って物語を追っていくことになります。

重要なのは「誰が、何のために」王子を殺害したか、という点。
各章ごとに挿入されるエピソードを読み進めるうちに、違和感を覚えてくるんですよね。
この違和感は何かと引っかかりながら読んでいくと、後半に来て設定が明らかになります。
まさか、あの人が登場するとは…。
いま思えば、帯にある
「フランス革命以降、政情不安な欧州。
結婚式直後に殺された王子。忽然と消えた侍女…。」
のコピー。
フランス革命〜が余計ですね。でもここが最大のヒントだったという…。
ミステリにおいては目新しい手法ではないのですが、
やはり素直に読んでると騙されてしまいますな。

気になるのはラスト。
重大な問題が残ったまま幕が引かれているのがちょっと不満。
童話×ミステリとしてシリーズ化しないかなぁ…。

以下、蛇足。
実はこっちを先に読んだ影響で米澤さんの『折れた竜骨』に手を出しました。
ジャンルとしては、同じファンタジーミステリだというのに、
両者のレビューを見ると、米澤派と北山派に微妙に分かれてるのが面白い。
ちなみに自分は北山派。
posted by まるひげ at 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2013-09-29

icon_45_b.gif『折れた竜骨』読了。


なにやらミステリ熱が沸いてきたので図書館から借りてみた。
…ちと期待しすぎたな…(小声)。

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?(単行本より抜粋)
米澤 穂信(著)『折れた竜骨』

本格ミステリというよりは、
ファンタジー冒険小説にミステリ要素を追加したような作品でした。

魔術が存在するという中世ヨーロッパのとある孤島が舞台です。
自然の要塞であるこの島で起こった殺人事件、
幽閉されていた塔から忽然と姿を消した不死者の青年、
伝説の「呪われたデーン人」が襲来するという不気味な予言、
そして事件の犯人は自らが手を下したことを魔術によって忘却させられている…
等々、なかなか楽しそうなお話であります。

主人公は孤島の領主の娘・アミーナ。
彼女の視点で物語が語られます。
このアミーナ、父親から「お前が男であったら…」と言われる程に
聡明でしっかりした娘さんなんですが。
読んでるとどうにも腹に何か抱えてる感じがして気になりました。
アミーナが探偵役の魔術騎士・ファルクとその従士の少年・二コラとともに
事件の真相に迫っていくという展開です。
ところどころ反則トリックと余分な描写がありますが
それほど退屈せずにさらりと読めるかと。

作品の重要な要素である魔術。
これには制約があるのでなんでもアリ、というわけではないのです。
この魔術の制約が、論理的に謎が解明される点に貢献していると同時に
いくつかの事象にはご都合に使われている感があります。
領主の死に関係する諸々の謎が解かれるシーンは、
伏線が回収されてスッキリなんですけれども、
終盤で犯人がわかっても驚きがなかったのは何故なんだ…。

ちなみにラストが良い雰囲気でした。
アミーナと二コラの複雑な心理と両者の関係性の描写が、
物悲しくも希望を持たせるようなシメとなってます。
可能性は低いでしょうが、続編あってもよさそうな雰囲気ですな。
二コラが主人公とか良いんじゃないスか。

以下、印象に残ったもの3点。
・「呪われたデーン人」の襲撃シーンは
 まんま「パイレーツオブカリビアン」な情景だよな、と。
・個人的には暗殺騎士に登場して欲しかったな、と。
・戦う巨女はカッコいいな、と。
posted by まるひげ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2013-01-12

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 ラプラスの悪魔』読了。


今月の積読本消化1冊目。

表紙はFBIのビル捜査官。
今回ラストでとんでもない受難が降りかかる可哀想な人です。

アメリカ時期大統領候補の若き議員が、教会で眩い光に打たれ謎の死をとげた。議員には死霊が憑いていたとの話もあり、事態を重く見た政府はバチカンに調査を依頼。平賀とロベルトは、旧知のFBI捜査官ビル・サスキンスと共に、悪霊を閉じこめているという噂のゴーストハウスに潜入する。そこでは、政財界の要人しか参加できない秘密の降霊会が開かれていて、さらに驚愕の事件が発生する。天才神父コンビの事件簿、第6弾(文庫より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 ラプラスの悪魔』

怪奇現象、人体消失の謎に迫るシリーズ第6弾。
ダンジョンとなっているゴーストハウスは、
ウィンチェスター・ハウスがモデルとなっており、
おどろおどろしい雰囲気が不気味でステキ。
その他、秘密結社、テスラの世界システム、フィラデルフィア実験など
トンデモから陰謀まで、今巻もオカルト好きにはたまらん要素がもりだくさんです。
そして物理学や数学、超科学な薀蓄がこれでもかと。
ド文系の読者にとっては文字を追う目が滑りまくりの内容かと。
ところが、そんなボリュームもラスト40ページの衝撃に霞みますね。
次巻へ続く不穏な伏線が気になりまくり。
あ、言うまでもないこととは思いますが神父2人の仲はいつもの通りです。
どちらかというと平賀 → ロベルトへの信頼感が強いような。

以下、シリーズ恒例箇条書き感想文(途中ネタバレあり)。

・今回の謎解きはついに地球を飛び抜けましたよ!
・数式を全部ひらがなで表記するとまさに魔法の言葉ですな。あくまのじゅもん。
・どうでも良いがマイヤー警察長の扱いw
 異次元で幸せに暮らしていることを祈るばかりです。
 でもふと考えたら、ブラックホールに吸い込まれた後、
 ホワイトホールから出てくるときに五体満足でいるわけがないわな物理的に。
・ビル家の秘密はなんという暗転オチ。
・つーか、ビル弟、気づいてたんなら兄貴に喋れやw
・やはり美味しいところを颯爽とかっさらっていく真打・ジュリア。
・意味深ですねぇ、ロベルトに対するジュリアの「本物の嘘つき」発言。
 彼は平賀狙いかと思ってたらロベルトも欲しいとな。この欲張りさんめ!
・でも確かに、よりいじめ甲斐があるのはロベルトですな。
・ロベルト → 平賀は「救世主」ってそこまでかよ!そこまでなんだね!ハイ了解!
・ローレンの監督は平賀で良かったのか上層部…。

されさて。これまで秘密にされてきた平賀の助っ人・ローレン。
今後どうなることでしょう。
次巻の短編集では彼のストーリーも語られるというので楽しみであります。
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2012-11-29

icon_45_b.gif『怪談』読了。


図書館レンタ本。

うーん…どれも都市伝説どまりだな。
柳さんのオマージュ作品ってイマイチ振るわないような気がする。

鮮やかな論理と、その論理から溢れ滲み出す怪異。小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『怪談』を、柳広司が現代の物語として描き直した異色のミステリー(アマゾン・レビューより引用)。
柳 広司(著)『怪談』

小泉八雲の「雪おんな」「ろくろ首」「むじな」「食人鬼」「鏡と鐘」「耳なし芳一」
を元ネタに作者が現代風にアレンジしたもの。
原作を知らない状態で読めば、はっきり言って“ただの怖い話”。
さらに言うなら、怪談というよりはミステリ色が濃い作品です。
どの話も、基本的には「生きている人間が一番怖い」というオチ。
ですが、それだけでは説明がつかない不可解な謎が残っている話もあり、
そこが背筋寒くなる感じですね。

以下、簡単にあらすじ紹介をば。
前半3編はミステリ寄り、後半3編は怪談寄りです。

・パーティーで出会ったコンパニオンの女性に惹かれた理由とは…「雪おんな」
・合法ドラッグの横流しが発覚した医師が、証拠隠滅工作の最中に見落としたもの…「ろくろ首」
・帰宅途中のサラリーマンが殺人事件の犯人に仕立てあげられ…「むじな」
・警察官が冷凍コンテナのなかで発見したもののなかに人肉らしき塊が…「食人鬼」
・見知らぬホームページの管理人にされた女性。彼女を陥れた人物とは…「鏡と鐘」
・「6日間の特別ライブ」の後、若手ミュージシャンが手にする“成功”…「耳なし芳一」


どれが一番好き、という程にお気に入りのものはありませんが(少しは媚びろ)
強いていうなら「耳なし芳一」かなぁ…。
構成的には「むじな」が好み。
そして、これ読むと本家の小泉八雲版『怪談』も読みたくなります。
寒い時にあえての怖い話というのもオツなものです。
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2012-11-03

icon_45_b.gif『デッドマン』読了。


図書館レンタ本。

シリーズ化しても良さそうな作品ですな。
「先が気になって仕方ない!」…ってわけでもないのに
気づけば一気読みしてました。所要時間2時間ドラマぶん。

東京で身体の一部が切り取られた猟奇死体が次々と発見された。鏑木率いる特別捜査班が事件を追う中、“死体から蘇った"という男から一通のメールが届く。自分を殺した犯人を突き止めるために協力したいとあり……(アマゾン・レビューより引用)。
河合 莞爾(著)『デッドマン』

第32回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作品。
エンタメ警察ミステリ…というよりはサスペンスドラマ的な読み口でした。
バラバラ殺人事件やら医療事故やら、凄惨な内容のわりにはさらりと読めます。
犯人の詰めの甘さ、後半の展開のベタっぷり等、
粗いところはあるけれどテンポの良さとキャラ造詣は高得点でありますな。

メインの登場人物は刑事4人。
仕事熱心ではあるもののイマイチ冴えない中年警部補・鏑木。
鏑木の同期で体育会系の正木、
お坊ちゃんで傲岸不遜な刑事オタクの姫野、
真面目で神経質な犯罪プロファイリングの専門家・澤田。
この4人が協力したりどつきあったりしながら連続殺人事件を解明していく展開となります。

そんな警察サイドと並行して描かれるのが、
事件の被害者たちの身体の一部を寄せ集めて生まれた「デッドマン」の物語。
最初は身体を動かすこともできなかったこの人物が
徐々に人間らしく動くことができるようになるにつれ、
自分がつくられた理由、元の身体の持ち主たちを殺したのは誰かを知るために
あろうことか警察とコンタクトを取ろうと動き出します。
両者の接触により、状況が大きく進展するのですが…。

正直、ここらへんでからくりが読めてくるんですよね(苦笑)。
…えぇ、わかっておりますよ。
死体を寄せ集めて人間を作り出すっつーネタからして釣りであると。

謎解きとしては、鏑木が推理した「犯人の狙い」がポイント。
怨恨でもなく変質者によるものでもなく隠蔽が目的でもないとされるこの連続殺人事件。
首無し・胴体無し・手足無しの死体が出てくるので、
現場から持ち去られた部分に犯人の目的があると考えるのが順当。
ところが、犯人の意図は「(身体の)残りの部分を置いてくる」ことにあったのではないか、
という発想の転換が最大のヒントですな。
あんまり言ってしまうと面白くなくなるのでここまで。

iPS細胞のくだりがとてもタイムリーなネタだったり
プロファイリングや鏑木の推論法、
叙述トリック的要素があったりと細部も楽しく読ませて頂きました。
あと、退職した中山の刑事魂が一番かっこいいと思うんだ。
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2012-05-27

icon_45_b.gif『幽女の如き怨むもの』読了。


怪異パートが怖くないなぁ。
それよりも、苦界に生きる花魁たちの悲哀が印象に残りました。
事件の真相についてはやや納得いかない部分もありますが、
従来のシリーズとは一味違った作品として面白く読ませていただきました。

戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた三人の花魁が絡む不可解な連続身投げ事件。誰もいないはずの三階から聞こえる足音、窓からさかさまに部屋をのぞき込む何か…。大人気の刀城言耶シリーズ最新書き下ろし長編!(単行本より引用)
三津谷 信三(著)『幽女の如き怨むもの』

シリーズ長編6作目。
今回、探偵役の刀城言耶は事件に巻き込まれるわけではなく、
過去の怪事件を取材・調査することによって、事件の真相に迫ります。安楽椅子探偵ですな。
ちなみに、
第一部…戦前、花魁の日記
第二部…戦中、遊郭の女将の語り
第三部…戦後、怪奇小説家の雑誌掲載記事
第四部…刀城言耶の推理
という構成です。
戦前、戦中、戦後が舞台ですが、
せいぜい10〜20年くらいのスパンなので登場人物はまるかぶりです。
混乱なく読み進められるかと。

読みどころはなんといっても第一部。
とある貧村から親の借金のカタに遊郭に売られた少女「緋桜」の物語。
田舎出身の少女が花魁となり、身請けされるまでの生活を、
彼女が記す日記という形で話が進んでいきます。
遊郭が舞台なので、お決まりのエグい描写もあります。
ですが、この章のラストは意外にも(?)ハッピーエンドなので、肩透かしを食らってしまいました。
いつにない展開に釈然としない思いを抱きながらも、とりあえず
「辛いこともあったけど、最後はちゃんと良い人とめぐりあえてよかったね!」という感想。

