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2008-06-23

icon_45_b.gif『毒草師―QED Another Story』読了。


最近あまり読まなくなったミステリですが、
読んだかと思えば、ほぼ確実にすり替えトリックにぶち当たるのは何故だろう。

「一つ目の鬼を見た」と言い残して、名家・鬼田山家の人々は施錠された離れから次々と失踪した。さらに長男・柊也が毒殺されて捜査は混乱する。そこへ古今東西の薬と毒に精通する〈毒草師〉と名乗る御名形が現れ、『伊勢物語』になぞらえて一族の忌まわしき秘密と真相を暴く。QEDシリーズ一の曲者、御名形史紋の推理が冴える!(ノベルスより引用)
高田 崇史(著)『毒草師―QED Another Story』

講談社ノベルス『Q.E.D』の外伝的な位置づけでスタートしたこのシリーズですが、
本編を読んでなくても支障は全くありませんね、多分…。
かくいう自分もまだ本編での彼をまだ読んでいなかったり。

探偵(?)が歴史の裏に隠された真実を明らかにし、
歴史の勝者たる権力者たちの騙りを暴く、という基本的な形式は同じです。
そしてミステリそのものよりも、薀蓄の方が重要という形式も同じ(笑)。
おまけに、下手に感想文書くとネタバレの嵐になります。
ということで、以下、奥歯にモノの挟まったような感想文で失礼します。

こちらの毒草師・御名形史紋も、本編のタタル氏と同様クセが強い人物ですね。
つーか、服装が奇抜すぎて怖い。
真っ黒な長髪に真っ白のロングコート、真っ赤な皮手袋ですよ…わぉ。
まだタタルの方がとっつきやすそ…う〜ん、どっちもどっちか。
語り手は御名形のマンションの隣人で雑誌記者の西田君。
主人公でありながら最も災難に見舞われた青年です。

ネタ的にはこの作品、
『伊勢物語』と「一つ目」と「毒」、この3つがキーワードになってます。
まず、『伊勢物語』は、誰しも一度は高校の古典で習った歌が出てきます。
例えば、
「白玉か何ぞと人の問いしとき 露とこたへて消えなましものを」

ある男(在原業平)が懸想していた女房を拐して、ある小屋で一夜を明かしたものの、
その小屋は鬼の棲み処で、女房は鬼に食べられてしまう―という内容。

うん、これなら古典嫌いだった自分でも覚えてる。
いくつか紹介される歌の解釈だけでも、
当時の背景を知ることが出来て勉強になりました。

そして2番目の「一つ目」。
こちらは日本の一つ目だけではなく、西洋の一つ目も登場します。
場所は違えど両者に共通する特徴は…って、あれっ?
このネタは本編でも前に出てきましたよね。
えぇ、Q.E.Dでは常連さんです(笑)。
しかもこの一つ目、正確には一つ目の「鬼」。
「鬼」とくれば、ねぇ?
こちらも常連さんです。

最後に、『伊勢物語』と「一つ目」を結ぶのが「毒」ですよ。
今回の事件でも、毒が使われたわけですが。
御名形、専門は自ら毒草師と名乗るだけあって、
毒草に関する知識だけは惜しみなく披露してくださいます。
しっかし、別名が「断腸草」てなんと直接的な…。

はい、ということで面白く読ませて頂きました。

今春に出版された続編の『白蛇の洗礼』、
こちらは、千利休=キリシタンということで興味をそそられます。
ノベルスに落ちたら読もうと思います。
posted by まるひげ at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2008-05-23

icon_45_b.gif『相棒』読了。


「かつくらで紹介されてて気になったので読んでみました」パート2。
あー、これ「時代モノ」カテゴリじゃないな。

あの「坂本龍馬」と、宿敵である新選組の「土方歳三」がコンビを組み、幕末維新のオールキャストが周りを固める、スリルと感動のエンタテインメント長編小説。
大政奉還を間近に控えた京の都。そこに将軍・徳川慶喜の暗殺未遂事件が発生する。将軍暗殺を企てた人物ははたして誰だったのか?
そして、その後に起こる龍馬暗殺の真犯人は?
その時に土方のとった行動とは?(アマゾン・レビューより抜粋)
五十嵐 貴久(著)『相棒』