第二〜三部は、花魁の周囲の人々の視点で身投げ事件について語られます。

そして第四部、探偵の刀城言耶が登場することで、
3つの事件それぞれに合理的な解釈がなされます。
花魁たちの間で恐れられていた「幽女」の正体もここで解明。
…ちょっとこじつけな感もあるような…。
そんなこんなで、
いつもの刀城節が炸裂しないまま終盤を迎えるのですが、最後の最後に罠が(笑)。
「追記」、コレでしょう。
当事者から話を聞くことが困難であったにもかかわらず
推論とはいえ、なんとか事件の解決に導いた刀城。
ところが、わずか2ページの「追記」により
事件にかかわった、ある人物の存在が曖昧になることによって一気に怪異色が濃くなっております。
…でも正直、この仕掛けには少し無理がありますよ。
「ヒザクラ」と「ヒサクラ」の読みの違いだけというのはいかにも説得力が弱い。
たとえ読み方が違っても、取材するときに漢字表記で確認するでしょうに…。
posted by まるひげ at 01:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2012-02-20

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架』読了。


今月の積読消化本2冊目。

読了後まず思ったのが「これゲームで遊びたい」でした。
謎解きありダンジョンあり暗号あり…アドベンチャーゲームなんかでどうスか。

英国での奇跡調査からの帰り、ホールデングスという田舎町に滞在することになった平賀とロベルト。ファイロン公爵領であるその町には、黒髪に赤い瞳の、美貌の吸血鬼の噂が流れていた。実際にロベルトは、血を吸われて死んだ女性が息を吹き返した現場に遭遇する。屍体は伝説通り、吸血鬼となって蘇ったのか。さらに町では、吸血鬼に襲われた人間が次々と現れて…!?『屍者の王』の謎に2人が挑む、天才神父コンビの事件簿、第5弾(文庫より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架』

吸血鬼の謎に迫るシリーズ第5弾。
今巻もツッコミ所多数で楽しく読ませていただきました。
ブラム・ストーカーやらドルイドやら世界に広がる(…といってもヨーロッパメインですが)
吸血鬼伝説のアレコレを読めたのは素直な意味で楽しかったです。

今回はいつものような奇跡調査の案件ではなく、
調査を終えた帰り道で起きたトラブルがきっかけで
事件に首突っ込むことになったロベルト&平賀。
古くから吸血鬼伝説が残るとある田舎町で起こった連続殺人事件。
人間の手によるものとは考えられない犯人の痕跡、目撃者が語る吸血鬼の姿、超常現象、蘇る死者…
というネタが出てきて、
実際にロベルト&平賀も吸血鬼らしき人外の者の姿を目にすることになります。
イギリス国教会とカトリックという宗教の壁により調査に支障が出てたのは良いですね。
これまではカトリック圏ばかりが舞台だったので。

それと今回は、いつもよりやや残酷度高い事件が多めです。
残酷っていうかサイコっていうかカニバっていうか。
ちなみに、吸血鬼の正体はなんとなく予想つくネタかと。

いや、それは良いんだけど、
連続殺人事件の真犯人についてのロベルトの思考が飛びすぎで二度読みしちまった。
ここはもう少し容疑者の過去調べるとか…
ワンクッション欲しかったところですな。
あれだけの材料で真犯人があの人だっていう結論には至らないと思うんですがね。
あと微妙に未消化のまま残った謎がいくつかありました。
…まぁ、文句はここまで。

以下、シリーズ恒例箇条書き感想文。

・ふたりの仲は前回よりひどくないです。
・事故った直後、朦朧とした意識で助けを求めて扉を開けたらあの光景。ひどい仕打ちだ。
・牧師ンとこの美少年が地味にキャラ立ってたのは必要だったのだろうか
・さらに町長がロベルト狙ってたとかいう小ネタも必要だt
・空気が読めない平賀と読まない教授。
・ここんとこ災難続きですね、平賀。
・つか、平賀が○○だってことは確認しなくて良いんですね教授!
・『屍王学』の内容凄い。何が凄いって中2病的設定が。
・ロベルトの「平賀危機感知センサー」精度高すぎ。
・「暴食」の助手逃げて! 超逃げて!!と思う間もなく
  平賀逃げて! 超逃げて!! という展開に
・マントはいわゆる嵐の相●くんが実験してたミラーマン(@「透明人間になれるのか?」)
・起承転結のバランスw 444ページあるうち「転結」がラスト65ページて…。
・生ローレン!

ラストは例のあの人の影がチラつく不穏な雰囲気で〆。
次巻登場しますかね!
posted by まるひげ at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-11-03

icon_45_b.gif『QED〜ventus〜御霊将門』読了。


「今夜はヒ○トリー」見て思い出した感想文をうp

将門は怨霊なんかではないんだよ!
な、なんだってー!?


…という話。

靖國神社を皮切りに、築土神社、神田明神、首塚、兜神社、烏森神社、稲荷鬼王神社、鎧神社、さらには成田山新勝寺へ。お花見に出かけたはずの棚旗姉妹と桑原崇だったが、いつしか将門ゆかりの地を巡る小旅行に。日本を代表する大怨霊、将門の真の姿とは、朝廷からの理不尽な要求をはね除けた救世主だった!? (文庫より引用)
高田 崇史(著)『QED 〜ventus〜御霊将門』

崇徳天皇、菅原道真と並び日本三大怨霊の一人に数えられる平将門。
今回、祟は「将門は怨霊ではない」ということを証明するため
いつものメンバーを従えて将門ゆかりの地を巡ります。
さらに前々作『熊野の残照』でも登場した神山禮子が再登場。
今回、彼女は無自覚ながらもストーカー被害に遭ってます。
ストーカーさんの視点で語られるシーンもあるのがとてもおキモイ感じです。

まぁそれはどうでも良いとしてともかく将門ね将門。
時の権力者(朝廷=藤原氏)に逆らったことで怨霊にされてしまった将門。
公文書の記述を別の角度から読み解くことによって
見えてくる将門の別の姿が明らかになっております。

特に今回は評価の変遷や靖国神社問題、
終戦直後の国会議事堂の設計に関わる謎など
将門は伝説が多い人物だけに、次から次へと関連資料が出てきます。
ここらへん詳しくないので、ところどころ置いてかれそうになりましたわい(苦笑)。
そして将門にまつわる数々の怪異の解釈から、
次作のテーマ「河童」へと続いていくわけです。

蛇足として目から鱗ポイントをおひとつ。
将門と桔梗とのつながりで安倍晴明、
しまいには光秀にまで発展するとは思わなかったですね。
桔梗紋が裏切りの象徴となってしまったのは、
光秀が信長を裏切ったからという事実ではなく
その後に光秀が秀吉との戦いに負けたことに起因するものだという祟&奈々の会話。
確かにそうだわ。
でも直感的に前者で考えてしまいがち。
それが歴史の勝者のイメージ戦略の恐ろしいところです。
posted by まるひげ at 02:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-10-10

icon_45_b.gif『よろずのことに気をつけよ』読了。


婆怖ぇ。
厭な予感はしたんだ、あの山中の小屋なんて雰囲気ばっちりじゃないか…。

被害者は呪い殺されたのか!―謎が謎を呼ぶ、呪術ミステリーの快作。変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は?呪いと殺人の謎に文化人類学者が挑む!第57回江戸川乱歩賞受賞作(アマゾン・レビューより引用)
川瀬 七緒(著)『よろずのことに気をつけよ』

図書館レンタ本。
タイトルと民俗学+呪術+ミステリーという文句に惹かれて読んでみました。
呪い絡みの殺人がテーマになってるだけに、作中なかなかに凄惨な描写があります。
呪術や念仏、犠牲供物などに関しては肝の冷える話で楽しかったです。
ところが、読み終わってみたら
ミステリーというよりは2時間サスペンスドラマのような印象が残っちまいました。

ストーリーは、
大学で文化人類学を研究する学者先生(仲澤)が
被害者の孫である強気な娘(真由)に押しかけられ、
殺人事件の調査を依頼されるところから始まります。
真由の祖父が50年余りに渡って呪われ続けた末に殺害されたこと、
その方法が専門家の立場から見ても異質な方法であることを疑問に思った仲澤が、
被害者の死の謎に迫る、という展開です。

作者さまがせっかちなのか、
物語スタート時点ですでに殺人事件は起きており、
調査を開始してからも
ひとつの謎が解決する間もなくまた新たな謎が次々と出てきます。
登場人物たちの行動も早い早い。
物語の展開も会話シーンもテンポが良いので、すらすら読み進められます。
肝心の事件の真相は…特にオチが現実的ではありませんが
物語としては希望が見えていて暗いものではなかったです。
もしかしたら“仲澤&真由”コンビでシリーズ化されてもおかしくない感じ。
「そうなったら読むか?」って聞かれたら…正直なところちょっと悩むなぁ。

ちなみにこの作品は乱歩賞受賞作品なので
巻末収録の選考委員の選評を読めるのもひとつの楽しみとなっております。
個人的には、警察の関与について指摘されてる京極氏の意見が興味深かったですね。
京極氏曰く
「無能な警察機構が事件そのもの=作品の成立に不可欠になってしまっている」点がいただけない、というもの。
リアリズムの問題や創作部分と現実描写のバランスなどは
普通の読者はあまり考えないところなので、目からウロコな思いが致しました。
posted by まるひげ at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-08-23

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ』読了。


いい加減この本の感想文書かねば。
奇跡調査官シリーズ第4弾。

いやぁ、それにしても。
催眠術ってこわいですね!!(一言でわかるネタバレワード)

奇跡調査官・平賀とロベルトのもとに、バルカン半島のルノア共和国から調査依頼が舞いこむ。聖人の生まれ変わりと噂される若き司祭・アントニウスが、多くの重病人を奇跡の力で治癒したうえ、みずからも死亡した3日後、蘇ったというのだ!いくら調べても疑いの余地が見当たらない、完璧な奇跡。そんな中、悪魔崇拝グループに拉致された平賀が、毒物により心停止状態に陥った―!?天才神父コンビの事件簿、驚愕の第4弾!(文庫より引用)
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ』

舞台はバルカン半島の架空小国。
聖アントニウスの生まれ変わりと噂される若き司祭・アントニウスが起こした
「奇跡」の真偽を見極めるため調査にやってきた平賀とロベルト。
そこで2人はアントニウス司祭によって引き起こされる数々の奇跡を目の当たりにする。
綿密な科学的調査を行うも、疑わしいところは全くない。
ところが調査の途中、ひとりの神父が不可解な死を遂げる事件が発生。
さらに平賀が悪魔崇拝を掲げる犯行グループに拉致されてしまい…

というお話です。
…あらいやだ、公式あらすじとほとんど同じじゃないの!
楽しいのはこの後にやってくるスーパー謎解きタイム。
もうね、今回の謎解きは間違いなく反則。
ところが、そこが一番面白いところなのが困ったところ。
…まぁ、純粋にシリーズ1巻から読んでる人で
この作品を「ミステリ」だと思って読んでる人はいないと思うので
こうなったらこのノリを楽しむしかない。
(…とか言いながらジャンル分けは「ミステリ」にしてるというこの矛盾よ)

感想文書くのにパラパラ読み返してみたんですが、
聖書からの引用や同じシーンの繰り返しの記述が効果的な部分とそうでない部分がありますね。
さらに、中盤がやや冗長な印象を受けました。
あのいわくありげな親子(バンゼルジャ&コプト)…
特に息子の方、もう少し事件に絡んでくるかと思ったんだがなぁ。
しかも、平賀の危篤でちょっとキ印気味のバンゼルジャ神父の死因なんかどうでもよくなる。
殿方ならば股間押さえて内股になってしまいそうな死に様でしたが、
「そんな事件もあったね!」程度になってしまいます。

以下、いつもの箇条書き感想文。

・ロベルト、ウドルフ調査官の勧誘をスマートに拒絶…見習いたいなこの断り方
・アントニウス司祭、いつも半裸はどうかと思う
・なんだか平賀、言動が幼くなってませんか?
・今回の最終兵器・ユーゲンハイム翁
 →「これで殺したのは数人しかおらん」→ 平賀2度目の命の危機
「僕は結構、君のことを何も知らないんだ」→ ロベルト、相棒タラすな。平賀もそこで赤面すな。
・今回の“秘密の小部屋”も、たどり着くまでがまるでゲームの攻略
・ロベルトの「新発見」無限ループw
・アルキメデスの熱光線…そんなうまくいくはずが(ry
・ちょ、イエズス会大丈夫なの
・ラストの2人…余所でやれ。 ピザ屋の親父困るがな。

そんな感じでした。
今回は科学的調査結果がオールグリーンで
「いよいよ奇跡認定来るか!」という展開だったものの…残念。
死者復活という究極とも言える奇跡をかましてしまったので、次回のネタが気になります。
posted by まるひげ at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-07-03

icon_45_b.gif 『毒草師 白蛇の洗礼』読了。


事件の真相に関わる、とある人物の特異体質は
伝奇小説とかファンタジー小説だったら問題なし。
でも現代ミステリでやられちゃ困るわー。
フィクション作品におけるリアリティというものは、
(作品のジャンルによって)許容範囲が曖昧かつ変動的なもんだなぁと考えてしまった作品でした。

…まぁ結局何が言いたいのかといいますと

山風のね、
甲賀忍法帖のね、
あの人(=陽炎)と同じなのね!