大政奉還に向けて準備が進む1867年、
十五代将軍慶喜公と薩摩藩との会合が密かに行われる朝、
慶喜公の乗る駕籠が何者かによって狙撃された。
将軍暗殺未遂の下手人を探すため、
幕府は老中・板倉勝静と若年寄・永井尚志の命により
海援隊隊長・坂本龍馬と新選組副長・土方歳三が調査に乗り出すことになる。
立場も思想も性格も正反対の2人が、
悪態つきながら2日間行動を共にし、最終的にたどり着いた結論は―
というストーリーです。

if小説なのか?と推測しながら読んだらそうでもなかったー
とか思った矢先に
あの人が死んでなかったり、いるはずのないところにあの人がいたり。
つーかストーリーの設定自体がifだよ!
そういえば幕末のifて無いよなぁ…ネタは豊富だと思うんだ。
一番ありそうなのは、龍馬が暗殺さ(ry

おっと、脱線しそうなので話を戻して。

ナリは大人でも中身は子供の副長、
子供がそのまま大きくなったような龍馬、
…どっちも大人気無いのです(笑)。
2人の掛け合いがこの作品最大の魅力であることは誰も否定しないでしょう。

副長は基本カコ良いんですが、
時々そのカコ良さが恥ずかしくなることがあります。
龍馬はなんとなく、さんま(明●家)なイメージ。よッく喋る。
「ほにほに」て可愛いなぁ、龍馬。でも確かに気が抜ける…(笑)。
龍馬と沖田の会話が微笑ましかったです。

幕末の有名人も揃ってどどんと登場してます。
薩摩の西郷どん、長州の桂小五郎、公家の岩倉具視などなど…。
新撰組の面子もちょろちょろ出てきてます。
これら登場人物の皆様方は、
歴史上の人物というよりは、人口に膾炙した「キャラ」としてのイメージで描かれており…
ま、早い話がステレオタイプなので違和感無く読めますね。


以下、ちょびっとネタバレ注意です。
posted by まるひげ at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2008-01-29

icon_45_b.gif『奇談蒐集家』読了。


途中で飽きたんだが、オチはどうなるんだろうと思って最後まで読んでみた。
太田作品が初なうえ、創元クライム・クラブ作品も初だったり。

【求む奇談!】新聞の片隅に載った募集広告を目にして、「strawberry hill」を訪れた老若男女が披露する不思議な体験談―鏡の世界に住まう美しい姫君、パリの街角で出会った若き魔術師、邪眼の少年と猫とともに、夜の町を巡る冒険…謎と不思議に満ちた奇談に、蒐集家は無邪気に喜ぶが、傍で耳を傾ける美貌の助手が口を開くや、奇談は一転、種も仕掛けもある事件へと姿を変えてしまう。夜ごと“魔法のお店”で繰り広げられる、安楽椅子探偵奇談(単行本より引用)。
太田 忠司(著)『奇談蒐集家』

不思議な話を聞かせてくれとせがむメタボ老人(恵美酒)と性別不明な麗人(氷坂)のコンビが
客が持ってきた奇談が本物かどうかを審査する短編7本が収録です。
設定が良いんですよね。
とある街の路地奥に佇む静かなバー。
その奥の一室、床から天井まで本で埋め尽くされた部屋で、
スコッチを傾けながら聞く不思議な話の数々…。
う〜ん、良い雰囲気だ。

ま、個々の短編はやって来た客の話をエビス老人が聞いて
「おぉ、これは不思議な話だ、ブラヴォ」とご満悦なところに氷坂が難癖つけ、
結局、不思議な話は合理的に解体されてしまうという展開です。
なかには、ちょっとソレどうなのっていうこじつけ的推理もありますけど。

全部の短編がそんな流れなので
半分くらい読んだところで飽きてしまったのは自分だけだろうか。
個々の話の真相が大して意外性がなかったというか。
でもこれは好みの問題かもしれません。

読んでいてなんとなく違和感があるんですが、
連作がラストの1本に収斂される様式は見事です。
恵美酒が奇談を集める目的は何か、というのが明かされ、
すべての奇談はある一人の人物をおびき寄せるためのネタで、
それぞれの話に時間的ズラシを加えてるとこなんか憎いですね。

設定も構成も自分の好みドンピシャなのに、いまひとつハマり切れなかった作品でした。残念…。
posted by まるひげ at 12:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2008-01-27

icon_45_b.gif『バチカン奇跡調査官』読了。


最近、時代小説ばっかり読んでたので、
その反動かどうかわかりませんが、非常に楽しんで読めました。
だって文中にカタカナがあるんですもの。
カタカナにうきうきしながら読書するってのもあんまり無いよ。