ということでありますよ。

濃茶の席で、裏千家教授、大澤信郎の次男・祐二が毒殺された。調査を始めた編集者の西田は、容疑者とされる美女・神凪百合の疑いを晴らすため、事件解明に全力を注ぐ。しかし、その後も続発する毒殺事件を前に自力解決を諦め、隣室に住む、自称〈毒草師〉の御名形史紋に相談を持ちかけた。数日後、関係者一同の前に颯爽と現れた御名形は事件の謎を看破し、大澤家に脈々と息づく秘密を暴き出した! (アマゾン・レビューより引用)
高田 崇史(著)『毒草師 白蛇の洗礼』

シリーズ第2弾。
毒草師・御名形の登場シーンは前作よりも少ないです。
じゃあ薀蓄も少ないか、と言われたらそうでもなく。
日本だけではなく、エジプトやらギリシャやらインドやらの毒草ネタが満載です。

まずはあらすじを簡単に。
今回も、主人公は巻き込まれ体質のしがない編集者・西田くん。
会社の上司に毒殺事件の調査を押し付けられ、
事件の関係者が開催するお茶の教室に通いながら、事件の真相究明に努めます。
ところが、最初の毒殺事件が解決されないうちに第二、第三の殺人事件が発生し、
西田はマンションの隣に住む「毒草師」御名形史紋の助けを借りることになり―。

といった展開です。

そもそも自分、利休=キリシタン説に釣られて読んでみたものの、
このテーマに関しての解釈は期待したほどでもなかったです。
利休がキリシタンだったか否かはひとまず置いておくとして、
登場人物の問答によって利休の死をめぐる謎が次々に出てくるのは、
読んでいて楽しいところでした。
ということで、毒やら茶道の薀蓄については文句ありません。

しかし…。
事件の真相ともいうべき設定部分にいささかの無理がありまして、
どうにも納得いきませんでしたわ。
ネタ自体は非常に面白いものだと思うのですが、ミステリにおいては無しですよ。
しかもそのことを確かめるために御名形が行った実験は、あれ立派な犯罪だし。
さらには真犯人の心理がちょっと不可解です。
幼い頃から世話になってた親戚のおじちゃんとあんなことになるかね…ならんよね。
posted by まるひげ at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-04-17

icon_45_b.gif『水魑の如き沈むもの』読了。


登場人物のセリフが語尾に「け」がつく方言で、なんとなく気が抜けるけ。

奈良の山中の村で、珍しい雨乞いの儀が行なわれるという、村に豊かな水をもたらす湖には水魑という神様がいるとも―。その儀式の最中、刀城言耶の眼前で事件は起こる。さらに儀式の関係者が次々に不可解な状況で殺されていく。二転三転のすえに示された真犯人とは…。刀城言耶シリーズ長編書き下ろし(単行本より引用)。
三津田 信三(著)『水魑(みずち)の如き沈むもの』

シリーズ5作目。
2010年の本格ミステリ第3位で第10回本格ミステリ大賞受賞作。
事件が起こるまで時間がかかるのはいつものこと。
真犯人にたどり着くまでの刀城の推理が二転三転なのもいつものこと。
ここまでシリーズ読んでる方にとっては、十分満足できる内容ではないかと思いますです。
あ、あと、偲ちゃんがなかなか積極的になってて驚きました。
でも相手が刀城だからなぁ…頑張れ。

振り返ってみると、正一の存在感がなんだか浮いていた気がします。
「はじめに」で注意があるような記述方法の違いという点だけではなくて。
事件の当事者である正一の視点で語られる章と
探偵である刀城の視点で話が進む章とでは、
2人が接するシーンがほぼゼロだからかなぁ…?
ここはもう少し接点があっても良かったと思うのです。

刀城が聞いた山犬の鳴き声や
神への供物である「神撰」に対する2人の宮司の態度の違い、
何気なく描かれる箇所が伏線となってるのがうまい。

ちなみにこのシリーズ、事件が解明された後も「あれは一体何だったんだ…」
というホラー部分が残るのが作品の特徴となってます。
(それさえも合理的に解体されてしまう作品もありましたが…)
その部分の正体をも明らかにしてほしい、という方もいらっしゃるようですが、
個人的にはそのままでいい派です。
この方のホラーは雰囲気が良いんだわー。
泥女に鬼女、ボウモン、大陸からの引き上げ船上の「忌まわしいもの」、
天井からにゅうっと降りてくる首(夢オチ)等の怪異パートはテンション上がります。
ところが気になったものがひとつ。
偲が座敷牢で体験した怪異。
これだけは正体わかって欲しかったなぁ。偲は部外者なだけに一層謎です。
…もしかして痴呆気味の汨子バァさんか?

もうひとつ。
第1作『厭魅の如き憑くもの』の舞台である「神々櫛村」出身の人物が登場します。
しかし、怪異大好きなはずの刀城がこの村のことを覚えていない、
というのがウスラ怖い気がしました。
でもちょっと考えたら
ただ単に「厭魅〜」の事件がこちらより後、という話なんでしょう、多分…。

そんな感じでした。
そろそろ出そうな次回作『幽女の如き怨むもの』が楽しみです。
もうタイトルからしてw
そういえば、夏には刀城の学生時代が舞台の短編集も出る予定だそうで、こちらも期待です。
posted by まるひげ at 22:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2011-04-08

icon_45_b.gif『ベンハムの独楽』読了。


星新一のような乙一のような伊坂幸太郎のような道尾秀介のような…。

ふたつの肉体にひとつの魂、五分先の未来が見える災い、文字で飢えを凌ぐ男の幸い、グロテスクな双子の仕打ち、冷笑に満ちた大人の仕返し。「奇蹟」と呼ぶほかない連作短篇。第5回新潮エンターテインメント大賞受賞作(単行本帯より引用)。
小島 達矢(著)『ベンハムの独楽』

良いですね、これ。読んでて楽しかったです。
タイトルの如く、くるくると回る白黒の独楽が目の錯覚で色彩を持つように、
それぞれ異なる雰囲気を持った短篇作品が9つ収録されてます。
ミステリかと思いきやホラーだったり、たまにSFだったり…
「色々書いてみました」って感じの連作短編集。
連作とありますが、各作品の繋がりはそれほどでもありません。
ある作品のキャラが他の作品でもちょろっと登場する、といった程度です。
ラストの作品の主人公が呟いた、わずか2行の独白により
最初の作品の世界と繋がるところなんかうまいですね。

一行あらすじとタイトルを以下に。

・ふたつの肉体にひとつの魂をもつ双子の姉妹「アニュージュアル・ジェミニ」
・五分先の未来が見える男「スモール・プレシェンス」
・傘と祖母と水族館の思い出「チョコレートチップ・シースター」
・ようちえんのおともだちのひみつ「ストロベリー・ドリームズ」
・コンビニ立て籠もり事件の真相「ザ・マリッジ・オヴ・ピエレット」
・宇宙の果てを目指した博士と助手「スペース・アクアリウム」
・文字で飢えを凌ぐ男「ピーチ・フレーバー」
・“一生を夢に捧げる覚悟はあるか?” 「コットン・キャンディー」
・深夜のタクシーで繰り広げられる復讐劇「クレイジー・タクシー」


結構ダークな雰囲気の作品もいくつかあります。
個人的にはそういうの好きなんですけど、
あえてこの作家さんには青春モノを描いて欲しいなぁ、という印象を持ちました。
「ピーチ・フレーバー」とか「コットン・キャンディー」
あたりがサワヤカで良かったです。青春ばんざい!!

ところどころ、表現の仕方や文章の選び方に引っ掛かるところはあるものの、
とりあえず次回作出たら読んでみようと思いました。

あ、最後にわからないことひとつ。
あらすじにある「グロテスクな双子の仕打ち」って
「スペース・アクアリウム」のことですかね?
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2011-03-29

icon_45_b.gif『私たちが星座を盗んだ理由』読了。


なんつーか、
北山作品はやっぱりこうじゃなきゃ!! という興奮とともに読み終わりました。
『少年検閲官』と同じようなにほひがしたので、
読む前から叙述トリックに警戒しながら読んでたんですが、
今回設置されていた罠は、「最後の一撃」でした。
構成が見事です。

これぞミステリの醍醐味 全てはラストで覆る!恋のおまじないに囚われた女子高生の物語『恋煩い』、絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語『妖精の学校』、孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語『嘘つき紳士』、怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語『終の童話』、七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語『私たちが星座を盗んだ理由』(新書より引用)。
北山 猛邦(著)『私たちが星座を盗んだ理由』

帯にあるとおり「優しく、美しく、そして残酷な」物語でした。
現代が舞台の「恋煩い」「嘘つき紳士」「私たちが星座を盗んだ理由」の3編は
「世にも奇妙な物語」に選ばれてもおかしくない雰囲気。
どれもラストでオワタ\(^o^)/感があって鮮やかにエグられます。
まるひげ的に一番好きなのはファンタジーな「終の童話」かな。

・恋のおまじないに囚われた女子高生の物語「恋煩い」
幼少期の男女3人組が長じるとロクな関係になんねぇよって前に言ったべや!(訛)
…まぁそういうお話です。
ラスト一行の衝撃度はすごい。
あと、ネタバレになりますが「プロバビリティの殺人」と「未必の故意」てイコールか。


・絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語「妖精の学校」
あぁ、それで登場人物みんなが鳥の名前なのね…。
「妖精の学校」の正体を導くラストの数字が示すものがわからないと「??」となります。
…これは素直にググるなりヤフるなりした後もっかい読み返せ、という話ですね。
余談ですが、読んでる最中これ ↓


西澤 保彦(著)『神のロジック 人間のマジック』

のような不安感を味わいました。
設定がちょっと似てるだけなんですけどね。


・孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語「嘘つき紳士」
別タイトル「狸と狐の化かし合い」。
やっぱりしたたかなのは女の方だよね!


・怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語「終の童話」
初登場時からくさいくさいと思っていた美形の探偵役がやっぱりくさかった。
リドル・ストーリーとなってますが、
自分としては石像砕いた方がなんとなく救いがあるような気がする。


・七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語「私たちが星座を盗んだ理由」
病弱な姉をもつ妹が、姉の同級生で幼馴染でもある少年に恋心を抱くのですが
3人の勘違いが取り返しのつかない結果を生んでしまう、という悲劇。
このオチは…主人公救われないなぁ…orz。
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2011-03-08

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』読了。


ライトなほうの奇跡調査官シリーズ第3弾。

今回も平賀&ロベルトの互いの信頼度が半端ない。
読んでるこっちが恥ずかしくなりますよおふたりさん!
信仰のよりどころが相棒っていうのは良いですね。えぇ、非常に良いと思いますよ。

イタリアの小村の教会から申告された『奇跡』の調査に赴いた美貌の天才科学者・平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。彼らがそこで遭遇したのは、教会に角笛が鳴り響き虹色の光に包まれる不可思議な『奇跡』。だが、教会の司祭は何かを隠すような不自然な態度で、2人は不審に思う。やがてこの教会で死体が発見されて―!?『首切り道化師』の伝説が残るこの村に秘められた謎とは!?天才神父コンビの事件簿、第3弾(文庫より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』

「ハーメルンの笛吹き男」をモチーフとした今回の事件、
お話がスムーズに展開するのでシリーズのなかで一番読みやすいかと。

ローマに程近い小さな村の教会から奇跡申請を受け、調査に赴いた平賀&ロベルト。
その村では「まだらの道化師」という伝説が語り伝えられていた。
調査を始めた数日後、教会内で身元不明の少年が殺害される。
殺害現場を映したビデオカメラには、まだらの服を着て白い仮面を被った人物がいて…。

という流れで、さらにこの後、
殺害現場から姿を消した司祭が死体となって発見されたり
32年前に起こった「首切り道化師」殺人事件とのつながりが明らかになったり
前作の事件の黒幕である秘密結社の存在がチラついたり
終盤が冒険小説的wktk感だったり…
と楽しい展開が待っております。

今回問題となった「奇跡」とされる現象は、
ミサの途中、
@主の訪れを告げる角笛が鳴り響き
A教会は虹色の光に包まれ
Bキリストの磔刑像がまるで生きているかのような色彩へと変化する
というもの。
これらの現象もいつのものように科学的に解明されてます。
ネタバレしちゃうと
@地下の機械音と教会の共振 Aコカインによる幻視 Bチェンジカラー塗料
途中、ご都合な点もいくつかありますが、まぁ笑って許そう(偉そうに)。
そして今回の事件でさらにガルドウネの厄介さが大きくなってます。


以下、シリーズ恒例箇条書き感想文。
・序盤が『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』な件について
・スパイですか? なんだか怪しいウドルフ調査官
・現役時代の古傷が疼いて事件の匂いをかぎつける元エクソシスト・サウロ大司教
・検死途中の内臓が散らかってるのを背景に、清らかな天使の笑顔の平賀
・前作より萌え度はやや下がり気味かな。え? 何の萌えって…そら決まってるじゃないですかw
・ガルドウネの不思議なダンジョン
・つか、この洞窟は右手法で出口にたどり着けないタイプの迷路なんじゃ…
・どうでもいいお二人は『死の部屋』へ
 → ジュリアお前好き嫌い激しい性格だろ
・ラストの謎解きは本当にゲームの攻略ですよね
・正直、ジュリアはもうちょっと平賀にご執心なのかと思ってた
・ちょ、トロネス司祭の死因w

この調子だと、今後は文庫で発売されるのでしょうか。
…というのも、
ラストがこのままシリーズ終わっても不思議じゃないような雰囲気で…続くよね、これ!?
続いてちょうだい!!
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2011-03-04

icon_45_b.gif『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国』読了。


積読本を消化。
実は去年読み始めて、第1話で挫折 → 放置だったんですが、
読書メーターにこれだけ1年以上も「今読んでるもの」カテゴリに入ってるのが不憫になり
頑張って読み終えてみました。

朽ちぬ死体と生きる屍、アルプスに轟く獣の咆哮、千里眼を持つ女性…。世界各地で次々と報告される「奇蹟」の真偽を判定するため、若き奇蹟審問官・アーサー・クレメンスは、ヴァチカンより放たれた。怜悧な論理力と深き信仰心をもって彼は「超常現象」に挑む。著者渾身の、あまりに壮大な本格ミステリー(新書より引用)。
柄刀 一(著)『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国(バグズ・ヘブン)』

世界各地で起こる、まるで「奇蹟」のような不可思議な現象を
科学の力を借りて、論理的に謎を分解していくミステリの第2弾。
ということで、ここで起こる事件はすべて宗教に絡むものです。
(最後のお話はちょっと特殊ですけど)
柄刀作品は久しぶりに読みましたが、舞台づくりが本当に上手い作家さんです。

でもなー…正直、今回はちょっと厳しいなぁ。
なんというか、出来すぎというか無理があるというか…。
殺人の動機までが犯人固有の宗教観となってるので、いまいち納得いかない。
さらに今回は推理部分がやや弱いです。
「おそらく〜だった」「多分〜ということではないか」という推測や仮説で終わりがち。
しかも、第2話の事件は「自殺」だったわけだから。
ちなみに肝心の事件の真相は、
共振周波数とか屍蝋とか、昨今のTV特番なんかで放送されるようなネタでした。

以下、ひとことあらすじ。

・「バグズ・へヴン」
パミール高原にほど近い土地を訪れたアーサーだが、調査対象の女性・ライラが殺害されてしまう。
千里眼を持ち、土地の者たちから敬われていた彼女が殺された理由とは―。

・「魔界への十七歩」
アーサーは神学校の大先輩・シュテファンの招きを受け、オーストリア山岳地帯の別荘を訪れる。
ある夜、別荘の離れでショテファンが銃で撃たれ命を落とすが、
その場に犯人の姿はなく…。

・「聖なるアンデッド」
ペルー中部のとある土地に
死してもなお腐敗せず生前の面影を残す神父の調査に赴いたアーサー。
その地では、最近「人の血を好むアンデッド」が徘徊するという噂が流れていた。
調査が進むうち、アンデッドの存在が現実味を帯びていき―。

・「生まれゆく者のメッセージ」
チベットを舞台とした輪廻転生話。オマケ小話。


1番のボリュームで、最も読み応えがあるのは第3話の「聖なるアンデッド」でした。
準主人公(?)の神父が錯乱していく心情描写が気持ち悪い。

飄々とした雰囲気をもったアーサーの先輩・バレト神父が、
問題の奇蹟の審問だけでなく
異端と囁かれるアーサーの監視も兼ねていた、という設定とか美味しい。
今後も出てきてほしいものです。
そういえば、アーサーの弟くんの方の新刊はなかなか出ませんね…。
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2010-12-06

icon_45_b.gif『QED 神器封殺』読了。


え、なにちょっと待ってネパール人?
ミステリでありながら殺人事件パートがひどいのはいつものことですが
わかっていても久しぶりにポカーンとなりました。
そして相変わらず記紀の神様の名前覚えられん…。

毒草師を名乗る男・御名形史紋と熊野で出会った薬剤師・桑原崇。病院のオーナーが何者かに日本刀で斬殺されるという事件に端を発し、謎は古代日本へと広がる。崇と史紋が突き当たった重大な謎を解く鍵は、三種の神器と、古の神々を祀るべく日本全国に散らばる神社にあった。美しい解。これぞQEDの真骨頂(文庫より引用)。
高田 崇史(著)『QED 神器封殺』

QEDシリーズ11作目。
前作『QED〜ventus〜熊野の残照』に引き続き、舞台は和歌山です。
これは上下巻として考えても良いですね。
事件も登場人物もカブってるので。

本編で初登場の毒草師・御名形史紋。
自分はスピンオフ作品の方を先に読んでいたので心の準備は出来ていたつもりなのに…。
濃いわぁー…2人の対話。
2人だけの学会ですね。
タタルと同レベルで話ができる時点でもう他キャラ置いてきぼり。

今作は、個人的にはメインの「三種の神器」=「蛇」もそうですが
勾玉=曲魂や朝蜘蛛&夜蜘蛛の解釈などの
ちょろっとした薀蓄部分も楽しく読ませて頂きました。
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2010-04-08

icon_45_b.gif『QED〜ventus〜熊野の残照』読了。


まさか、QEDシリーズで叙述トリックが読めるとは…。
確かに読んでる途中にあれっ?という箇所がちらほらありましたなぁ。

人には言えないある理由から、故郷・熊野を捨てた26歳の薬剤師・神山禮子。何かに衝き動かされるように参加した熊野旅行で、彼女は…。後鳥羽上皇たちは、なぜ苦行の熊野詣でを繰り返したのか?牛王宝印にかけられた呪と、八咫烏の正体とは?崇が神話の本質を暴くとき、禮子の真実が溶け出していく(文庫より引用)。
高田 崇史(著)『QED〜ventus〜熊野の残照』

今回のストーリーは、タタル&奈々は直接事件にはかかわらず、
語り手兼主人公の神山禮子の過去に起きた事件が
毎度のことながら民俗的テーマに関わっている、という構造です。
タタルのウザさもパワーアップしております。
普段は奈々の視点から語られるタタルの変人っぷりですが、
第三者から見たらさらに変人度が割り増すことを覚えておかなければなりませんね。

そしてこの第三者の神山さん、やけに百合くさい独り言を呟くなぁ…
と思ってたのですが、それにもちゃんと理由があったということで。
それにしても、彼女の身に起きた過去の事件のそもそも原因、
あれは流石に時代的にちょっと…と感じましたがどうでしょう。

個人的には、今回の歴史の「騙り」もタタルの「語り」も結構厳しかったです。
いやーもう、難しくて何がなんだか!
一番致命的だったのが、
自分が古事記と日本書紀の知識がしっかりしていない
というどうしようもない点なんですけど。

ちなみに、事件は次の作品「神器封殺」へと繋がるので、
さっさと読まないと…忘れる…(汗)。
posted by まるひげ at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2009-10-13

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官 Truth2 サタンの裁き』読了。


買おうか買うまいか悩んでた時にウッカリ図書館覗いたら入荷してたのが決定打ということで図書館から借りましたがしっかりしたイラストついた本を受付カウンターで借りるのはちょいと恥ずかしいですな(一息)。

そしてやっぱり、このシリーズはカタカナを読むのが楽しい。
うん、そんなとこが楽しいのは確実に自分だけだってわかってる…。

天才科学者にして、真理究明の申し子―平賀・ヨゼフ・庚。古文書・暗号解読のエキスパート―ロベルト・ニコラス。天才神父コンビが新たに挑むのは、腐敗しない死体の謎!天使の奇跡か、悪魔の罠か…。バチカンの密命を受け、2人が動き出す―(アマゾン・レビューより引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官 Truth2 サタンの裁き』

前作よりも読みやすさ、引き込みが強いと感じました。
遅読の自分でも2時間かからずに読了。ラノベ並の早さ。
つーかむしろ こ れ は ラ ノ ベ 。

約2年ぶりに出た新刊です。
主人公は変わらず天才(+美形)神父コンビの平賀&ロベルト。
今回の舞台は、どうやらアフリカの架空都市らしいです。
高温多湿の劣悪な環境のなか、死後一年半を経過してもなお腐らない神父の死体。
しかもその神父ヨハネ・ジョーダンは高名な預言者でもあるという。

調査に赴いた平賀とロベルトだが、途中、殺人事件に遭遇してしまう。
そしてヨハネが遺した預言のなかには、ロベルトの死までが記されていた。
やがて調査が進むとともに、教会のまわりで不可解な殺人事件が発生する。
果たして「奇跡」は本物か、「預言者」ヨハネは聖人なのか…。

ということで、今回の調査のネタは「腐らない死体」です。

大筋は「奇跡」の謎を科学的に解明していく、というものなのですが、
その合間に土着信仰の魔術やら中世ヨーロッパの裏歴史やら、
ミステリ&オカルト的要素がふんだんにもりっと盛り込まれてるので退屈しないです。
作中、わかりやすい程に怪しい人物が数人出てくるんですが、
結局はその全員が加害者サイドだった、という(苦笑)。

そして前回と同様、既読の方だけがわかる箇条書き感想文。
今回、ロベルト頑張った!辛かったな!!
・それもそうだが平賀とロベルトの仲ァ!前作よりひどいというか濃ゆいです。けしからん。
・平賀、虫歯なくてよかったね。
・天秤w
・今回もあった秘密の地下部屋w
・ジュリアそこで何してたのー!?
・そんなジュリアのお眼鏡に平賀がかなったようです。
ということで、次回エライ目に遭うのは平賀ですか。

こんな感じ。

ちなみに、メインの「腐らない死体」の真相は、
「ふーん」という、まぁ妥当といえば妥当なモノでした。
しかしそれ以上に驚かされるのが、終盤の怒涛の真相暴露。
ここがこの作品のキモですな。
ほんとに最後の最後まで気が抜けません。
バチカン上層部の裏、カソリックの暗部とも繋がる、なにやら先行き不安というか
読む立場としてはむしろ期待で一杯なラストでございました。
これでこの作品が完全に続きモノになりましたが、
もう少し刊行ペース早くなって頂きたいなぁ。
だって前作絶版(?)になっとる…orz
posted by まるひげ at 00:52 | Comment(4) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2009-05-26

icon_45_b.gif『密室の如き籠るもの』読了。



猪丸家に突然、謎の女が現れる。その名は、葦子。狐狗狸さんのお告げを伝える彼女が後妻に来てから、何かがおかしい…。そんなある日、屋敷の二階で密室殺人が起きた。惨事の元凶は狐狗狸さんなのか、はたまた…。旧家をおそった凄惨な事件を、刀城言耶が解明する(「密室の如き籠るもの」)。表題作ほか、全4編収録。シリーズ最新作登場!(ノベルスより引用)
三津田 信三(著)『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』

「如き〜」シリーズ最新作で、初の短編集。
表題作以外はどの短編も50ページくらいなのでさらさらっと読み終えられます。
長編と比べると、どうにも迫力がないですね…。
いや、ファンだから読みますけれども!
えぇ、たとえ次作も短編集であっても読みますとも!!