修道院で起きた処女懐胎事件。これは奇跡か、悪魔の罠か…!?バチカンの密命をうけ、天才神父コンビ、ここに降臨!空前絶後のミラクル・エンタテインメント(単行本帯より引用)。
藤木 稟(著)『バチカン奇跡調査官』

基本的に主人公はバチカン奇跡調査官の平賀&ロベルト。
アメリカのとある修道院から奇跡申請のあった「処女懐妊」の調査のため
現地に派遣されるのですが、そこで連続殺人事件に遭遇してしまいます。
調査中に発生する奇蹟の数々は果たして本物か、
連続殺人事件の驚くべき真相とは…
という内容。

サブ主人公として、修道院で生活することになったひとりの少年が登場し、
彼の視点を通して事件が語られるシーンも織り込まれてます。
さらに、修道院の警備員中年男が目撃した事件の様子を語ります。
しかしこの男の供述は実は…

おっと、ネタバレになってしまうので内容紹介はここまで。


ま、もちろん発端となった処女懐妊の奇跡と連続殺人事件には繋がりがあるわけですよ。
テンポよく話が進み、さくさく人が殺されていくので先が気になり、一気に読めますね。
バチカンとある組織を結ぶ意外なからくり、
事件の裏に隠された陰謀のトンデモっぷりにたまげます。

しっかし、この修道院付属のミッションスクール(男子校)がすごい。
挨拶が「ご機嫌よう」だのお茶会だのアロマセラピーだの。
どこのギムナジウムだここ。
イメージはあれだ、一昔前の少女マンガですよ。
ちょっと引くなぁこんな雰囲気の学校…。

優等生の美少年マリオがすんごいカリスマ。
さしずめ「マリオ様がみてる」みたいな?
いや「マリみて」読んだことないんですけどね(またか!)。
あながち間違っていないと思う。
大人しすぎだよここの少年たちは。
…まぁ、生徒たちが大人しすぎるというのは
ある理由のためだったんですけど、それにしても…!


既読の方には分かるであろう一言感想文。
・まさかあの組織が絡んでくるとは、予想外です。
・ロベルト、存在感薄いです。
古書の研究家ということですが、大して動いてないうえ、
奇跡のような事象に驚き畏れるばかりで。
平賀に良いとこ持ってかれっぱなし。
・平賀とロベルト、この2人は藤木さん、狙ってますよね(苦笑)。
何を狙ってるって…ねぇ?ウフフ。
・で、結局マリオのスティグマは本物だったんですか。
…こんな感じでしょうか。
普通に面白かったです。

奇跡を認定する役職に就いてる神父が主人公、と聞くとどうしても


柄刀 一(著)『奇蹟審問官アーサー ―神の手の不可能殺人 』

を思い出してしまうのですが、
とっつきやすさは断然「アーサー」<「バチカン」ですね。
posted by まるひげ at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2008-01-16

icon_45_b.gif『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』読了。


面白くて一気に読んでしまいました。
最近のメフィスト賞はどれも読む気力がまず沸かないので
いまいち不安だったんですが、良い意味で裏切られました。
シリーズ化希望(気ィ早いよ)。

城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く痛快時代活劇!(新書より引用)
輪渡 颯介(著)『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』

ある藩で起きた家老闇討ち事件と、
その10年後、同じ顔ぶれで行われた家老闇討ち事件が舞台です。
2度目の事件以降、闇討ちの実行者たちが一人、また一人と殺されていきます。
事件の前後に囁かれる怪談話と、闇討ち現場に現れた女の幽霊。
殺された者たちが今際の際に呟いた「死人にやられた」という謎の言葉の真相とは…
という展開です。
ガチガチしたミステリでも時代小説でもないので、気軽に読めました。
ラストの謎解きがしっかりしてたのも良いです。
闇討ち事件の調査をすることになった、
酒と怪談好きの左門と怪談嫌いの甚十郎コンビが楽しいです。
怪談話や事件の真相は勿論なんですが、
実は最初から伏線がしかけられてたところや
左門の正体なんかも読みどころですね。