・「首切の如き裂くもの」
バカミスすれすれ…!?なトリック。
ぽーん、ぽーん、とまるくて美味しいそうな凶器が(苦笑)。

・「迷家の如き動くもの」
4つのなかで自分的に一番好きです。
山の怪談と遠野の伝承「マヨヒガ」をうまく絡めた内容。
一番怖いのは生きてる人間だよね。

・「隙魔の如く覗くもの」
手のかかるトリックだなぁ、と…。
これだって、一番怖いのは生きてる人間だという話。

・「密室の如き籠るもの」
別名・コックリさん殺人事件。
探偵のこれでもかという考察に閉口(笑)。
ラストのどんでん返しなんですが…アレはちょっと納得できないなぁ。
posted by まるひげ at 00:37 | Comment(2) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2009-05-23

icon_45_b.gif『山魔の如き嗤うもの』読了。


なにやら随分前に途中まで書いてた感想文を発見したので
ついでにアップしようと思います。

山魔に嗤われたら……終わり
忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者―。村に残る「六地蔵様」の見立て殺人なのか、ならばどうして…「あかじぞうさま、こーもる」そして…。六地蔵様にまつわる奇妙な童唄、消失と惨劇の忌み山。そこで刀城言耶が「見た」ものとは…(単行本より引用)。

三津田 信三(著)『山魔(やまんま)の如き嗤うもの』

そういえばこの作品、去年の「本格ミステリベスト10」の1位作品でしたっけ。
前作『首無の如き祟るもの』の完成度が高かったので、
どうなるかちょっと心配だったんですけど、杞憂でした。
構成という点では前作に軍配が上がるでしょうが、こちらも十分に楽しめました。
謎解きまでが結構長いんですが、
まあこれはいつものことなので覚悟はしてます(笑)。

相変わらず、「とある村人の体験談」系の怪談が良いですね。
こんな目に遭いたくはないけど話は聞きたい、というレベルの怪談。
ちゃんと怖い部分は面白く読ませてくれるし。
やはり、怖い話において「決して振り返ってはいけない」て言われたら
とりあえず振り返らないとね!
話進まんさ。
ずらっとびっしり鈴成りに並んでる山女郎、
自分の想像ではメガテンの脱衣婆みたいなルックスかなぁと…(どうでも良い)。

今回も、トリックのキモは「入れ替え」でした。
山中から突然消えた一家の謎を追うものなんですけど。
でも流石にわからないですよこれは!
連続殺人犯の正体は結構わかりやすいんですがねー。
ちょこちょこ話題にはのぼるのに、
実際に出てくることはない人物といえば、そう多くはありません。

あんまり書くとネタバレになるので、ここまでにしときます…。
三津田作品は、そろそろ「如き〜」シリーズ以外にも手ェ出してみたいなぁ…
と思っておる今日このごろです。
posted by まるひげ at 00:35 | Comment(5) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2009-04-18

icon_45_b.gif『鬼の跫音』読了。


久々の道尾作品。
作者初の短編集です。
長編でも読みやすいですが、短編なら輪をかけて読みやすい。
早い人なら1時間かからず読み終えられますね。

心の中に生まれた鬼が、私を追いかけてくる。―もう絶対に逃げ切れないところまで。一篇ごとに繰り返される驚愕、そして震撼。ミステリと文芸の壁を軽々と越えた期待の俊英・道尾秀介、初の短篇集にして最高傑作(アマゾン・レビューより引用)。
道尾 秀介(著)『鬼の跫音』

いやぁブラック。
この作品を単語で表してくださいと言われたら、狂気、不安、暗黒…というような、
イメージとしては、どろどろした人の闇の部分がじわりと不気味に滲む感じですかね。
「犯罪」という一言では表しきれない、
常軌を逸している登場人物の行動に「うわぁ…やっちまったな…」と呟くこと数回。

形式としてはミステリ、印象としてはホラー、という読了感でした。
どんでん返しが良いですね。
読み直して、文章の巧さに脱帽です。
いやぁ、これは騙されるわ!
とりあえず最後まで読んでどんでん返され、
最初に戻って伏線を確認する…という作業をすること請け合いです(笑)。
でも、騙されても嫌な気分ではなく、
気分良く「してやられた!」感が味わえます。

まるひげ的に特に好きなのは、最初の2本。
「鈴虫」と「(ケモノ)」がね、もう見事です。
あのラストは想像つかないわ。
やっぱり叙述ミステリは良いなぁ…ムフフ。

そしてこちら、短編が6作品収録されていますが、
それらすべてに登場するのが、鴉と「S」という人物。
と言っても、この「S」氏は同一人物ではないんです。
何故、匿名なのかがわからないのですが、
匿名にしたことにより正体が不透明さを帯び、
ある種の不安感を駆り立てられます。
不気味な人ばっかりだし…。

蛇足。
ちょっと意地が悪いですが、
以前読んだ『儚い羊たちの祝宴』での紹介文の方が
こちらの作品に合っているかと思います。
posted by まるひげ at 02:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2009-03-01

icon_45_b.gif『虎と月』読了。


先日買った本を消化。
中島敦の『山月記』に想を得た、ミステリ仕立ての作品。

父は虎になった―。そんなこと、簡単に信じられるものではない。しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。その詩には、虎になった人間にしかわかりえない、悲痛な心の叫びがこめられていた。父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。父がどうして虎になったのかを知りたい。それが波瀾万丈にして、不思議な旅の始まりだった…(単行本より抜粋)。
柳 広司(著)『虎と月』

1時間ちょっとで読んでしまえるようなライトなものでした。
主人公の少年の成長物語にもなってました。
そういやこれ、「ミステリYA!」シリーズからの創刊だったんですね。どおりで(笑)。
感触としては『百万のマルコ』に近い感じです。

あらすじは紹介文の通りなんですが、
ちょろっと付け加えると以下のような感じです。

「いつか自分も虎になってしまうのではないか」という漠然とした不安を抱え、
ぼくは虎になった父と会ったという父の知人のもとへ訪れた。
その後、父が虎になる直前まで滞在していたある村へ辿り着き、
そこでぼくは、父が虎になった所以を知る―。

ポイントは、「虎」と「漢詩」です。
ぅおっとこれ以上言ったらネタバレになる!
なんつったって柳作品ですから、
このあらすじだって額面通りに読めませんよって。
posted by まるひげ at 14:04 | Comment(4) | TrackBack(1) | ミステリ | edit | web拍手

2009-02-27

icon_45_b.gif『雲上都市の大冒険』読了。


今日、会社の電気ポットの「出湯」ボタンが「出撃」に見えました。
見間違えた瞬間、何が出るのかちょっとワクッとした自分は
日常生活に必要な何かが絶対的に足りない気がします。
…常識、とか判断力、とかそのあたりな。

それはそうと。
以前の記事に書いた本、やっぱり気になったので読んでました。
「探偵」という存在も、結構ファンタスィでございます。

鉄筋アパートが立ち並び、福利厚生の行き届いた雲上の楽園、四場浦鉱山。その地下牢で、二十年後の脱獄と殺人を予告した怪人・座吾朗―。ついに巻き起こる連続殺人。そして殺人現場に残された血文字の謎。牢から一夜で消えた座吾朗が犯人なのか?探偵たちが雲上都市で繰り広げる、新感覚の推理活劇(単行本より引用)。
山口 芳宏(著)『雲上都市の大冒険』

以前の記事では、この作品が「けっこう無茶が通ってるらしい」と書いたんですが、
実際読んだら、かなーり無茶やってました
無茶というか破天荒というかバカミスというか。
カバーのあらすじには「推理活劇」とあります。
まさにその通りで、この作品、推理小説というより「活劇」という感じでした。
「脱出不可能な状況から忽然と消え失せた人物が、
予告していた通りに連続殺人をやらかす」という設定、
これだけでもミステリ好きはウホッwと食いついてしまうってなもんです。

犯人とされる男が二十年以上も監禁されてた理由や、
それに伴う連続殺人の動機はなんとなく予測がつくんですが、
何よりも印象に残ったのは、確実に実行不可能なあのトリック。
これ知った後には、
ヒロインがあっさり被害者になるのも、
探偵の一人が挫折して一時退場するのも、
そして事件の背景なんてのも、もうどうでも良くなってきます。
そんだけ強烈なあのトリック。

さらに、キャラで読ませる部分が結構あると思うのですよ。
他にはあまり見られない「探偵が2人、助手が1人」という形式です。
探偵その1:義手の片手を持つ学ラン姿の多弁な真野原。
探偵その2:白のスーツを着こなす気障でタラシな荒城。
助手:しがない弁護士。

助手、大変です(苦笑)。

探偵2人の関係も微妙です。
ライバルというわけでもないし、
協力して捜査にあたるわけでもないんです。
作中で言及されていた、両者が関わった「過去の事件」というのが気になります。

自分としては、この作品の雰囲気は好きですね。
この種の物語の背景としては、大正〜昭和初期ってうってつけ。
次作もそのうち読んでみようと思います。
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2009-02-09

icon_45_b.gif『踊るジョーカー 名探偵 音野順の事件簿』読了。


去年読んだまま放置してたミステリの感想文です。

カバーイラストは『少年検閲官』と同じ絵師さんですねー。ほんわり。

推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで、仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく(単行本より抜粋)。
北山 猛邦(著)『踊るジョーカー 名探偵 音野順の事件簿』

ゆるい!

なんだ、このゆるさは!!

というのが、読了後の感想だったことを覚えています。
今までの北山作品にはないこのマッタリ感。
まさか、コージー・ミステリとは…!
ダークな終末感を期待した自分は、見事に肩透かしを食らいました(笑)。

引きこもりニートな探偵とその友人が助手、という設定です。
となれば、まず坂木さんの作品を思い出しますが、
『踊る〜』の方は、
助手が勝手に探偵事務所を開いて、
引きこもりに半ば強制的に仕事をやらせるというもの。
ただ読んでるだけでも時々イラッとくる主人公のひきこもり探偵・音野順。
彼を応援するのが、なにやら金回りが良さそうな友人の推理作家・白瀬。
この2人が遭遇する事件が、短編で5本収録されてます。

帯に「キュートでコミカル、しかし心は本格ミステリ」とあります。
まさにそんな感じ。
心意気は本格ミステリ。
時にバカミスすれすれ(笑)。
大掛かりな物理トリックはないものの、事件の不可能さは流石に北山作品です。
そして、相変わらずモノの扱いがうまいですね。


う〜ん、これはこれで面白いと思うのですが、
正直、自分としては〈城〉シリーズや『少年閲覧官』の方が好きです。
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2009-01-23

icon_45_b.gif『儚い羊たちの祝宴』読了。


昨年末から気になってた作品に挑戦してみました。
米澤作品初読みです。
結論から言いますと、期待しすぎましたね(苦笑)。
ミステリーじゃなくて…弱ホラーとして読んだ方が良いかも。

ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至芸でもある。本書は、更にその上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的にこだわった連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ(アマゾン・レビューより引用)。
米澤 穂信(著)『儚い羊たちの祝宴』

5つの作品が収録された短編集です。
紹介文には「ラスト一行の衝撃」にこだわった、とありますが、
1話を除いてラスト一行ではないです。

大概の話が、起承転結の「転」の場面でダークな展開になっていく感じかな。
どの作品も歪んだ狂気が潜む人間の裏面を垣間見るような、
あるいは、じわじわと世界が闇に浸蝕されるような、
ウスラ寒い話となっております。

どの作品も、やや凋落気味の上流階級のお屋敷で起こった事件が、
語り手の告白という形で綴られています。
ちなみに、各話の主人公はみんな女子です。

すべての短編に共通するのは「バベルの会」という大学の読書サークル。
ひとつの作品では、主人公が所属していたり、
また違う作品ではその名前だけが出ていたり。
最後の短編でこの会の正体が明かされることになります。

…なんつーか。
結局は、好みの問題だとは思うのですが。
それぞれの話は、よくまとまっていて読みやすくはあるものの、
自分の好きなダークの方向性とはちょっと違いました…。
人を焼くだの食べるだの、嫌だわ、そんな話!
posted by まるひげ at 02:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-11-26

icon_45_b.gif『妃は船を沈める』読了。


忘れた頃にかつくらネタ投下。
前月買ったかつくら秋号のレビュー見て気になった1冊です。

どうせ読むならコッチ↓だろ?


有栖川 有栖(著)『火村英生に捧げる犯罪』

という感じなんですが、

こちらの方↓では、W.W.ジェイコブズの『猿の手』についての解釈がなされている、
という点に惹かれて読んでみました。

所有者の願い事を3つだけ、叶えてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女の周りに集う男たち…。臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理が奇妙にねじれた難事件。有栖川有栖の長編本格ミステリ最新作(日版「MARC」より引用)。
有栖川 有栖(著)『妃は船を沈める』

なるほど。
『猿の手』の魅力は寸止めにあるのだね!
…じゃなくて。
あのホラー小説は、ミステリ的解釈も可能であるということを、
大変面白く読ませてもらいました。
しかし、こんなこと思いつくのは
キャラ的には火村よりアリスなんじゃないかと思いますよ。

あ、とりあえずストーリーの紹介をば。
短編集である国籍シリーズとは違って、第1部と第2部に分かれています。
もともとはこの2作品、別々の作品だったそうですが、
単行本化する際に再構築し、このような形になったようです。
火村&アリス読むのは久しぶりだったんですが、
さら〜っと読めるのは相変わらずです。

第1部では、
他殺の疑いのある男の転落死事件を調査する火村とアリスは、
事件との関与が疑われる女のもとへ赴く。
若い男たちを囲って暮らす“妃”と呼ばれた、その女の真意は―。

第2部では、
第1部での事件の後、別件の殺人事件を調査中の火村とアリスは、
偶然にも事件の参考人となった“妃”と再会する―。

というものです。
どちらの作品においても、
事件の重要な参考人となる“妃”と火村の対決が見物ですよ。

作中、アリスがやけに詩的でした。
そして火村先生もどことなくシリアスです。
ツッコミにくいよ先生!
この作品、著者も「はしがき」で書かれてますが、
全体的にもの哀しい雰囲気が漂っています。
原因はおそらくあの酒場…。

うーん、
でも一番面白かったのはやっぱり『猿の手』論議…(わかったから)。
posted by まるひげ at 01:16 | Comment(4) | TrackBack(1) | ミステリ | edit | web拍手

2008-11-18

icon_45_b.gif『ジョーカー・ゲーム』読了。


いや、だから書かなきゃいけない感想文は他に(ry

フラリと遊びに行ったlazyさん宅にて、
自分が以前この本を買ったことを思い出しました。

それにしても、最近の柳作品の面白さは異常。
既成概念にとらわれることで見えなくなる事実、
鮮やかな伏線とミスディレクションが今回も輝いております。

結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成功を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく(単行本より抜粋)。
柳 広司(著)『ジョーカー・ゲーム』

この作品最大のツボは、なんといっても結城中佐。
悪魔的な魅力をもち、「魔王」と怖れられる元スパイ。
…とんでもない人です。
おっさん万歳!!
最終話のラストは卑怯だ…ッ(悶)!!

5話収録の短編集。
“D機関”という組織に反発する者、組織の卒業生、
そして組織を去る者を通して描かれております。
戦中のキナ臭さと緊張感が漂う
東京、横浜、上海、ロンドン各都市での、スパイ活動が語られます。
「死ぬな、殺すな、とらわれるな」という結城中佐の戒律が印象的ですね。
普通なら、何かにとらわれない人間なんていないんですが、
ここではそのどれかに当てはまった時点で負け、となるのです。
「スパイではないか」という疑いをかけられた時点で任務は失敗、ということなので、
この作品に華々しいスパイ活劇を期待してはいけません。


簡単なあらすじを以下に。

・「ジョーカー・ゲーム」
…スパイ容疑がかけられた親日家のアメリカ人宅に憲兵が捜査に乗り込む。
物的証拠が出ないまま、捜査が終わるかと思われたが―。

陸軍に属する主人公と結城中佐の遣り取りを通して、この事件の真相、
そして“D機関”設立の背景が明かされます。
“D機関”がいかに異質な存在であるかが、
当時の「正常な感覚」を持つ軍人の視点から語られます。
          
・「幽霊(ゴースト)」
…スパイ容疑がかけられた英国総領事の調査に取り掛かる“D機関”のスパイ・蒲生。
領事がスパイであるか否か、
非常に判断しがたい状況のまま蒲生が下した結論とは―。

ラストがウスラ怖ろしいですよ。
アーネスト、もう逃げられねぇ…。

・「ロビンソン」
…英国で活動していた伊沢は、任務中にスパイ容疑で英国諜報機関に逮捕されてしまうが―。

尋問を通した敵との戦いと脱出劇、
その場にはいない結城中佐の悪魔的な魅力が大爆発の話。

・「魔都」
…上海に渡った憲兵軍曹・本間は、憲兵隊内部にいるというスパイの調査を命じられる。
しかしその直後、上司宅が爆弾テロに遭い、
現場に向かった本間は、そこでかつて自分が逮捕した男と偶然再会する。
新聞記者となったその男が話した内容には、
見え隠れする“D機関”の影が―。

スパイものに「偶然」なんて言葉はないのだよ!
…という感じですかね。

・「XX(ダブルクロス)」
…愛人宅で自殺したドイツ人スパイの死の真相をめぐる一編。

現場は密室、愛人にはアリバイあり、
そして遺体のそばには遺書、という
文句無く自殺扱いされるこの事件ですが、
問題は死亡したドイツ人が二重スパイの容疑をかけられ、
“D機関”の調査の対象になっていたということ。
調査中、標的に死なれることは任務の失敗を意味するため、
担当であった飛崎は事件の真相をつきとめるんですが…。
この話はちょびぃと切なくもありますね。

…とまぁ、ざっとこんな感じです。
個人的には、「ロビンソン」が好きかなぁ。
一番スパイものらしく、
“D機関”ならびに結城中佐の暗躍が秀逸であります。
そしてスリーパーの存在が美味しいですよ。

そういえば、初版の帯のキャッチコピーが、
「死ぬな、殺すな、とらわれるな」だったと記憶してます。
初版で買えばよかったと今更ながら後悔。
そしてカバーをめくっても装丁がシックでカコ良いです。
posted by まるひげ at 01:44 | Comment(2) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-11-17

icon_45_b.gif『人魚は空に還る』読了。


以前「気になる」とブログで書いた本を読了。
…書かなきゃいけない感想文は他にあるだろ。

「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか――(表題作)。
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集(単行本より引用)。 三木 笙子(著)『人魚は空に還る』

人が死なない人情派ミステリ。
…より正確に言うと、ミステリ風。
読んだ印象は、坂木司とか加納朋子とかそのあたり。
非常に読みやすい筆致で、
各話のボリュームもちょうど良い長さです(各話50〜60ページ)。

4編収録の短編集となっております。
話の展開としては、雑誌記者の青年・里村高広が、
ネタ探し(というかむしろネタの方から舞い込んでくるんですが)
をしている最中に事件に首を突っ込むことになり、
超絶美形の天才絵師・有村礼の助けを借りつつ、
関係者との触れ合いを通じて事件を解決する―という流れです。
主人公の2人(特に高広)の、
事件に関わる人たちに対する思いやりが非常にあたたかいですね。

それにしても「帝都」て響きは素敵だなあ。
風景や小道具の描写が、モダーンでレトロな味わいでございましたよ。

なかでは、表題作の「人魚は空に還る」がやっぱり良いかな。
事件の真相と晴れやかな読了感が、一番印象に残りました。
明治時代の有名人もちらっとほらっと登場しちゃったりして。

作品全体が優しい雰囲気に溢れ、登場人物も魅力的です。
ポイントは、こそばゆい主人公2人の関係。
高広は礼の美貌にやられっぱなしですが、良いのか。良いんだね。
ということで、ターゲットは明らかに腐…とまでいかなくても女性読者。
そして続編がありそうな予感。


最後にどうでもよいことを。
主人公の1人、天才絵師の有村礼が、なんつーか…
美形、気難しい、高飛車、ツンデレ、変なところで幼い…ということで、
まんまみったん!!むはー!!となりました。
口調までほんとそっくり(笑)。
posted by まるひげ at 01:55 | Comment(2) | TrackBack(1) | ミステリ | edit | web拍手

2008-06-23

icon_45_b.gif『毒草師―QED Another Story』読了。


最近あまり読まなくなったミステリですが、
読んだかと思えば、ほぼ確実にすり替えトリックにぶち当たるのは何故だろう。

「一つ目の鬼を見た」と言い残して、名家・鬼田山家の人々は施錠された離れから次々と失踪した。さらに長男・柊也が毒殺されて捜査は混乱する。そこへ古今東西の薬と毒に精通する〈毒草師〉と名乗る御名形が現れ、『伊勢物語』になぞらえて一族の忌まわしき秘密と真相を暴く。QEDシリーズ一の曲者、御名形史紋の推理が冴える!(ノベルスより引用)
高田 崇史(著)『毒草師―QED Another Story』

講談社ノベルス『Q.E.D』の外伝的な位置づけでスタートしたこのシリーズですが、
本編を読んでなくても支障は全くありませんね、多分…。
かくいう自分もまだ本編での彼をまだ読んでいなかったり。

探偵(?)が歴史の裏に隠された真実を明らかにし、
歴史の勝者たる権力者たちの騙りを暴く、という基本的な形式は同じです。
そしてミステリそのものよりも、薀蓄の方が重要という形式も同じ(笑)。
おまけに、下手に感想文書くとネタバレの嵐になります。
ということで、以下、奥歯にモノの挟まったような感想文で失礼します。

こちらの毒草師・御名形史紋も、本編のタタル氏と同様クセが強い人物ですね。
つーか、服装が奇抜すぎて怖い。
真っ黒な長髪に真っ白のロングコート、真っ赤な皮手袋ですよ…わぉ。
まだタタルの方がとっつきやすそ…う〜ん、どっちもどっちか。
語り手は御名形のマンションの隣人で雑誌記者の西田君。
主人公でありながら最も災難に見舞われた青年です。

ネタ的にはこの作品、
『伊勢物語』と「一つ目」と「毒」、この3つがキーワードになってます。
まず、『伊勢物語』は、誰しも一度は高校の古典で習った歌が出てきます。
例えば、
「白玉か何ぞと人の問いしとき 露とこたへて消えなましものを」

ある男(在原業平)が懸想していた女房を拐して、ある小屋で一夜を明かしたものの、
その小屋は鬼の棲み処で、女房は鬼に食べられてしまう―という内容。

うん、これなら古典嫌いだった自分でも覚えてる。
いくつか紹介される歌の解釈だけでも、
当時の背景を知ることが出来て勉強になりました。

そして2番目の「一つ目」。
こちらは日本の一つ目だけではなく、西洋の一つ目も登場します。
場所は違えど両者に共通する特徴は…って、あれっ?
このネタは本編でも前に出てきましたよね。
えぇ、Q.E.Dでは常連さんです(笑)。
しかもこの一つ目、正確には一つ目の「鬼」。
「鬼」とくれば、ねぇ?
こちらも常連さんです。

最後に、『伊勢物語』と「一つ目」を結ぶのが「毒」ですよ。
今回の事件でも、毒が使われたわけですが。
御名形、専門は自ら毒草師と名乗るだけあって、
毒草に関する知識だけは惜しみなく披露してくださいます。
しっかし、別名が「断腸草」てなんと直接的な…。

はい、ということで面白く読ませて頂きました。

今春に出版された続編の『白蛇の洗礼』、
こちらは、千利休=キリシタンということで興味をそそられます。
ノベルスに落ちたら読もうと思います。
posted by まるひげ at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-05-23

icon_45_b.gif『相棒』読了。


「かつくらで紹介されてて気になったので読んでみました」パート2。
あー、これ「時代モノ」カテゴリじゃないな。

あの「坂本龍馬」と、宿敵である新選組の「土方歳三」がコンビを組み、幕末維新のオールキャストが周りを固める、スリルと感動のエンタテインメント長編小説。
大政奉還を間近に控えた京の都。そこに将軍・徳川慶喜の暗殺未遂事件が発生する。将軍暗殺を企てた人物ははたして誰だったのか?
そして、その後に起こる龍馬暗殺の真犯人は?
その時に土方のとった行動とは?(アマゾン・レビューより抜粋)
五十嵐 貴久(著)『相棒』

大政奉還に向けて準備が進む1867年、
十五代将軍慶喜公と薩摩藩との会合が密かに行われる朝、
慶喜公の乗る駕籠が何者かによって狙撃された。
将軍暗殺未遂の下手人を探すため、
幕府は老中・板倉勝静と若年寄・永井尚志の命により
海援隊隊長・坂本龍馬と新選組副長・土方歳三が調査に乗り出すことになる。
立場も思想も性格も正反対の2人が、
悪態つきながら2日間行動を共にし、最終的にたどり着いた結論は―
というストーリーです。

if小説なのか?と推測しながら読んだらそうでもなかったー
とか思った矢先に
あの人が死んでなかったり、いるはずのないところにあの人がいたり。
つーかストーリーの設定自体がifだよ!
そういえば幕末のifて無いよなぁ…ネタは豊富だと思うんだ。
一番ありそうなのは、龍馬が暗殺さ(ry

おっと、脱線しそうなので話を戻して。

ナリは大人でも中身は子供の副長、
子供がそのまま大きくなったような龍馬、
…どっちも大人気無いのです(笑)。
2人の掛け合いがこの作品最大の魅力であることは誰も否定しないでしょう。

副長は基本カコ良いんですが、
時々そのカコ良さが恥ずかしくなることがあります。
龍馬はなんとなく、さんま(明●家)なイメージ。よッく喋る。
「ほにほに」て可愛いなぁ、龍馬。でも確かに気が抜ける…(笑)。
龍馬と沖田の会話が微笑ましかったです。

幕末の有名人も揃ってどどんと登場してます。
薩摩の西郷どん、長州の桂小五郎、公家の岩倉具視などなど…。
新撰組の面子もちょろちょろ出てきてます。
これら登場人物の皆様方は、
歴史上の人物というよりは、人口に膾炙した「キャラ」としてのイメージで描かれており…
ま、早い話がステレオタイプなので違和感無く読めますね。


以下、ちょびっとネタバレ注意です。


posted by まるひげ at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-01-29

icon_45_b.gif『奇談蒐集家』読了。


途中で飽きたんだが、オチはどうなるんだろうと思って最後まで読んでみた。
太田作品が初なうえ、創元クライム・クラブ作品も初だったり。

【求む奇談!】新聞の片隅に載った募集広告を目にして、「strawberry hill」を訪れた老若男女が披露する不思議な体験談―鏡の世界に住まう美しい姫君、パリの街角で出会った若き魔術師、邪眼の少年と猫とともに、夜の町を巡る冒険…謎と不思議に満ちた奇談に、蒐集家は無邪気に喜ぶが、傍で耳を傾ける美貌の助手が口を開くや、奇談は一転、種も仕掛けもある事件へと姿を変えてしまう。夜ごと“魔法のお店”で繰り広げられる、安楽椅子探偵奇談(単行本より引用)。
太田 忠司(著)『奇談蒐集家』

不思議な話を聞かせてくれとせがむメタボ老人(恵美酒)と性別不明な麗人(氷坂)のコンビが
客が持ってきた奇談が本物かどうかを審査する短編7本が収録です。
設定が良いんですよね。
とある街の路地奥に佇む静かなバー。
その奥の一室、床から天井まで本で埋め尽くされた部屋で、
スコッチを傾けながら聞く不思議な話の数々…。
う〜ん、良い雰囲気だ。

ま、個々の短編はやって来た客の話をエビス老人が聞いて
「おぉ、これは不思議な話だ、ブラヴォ」とご満悦なところに氷坂が難癖つけ、
結局、不思議な話は合理的に解体されてしまうという展開です。
なかには、ちょっとソレどうなのっていうこじつけ的推理もありますけど。

全部の短編がそんな流れなので
半分くらい読んだところで飽きてしまったのは自分だけだろうか。
個々の話の真相が大して意外性がなかったというか。
でもこれは好みの問題かもしれません。

読んでいてなんとなく違和感があるんですが、
連作がラストの1本に収斂される様式は見事です。
恵美酒が奇談を集める目的は何か、というのが明かされ、
すべての奇談はある一人の人物をおびき寄せるためのネタで、
それぞれの話に時間的ズラシを加えてるとこなんか憎いですね。

設定も構成も自分の好みドンピシャなのに、いまひとつハマり切れなかった作品でした。残念…。
posted by まるひげ at 12:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-01-27

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官』読了。


最近、時代小説ばっかり読んでたので、
その反動かどうかわかりませんが、非常に楽しんで読めました。
だって文中にカタカナがあるんですもの。
カタカナにうきうきしながら読書するってのもあんまり無いよ。

修道院で起きた処女懐胎事件。これは奇跡か、悪魔の罠か…!?バチカンの密命をうけ、天才神父コンビ、ここに降臨!空前絶後のミラクル・エンタテインメント(単行本帯より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官』

基本的に主人公はバチカン奇跡調査官の平賀&ロベルト。
アメリカのとある修道院から奇跡申請のあった「処女懐妊」の調査のため
現地に派遣されるのですが、そこで連続殺人事件に遭遇してしまいます。
調査中に発生する奇蹟の数々は果たして本物か、
連続殺人事件の驚くべき真相とは…
という内容。

サブ主人公として、修道院で生活することになったひとりの少年が登場し、
彼の視点を通して事件が語られるシーンも織り込まれてます。
さらに、修道院の警備員中年男が目撃した事件の様子を語ります。
しかしこの男の供述は実は…

おっと、ネタバレになってしまうので内容紹介はここまで。


ま、もちろん発端となった処女懐妊の奇跡と連続殺人事件には繋がりがあるわけですよ。
テンポよく話が進み、さくさく人が殺されていくので先が気になり、一気に読めますね。
バチカンとある組織を結ぶ意外なからくり、
事件の裏に隠された陰謀のトンデモっぷりにたまげます。

しっかし、この修道院付属のミッションスクール(男子校)がすごい。
挨拶が「ご機嫌よう」だのお茶会だのアロマセラピーだの。
どこのギムナジウムだここ。
イメージはあれだ、一昔前の少女マンガですよ。
ちょっと引くなぁこんな雰囲気の学校…。

優等生の美少年マリオがすんごいカリスマ。
さしずめ「マリオ様がみてる」みたいな?
いや「マリみて」読んだことないんですけどね(またか!)。
あながち間違っていないと思う。
大人しすぎだよここの少年たちは。
…まぁ、生徒たちが大人しすぎるというのは
ある理由のためだったんですけど、それにしても…!


既読の方には分かるであろう一言感想文。
・まさかあの組織が絡んでくるとは、予想外です。
・ロベルト、存在感薄いです。
古書の研究家ということですが、大して動いてないうえ、
奇跡のような事象に驚き畏れるばかりで。
平賀に良いとこ持ってかれっぱなし。
・平賀とロベルト、この2人は藤木さん、狙ってますよね(苦笑)。
何を狙ってるって…ねぇ?ウフフ。
・で、結局マリオのスティグマは本物だったんですか。
…こんな感じでしょうか。
普通に面白かったです。

奇跡を認定する役職に就いてる神父が主人公、と聞くとどうしても


柄刀 一(著)『奇蹟審問官アーサー ―神の手の不可能殺人 』

を思い出してしまうのですが、
とっつきやすさは断然「アーサー」<「バチカン」ですね。
posted by まるひげ at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2008-01-16

icon_45_b.gif『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』読了。


面白くて一気に読んでしまいました。
最近のメフィスト賞はどれも読む気力がまず沸かないので
いまいち不安だったんですが、良い意味で裏切られました。
シリーズ化希望(気ィ早いよ)。

城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く痛快時代活劇!(新書より引用)
輪渡 颯介(著)『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』

ある藩で起きた家老闇討ち事件と、
その10年後、同じ顔ぶれで行われた家老闇討ち事件が舞台です。
2度目の事件以降、闇討ちの実行者たちが一人、また一人と殺されていきます。
事件の前後に囁かれる怪談話と、闇討ち現場に現れた女の幽霊。
殺された者たちが今際の際に呟いた「死人にやられた」という謎の言葉の真相とは…
という展開です。
ガチガチしたミステリでも時代小説でもないので、気軽に読めました。
ラストの謎解きがしっかりしてたのも良いです。
闇討ち事件の調査をすることになった、
酒と怪談好きの左門と怪談嫌いの甚十郎コンビが楽しいです。
怪談話や事件の真相は勿論なんですが、
実は最初から伏線がしかけられてたところや
左門の正体なんかも読みどころですね。

コレはネタバレしちゃうと楽しめないので
以下、珍しくネタバレなしの感想文です。

国許と江戸で交互に場面が変わるので、
中盤までは「今どこだっけ」「この人誰だっけ」てなってしまいました(汗)。
国許でのある人物の話や行動が次の章の江戸で話題に出てきたり
またその逆もあるのですが、その転換が上手いですね。
木谷の脱藩が左門の仕事に関わってくるあたりとか。
ザッピングシステムw(違)

怪談話の裏に潜む事件を解決することで生計を立てる左門。
なので、なかなかにドライです。
ほとんどの怪談は人間のつくり話と考えてますが、
そのなかにはたまに本物も混じっていると言います。
「座敷童子が強盗刺し殺した」って意見は笑っちゃったじゃないの左門さんてば!
アグレッシブな座敷童子ですな。


余談。
自分は怖い話大好きなのですが、
怪奇・心霊現象を科学的に検証するとかいうのも好きです。
合理的に説明できるならそれに越したことはないよね。
必要以上に怖い思いしたくないし。
そして証明できなかったらそれはそれで良いんです。

自分の周りには視える人が多いのでなおさらそう思うのかもしれません。
自分はこれっぽっちも霊感ないんですがね〜。
視える人の話を聞くと、霊感なくて良かったって思います。ほんとに。
でも、去年流行ったスピリチュアルは
どうしても胡散臭く感じてしまうんですけどね(苦笑)。
posted by まるひげ at 01:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-08-11

icon_45_b.gif『QED 鬼の城伝説』読了。


鬼がテーマとなってるのは『式の密室』以来でしょうか。
ここでの「鬼」の正体に目からウロコだったのを今でも覚えてます。

しっかしこのシリーズ、感想文書きにくいなぁ(苦笑)。
下手したらネタバレの嵐になりそうなので、
簡単にさらっと書いて濁してしまおう。

岡山・吉備津神社に今も伝わる、占卜「鳴釜神事」。大和朝廷によって退治され、土中深く埋められた鬼神―温羅の首が、釜を唸らせて人の吉凶を告げるという。一方、これとは逆に、総社市の外れ、鬼野辺家に先祖代々伝わる大きな釜には、鳴ると凶―主が死ぬという言い伝えがあった。そして…、不吉の釜が鳴り、土蔵に長男・健爾の生首が!?旅の途中、事件に遭遇した崇は、事件の核心“桃太郎伝説”の騙りを衝く(新書より引用)。
高田 崇史(著) 『QED 鬼の城伝説』

このブログ始めてから、QEDシリーズ読んでないことに気づいてちょっとビックリしました。
2年ぶり?そんなに読んでなかったっけか…。
そして久しぶりに読むと、
以前はそれほど気にならなかったキャラの反応が
ちょっと鼻につくようになったような(汗)。
沙織がなぁ…なんだかなぁ…。
いや、面白い子なんですが、ちょっと間違うと痛い子になりそう。


このシリーズの読みどころはタタルが出てからなので
そして殺人事件なんかハッキリ言ってどうでもいい(小声)
彼の登場までがなんともやきもきいたしますね。
ここんとこ旅行記ミステリーになってるし。

今回は鬼の城伝説、ということで桃太郎伝説の騙りを暴きます。
『竹取物語』でもそうだったんですが、
昔話というものは、自分たちが小さい頃から知っているために、
物語のなかの矛盾、真相などを突き詰めて考えたりはしないんですよね。
例えば、桃太郎で言うと、
何故桃太郎は「桃」から生まれたのか?
何故鬼は退治されなければならなかったのか?
何故猿・雉・犬という動物が選ばれたのか?
などですよ。
そしてクローズアップされるのはやはり「まつろわぬ人々」です。

物語をありのままに受け入れるのではなく、
それを違う角度から解釈し
物語のなかに含まれている闇と謎を解いていく、
いう姿勢は今回も変わりませんね。

そうそう。
タタル氏と奈々の仲も相変わらずですが、
ちょっとずつは進展してる…んでしょう。多分。
タタル、恋愛に関しては鈍感とか朴念仁とか言われてますが、
時折見せる意味深な発言がひっかかります。
確信犯じゃねーのか、とか密かに思ってます(笑)。

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2007-06-23

icon_45_b.gif『首無の如き祟るもの』読了。


最近あまりの暑さにパソ立ち上げる気力さえありません。
もう何が何だか。
そうも言ってられないのでとりあえず読書感想文を更新。


流石。
ラストの怒濤の謎解きが素晴らしい。
どんでん返ってさらに暗転、なシメでした。

奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか―(単行本より引用)。
三津田 信三(著)『首無の如き祟るもの』

やっと読みました三津田さんの「如き〜」シリーズ第3作目。
旧家の跡継ぎ問題で争う排他的な村のなかで起こった事件を背景とし、
状況は首無し死体・密室・連続殺人と設定がもうコテコテのドロドロ。
一気に読まずにはいられない面白さでございました。

今回、いつもの探偵役の刀城がなかなか出てこないんですよ。
中盤で旅行中の刀城と阿武隈川先輩(初登場ですね)がちょろっと出てくるくらいです。
ラストの刀城は…斧高か、それとも…という感じで。
ホラー濃度も前作より上がりました。
一番印象に残ったのは、
血の跡を引きずりながら斧高が寝てる布団のまわりをズルズル這い回る首…うはぁ〜。

以下、ネタバレ注意な感想文です。



posted by まるひげ at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-06-14

icon_45_b.gif『砲台島』読了。


…暑いです。
冬が得意な自分としてはこれからの季節は地獄です。
まだ6月だというのに良い気になってんじゃないよラニーニャ。

そういえば昨日はブログアップした後、さぁ寝ようと思ったら
空が確実に白み始めてました。
「チュン」とか「カァ」とか聞こえたような…。
3時半てまだ夜でいいでしょ。

昭和20年、爆弾が降り注ぐ和歌山。18歳の警官、瀬名弘之は、砲兵3名の焼死事件を追う。弘之は、捜査に訪れた死神のような憲兵、渡里純一と行動をともにする。が、謎めいた渡里の言動と次々起こる事件のため、事態は混乱に陥る。ようやく事件の核心に近づくが、弘之に召集令状が……戦火の中、生と死をみつめた少年の哀しみのミステリ。(単行本より引用)
三咲 光郎(著) 『砲台島』

以前日記に「気になる本」として載せたこの本、読んでみました。
ミステリというよりは、戦争小説かも。
構成とか雰囲気とか。

冒頭にすごく引き込まれました。
土手で親友の遺品に目を通していた弘之に迫り来るグラマン機や
爆撃を受け、血みどろとなった車両に何事もなかったかのように佇む渡里など、
情景が目に浮かびやすい(血みどろが…?)。

主人公は特攻に志願した親友の死により無気力になっている少年警官・弘之。
彼の目を通して、一連の事件の真相を探っていくというのが筋です。
話の大部分が地道な聞き込み調査に費やされているせいか、展開が遅いのが欠点ですね。
途中から関係わかんなくなったよ!
渡里の行動は事件を解決するためのものではなかったと判明してからは
展開が早くなるんですけどねぇ。

空襲警報が鳴り響き、米軍による爆撃が続くなか、
憲兵殺害事件と石油の横流し事件、
この2つの事件の謎を追い、真相にたどり着く直前で弘之に召集令状が届くのは…
う〜ん、辛いです。
途中、淡い恋模様やら憧憬やらが散りばめられてますが、
そういったものは戦争という大禍の前では至極儚いものとなっております。

不気味憲兵・渡里が想像以上に無口でした。
「死神のような」雰囲気だそうですが、
実際会ってみないとこの不気味さはわからなそうだなぁ。
会う人皆に恐怖を植え付けてるお人です。
どんだけ怖いのよ?
この人の正体は意外でしたね。
そうそう、意外と言えば。
容子先生がキーパーソンだってのは予測つきましたが、
彼女と渡里に繋がりがあったとは予想外でしたぞ。
学生時代はどんな人柄だったんだろなぁ、渡里。

ラストは「これぞ戦争小説」と言わんばかりの空襲シーン。
事件の真相よりも事件を引き起こしてしまった背景こそが悲劇でした。
戦争の虚しさ・悲惨さが全てを覆ってしまうこの時代の小説は
読後、なんともやり切れなさが残ります。
posted by まるひげ at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-05-26

icon_45_b.gif『名探偵 木更津悠也』読了。


最近、ミョーに疲れます。
これが悪名高い「五月病」というシロモノでしょうか。
風呂上がりの1杯がよく冷えた栄養ドリンクって何か違う気がする。
…はい、近況でした。

探偵モノを読みたくなって普段読まない作家さんに手ェ出してみました。
プロデュースby 香月の探偵・木更津悠也氏に挑戦です。
なんて皮肉なタイトルでしょう(苦笑)。

京都某所の古めかしい洋館・戸梶邸で、資産家が刺殺された…。柵もあってしぶしぶ依頼を引き受けた名探偵・木更津悠也を待ち受けていたのは、ひと癖もふた癖もある関係者たちの鉄壁のアリバイ。四角く切り取られた犯行現場のカーテンが意味するものは?一同を集めて事件の真相を看破しようとする木更津だが…。(「白幽霊」)。京都の街に出没する白い幽霊に導かれるように事件は起こる。本格推理の極北4編。 (新書より引用)
麻耶 雄崇(著) 『名探偵 木更津悠也』

はい、4編収録の短編集です。
読みにくくはないのです。というかむしろ読みやすいんだと思います。麻耶さんにしては。
実は『翼ある闇』で木更津&香月が出ていたということですが…
なにせ読んだの10年前なんでストーリー覚えてない。
「なんかエライもん読んだなぁ(げっそり)…」という記憶は残ってます。

読めばわかるんですが、この『名探偵〜』、事件よりもトリックよりも、
香月と木更津の関係が面白いですね。
香月…ほんとに探偵フェチだなぁ。
探偵を探偵たらしめている条件に悉く当てはまる木更津の行動・言動その他諸々に
「探偵・木更津ってカッコイイ!タマラン!!」と香月が悶えています。
まぁ、ワトソン役あっての名探偵、というのは頷けますが、
如何せん香月の探偵萌えが過剰なのでちょっとビビります。

気になるのが全編に共通している「白幽霊」の存在。
白幽霊の存在がヒントとなって事件解決に結びつくという構成です。
そしてこの幽霊が謎のままで終わってるんですよね…。
あ〜、なんかスッキリしないなぁ。

なんだか普段とテンション違うのは酒が入ってる状態で感想文書いてるから、
ではなく、今までの戦歴が

『翼ある闇』→「探偵死んどるがな!」
『あいにくの雨で』→挫折
『神様ゲーム』→挫折

という「お前麻耶さん苦手だろう」つーのがバレバレなせいでしょうね。
いやいや、麻耶さんのような小説もアリだな、というのはわかりますよ。
でも、やっぱり自分には合わないみたいです。
おかしいな、結構ヒネくれた人とか話とか好きなんだけどな…。
探偵とホ○と時代劇には夢を見ていたい人種だからダメなんでしょうか。

ということで、なんだかしっくりこなかった探偵モノでした。
次はどちらの探偵様に挑戦してみようかしら。
posted by まるひげ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-05-16

icon_45_b.gif『赤い夢の迷宮』読了。


お疲れ様です。
ちょっくら東京に行っていたので日記をサボってしまいました。
つーか、土日に東京なんて行くもんじゃねーな…。

で、帰りの電車ン中で読んだもの。
珍しく新刊読んでます自分。

小学生だったあの頃、仲良し7人組みのぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろいことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如OGに招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった(新書より引用)。
勇嶺 薫(著) 『赤い夢の迷宮』

なんでしょう…なんとなく感想に困るなぁ。
今までクイーンシリーズしか読んだことなかったから油断した。
「え、死んじゃったの!?」て聞きたくなるくらい、結構アッサリ人が死んでるし。
エグい表現もあるし。
ミステリとしてはどうかと言うと、
わかりやすい伏線がそこかしこに散りばめられてましたね。
自分のようなエセミステリファンでもピンときた、ということは
真性ミステリファンの方ならトリック見破ってらっしゃるでしょうね。
うむ、こういう物理トリックは嫌いじゃないな。ほくほく。

以下、ネタバレ注意!です。


posted by まるひげ at 03:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-05-03

icon_45_b.gif『書物狩人』読了。


連休、どっぷり活字に浸ろうかと思ってたんですが
予定通りにいかないものですね。
いろいろヤボ用入ったり活字以外のモノにハマッてみたり。
まぁ、あくまで予定は未定であり決定ではないわけな(ry

タイトルに惹かれて買っちまいました。
赤城さんの本は初めてです。

世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、その存在は謎に包まれ、彼らの活動が表に出たことは一度もない―書物狩人。バチカンから獲得を依頼されたギリシア語写本やナポレオンの旧蔵書…。書物狩人が鮮やかに稀覯本に隠された物語を紐解く!書誌愛好家必読!!(新書より引用)
赤城 毅(著)『書物狩人』

歴史を揺るがす真実を秘めた書物を巡る短編が4本収録されてます。
ストーリーを大雑把に言うと、
ワケありの人物が書物狩人「ル・シャスール」こと半井優一のもとへ訪れ、
とある書物の入手を依頼します。
その書物には世界を揺るがすような秘密が隠されており―というような話ですかね。
状況はそれぞれ4編違いますが、まぁ話の流れでいえばそんな感じです。
JFK暗殺、キリスト教第5の福音書、ナポレオン毒殺説、中国版図の拡大を巡る『秘史』…。
設定はすんごく良いと思うのですが、
自分はいまいち話に乗り切れませんでした。
多分、自分としては書物を入手する過程が読みたかったんだと思われます。
その過程で書物の謎が解かれていく、みたいな。
ま、そんなことで文句言っても仕方無いですが。

ル・シャスール、この人の手腕は某刑事ドラマ特命係のU京さんかと思うくらいイヤらしいですね。
書物獲得には「合法非合法を問わず」ということですが、
彼自身はあんまり危ないことはしてないです。
…書かれていないだけかもしれませんけど(汗)。
入手した書物を、その書物の秘密や来歴のみならず
それに関わった人々がどう書物を扱うのかといったそれからの話まで発展してます。
凄腕でありながら一癖も二癖もある人物なんですが
それはやっぱり書物狂であるが故の言動なんでしょうねぇ。

「(中略)ひとの命なんかより、本の方が大切に決まっているではありませんか」(p.91)

この台詞が、半井の本心から出た言葉なんだなぁと賞賛する一方でソラ恐ろしくもなりますよ。
本のために確実に人殺してそうな。
実際、周りでドンパチやら人死にがあっても平然としてたしなぁ。

続編がメフィストに連載されるそう予定だそうです。
書物狩人の同僚なんか増えたら楽しいだろうなぁ。
posted by まるひげ at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-04-23

icon_45_b.gif『晩餐は「檻」のなかで』読了。


昨夜の大河は母親とのチャンネル争いに負けたため、
土曜の再放送までおあずけになりました…。

気を取り直して感想文行きます。
以前の日記で面白そうだと書いてたミステリです。
ようやく読めましたよ。
や〜、この構造はスゴイね。
最終章、「えっ!なにっ?どゆこと!?」としばし混乱。
読み返したらきっとミスリード伏線の嵐なんだろうなぁ。

仇討ちのために用意された建物―「檻」。いまここに七人の男女がいる。彼らにはそれぞれ「殺人者」「被害者」「共謀者」「傍観者」「邪魔者」「監視者」それに「探偵」という役割が与えられている。たがいに自分の役割しか知らない。だから誰にも気は許せない。やがてひとりが死体で見つかる―。気鋭が満を持して書き上げた渾身の長編(単行本より引用)。
関田 涙(著)『晩餐は「檻」のなかで』

関田さんの作品は初挑戦です。
読みやすい文章なのですらすら〜っと読了しました。

全体の構造としては、
「檻のなかの七匹の獣」という作中作パートと
その物語を執筆している売れない作家「錫井イサミ」の日常を綴っていくパートに分かれてます。
で、物語と作家の日常が交互に展開していく、というもの。

作中作パートは、
仇討ちが認められる社会のもと、仇討ち制度第1号となる事例のお話です。
「殺人者=ヤギ」「被害者=トラ」「探偵=サル」
「共謀者=ヘビ」「傍観者=イヌ」「監視者=クマ、カメ」
というような役割と名称が与えられ、
登場人物の誰がどの役割を演じているのかを推理するのも読者の楽しみ、になっているんでしょうか。
自分はメンドくさいから考えませんでしたが(←ミステリファン失格)。

それに対する錫井の実生活パートは読んでて楽しいもんじゃないですね。
登場キャラが汚くて(苦笑)。
あんまりお付き合いしたくないなぁという人ばっかりです。

錫井が折に触れて「いま、ちょうど第○章を書き終えた」などと、
作品の進捗状況を述べているので、
すっかり錫井の日常と平行して物語が進んでいくのかと思いきや。
読む側としては、
「作中作で錫井に関係するものが出てくるに違ぇねぇ。
つーか錫井が事件の「殺人者」か「被害者」のどっちかだよなぁ…」
とかアタリつけながら読むと思うのですよ。
ところがところが。
最後の最後まで気は抜けませんぞ。
1回ドデカイどんでん返しのあと、ダメ押しでもひとつドンデン返されます。
いや〜、驚きますね。
早い話、「錫井は誰か」ということなんですよね。
ま、わかったところでもうひとつの仕掛けにハマってしまうのであんまり意味は無いんですが(汗)。

最近読んだこのテの作品は模倣の殺意かな。
時間軸モノって気づくの難しい…。
posted by まるひげ at 01:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手

2007-04-20

icon_45_b.gif『百万のマルコ』読了。


や〜、楽しかった。
5分間ミステリーみたいなとんち話が満載。
短編が13話収録されてます。
さらっと読める手軽さが良い。
今から続編希望ですよこれは。

黄金が溢れる島ジパングで、大冒険の末、黄金を捨てることで莫大な黄金を手に入れた―。囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。新入り囚人<百万のマルコ>ことマルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが…。多彩な謎が詰まった、文庫オリジナル連作集。(文庫より引用)
柳 広司(著)『百万のマルコ』

マルコが語る「東方」の異国情緒溢れる雰囲気も良いです。
話のほとんどは、マルコが大ハーン・フビライの使節として辺境の地へ訪れ、
その地で遭遇した困難を鮮やかに解決していくというもの。
その出来事についてマルコが語るんですが、彼が言うのはいつも
「こんな困ったことがありました」「結果はこうなりました」だけ。
どのようにしてマルコが困難を乗り越えたのか、肝心なところがいつも抜けてるんです。
そんで、マルコが語る「ホラ話」の謎を
牢の同居人があーでもないこーでもないと議論するんです。

それぞれの話の真相は「おぉッ!」と驚くものもあれば、
「なんだソレ」と人を食ったようなものまで。
人を食った、といえばマルコの話の最後に言われる
「神に感謝。アーメン、アーメン」もなんだか馬鹿にしてる感じがします。
好みにもよりますが、
自分は「雲の南」「一番遠くの景色」「騙りは牢を破る」が好きでした。
「山の老人」も論理的で面白いんですが、
このネタ、数年前に友達からふっかけられた謎々の答えそのまんまでした(苦笑)。

語り手のルスティケロがこの議論にほとんど参加していないので
ちょっと警戒してしまいますね。
なんかワケがあるんじゃないかとかいらん勘ぐりをしてしまいました。
杞憂杞憂。


そうそう、これ読んでてなんとなぁく思い出したものがコチラ。


レイモンド・M・スマリヤン(著)/市場 秦男(訳) 『パズルランドのアリス1 』

こっちの方がアタマ使うんですけどね。
論理パズル集。
てーかそもそも、『百万の〜』とは毛色が違いますが(汗)。
posted by まるひげ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit | web拍手
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