コレはネタバレしちゃうと楽しめないので
以下、珍しくネタバレなしの感想文です。

国許と江戸で交互に場面が変わるので、
中盤までは「今どこだっけ」「この人誰だっけ」てなってしまいました(汗)。
国許でのある人物の話や行動が次の章の江戸で話題に出てきたり
またその逆もあるのですが、その転換が上手いですね。
木谷の脱藩が左門の仕事に関わってくるあたりとか。
ザッピングシステムw(違)

怪談話の裏に潜む事件を解決することで生計を立てる左門。
なので、なかなかにドライです。
ほとんどの怪談は人間のつくり話と考えてますが、
そのなかにはたまに本物も混じっていると言います。
「座敷童子が強盗刺し殺した」って意見は笑っちゃったじゃないの左門さんてば!
アグレッシブな座敷童子ですな。


余談。
自分は怖い話大好きなのですが、
怪奇・心霊現象を科学的に検証するとかいうのも好きです。
合理的に説明できるならそれに越したことはないよね。
必要以上に怖い思いしたくないし。
そして証明できなかったらそれはそれで良いんです。

自分の周りには視える人が多いのでなおさらそう思うのかもしれません。
自分はこれっぽっちも霊感ないんですがね〜。
視える人の話を聞くと、霊感なくて良かったって思います。ほんとに。
でも、去年流行ったスピリチュアルは
どうしても胡散臭く感じてしまうんですけどね(苦笑)。
posted by まるひげ at 01:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-08-11

icon_45_b.gif『QED 鬼の城伝説』読了。


鬼がテーマとなってるのは『式の密室』以来でしょうか。
ここでの「鬼」の正体に目からウロコだったのを今でも覚えてます。

しっかしこのシリーズ、感想文書きにくいなぁ(苦笑)。
下手したらネタバレの嵐になりそうなので、
簡単にさらっと書いて濁してしまおう。

岡山・吉備津神社に今も伝わる、占卜「鳴釜神事」。大和朝廷によって退治され、土中深く埋められた鬼神―温羅の首が、釜を唸らせて人の吉凶を告げるという。一方、これとは逆に、総社市の外れ、鬼野辺家に先祖代々伝わる大きな釜には、鳴ると凶―主が死ぬという言い伝えがあった。そして…、不吉の釜が鳴り、土蔵に長男・健爾の生首が!?旅の途中、事件に遭遇した崇は、事件の核心“桃太郎伝説”の騙りを衝く(新書より引用)。
高田 崇史(著) 『QED 鬼の城伝説』

このブログ始めてから、QEDシリーズ読んでないことに気づいてちょっとビックリしました。
2年ぶり?そんなに読んでなかったっけか…。
そして久しぶりに読むと、
以前はそれほど気にならなかったキャラの反応が
ちょっと鼻につくようになったような(汗)。
沙織がなぁ…なんだかなぁ…。
いや、面白い子なんですが、ちょっと間違うと痛い子になりそう。


このシリーズの読みどころはタタルが出てからなので
そして殺人事件なんかハッキリ言ってどうでもいい(小声)
彼の登場までがなんともやきもきいたしますね。
ここんとこ旅行記ミステリーになってるし。

今回は鬼の城伝説、ということで桃太郎伝説の騙りを暴きます。
『竹取物語』でもそうだったんですが、
昔話というものは、自分たちが小さい頃から知っているために、
物語のなかの矛盾、真相などを突き詰めて考えたりはしないんですよね。
例えば、桃太郎で言うと、
何故桃太郎は「桃」から生まれたのか?
何故鬼は退治されなければならなかったのか?
何故猿・雉・犬という動物が選ばれたのか?
などですよ。
そしてクローズアップされるのはやはり「まつろわぬ人々」です。

物語をありのままに受け入れるのではなく、
それを違う角度から解釈し
物語のなかに含まれている闇と謎を解いていく、
いう姿勢は今回も変わりませんね。

そうそう。
タタル氏と奈々の仲も相変わらずですが、
ちょっとずつは進展してる…んでしょう。多分。
タタル、恋愛に関しては鈍感とか朴念仁とか言われてますが、
時折見せる意味深な発言がひっかかります。
確信犯じゃねーのか、とか密かに思ってます(笑)。
posted by まるひげ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-06-23

icon_45_b.gif『首無の如き祟るもの』読了。


最近あまりの暑さにパソ立ち上げる気力さえありません。
もう何が何だか。
そうも言ってられないのでとりあえず読書感想文を更新。


流石。
ラストの怒濤の謎解きが素晴らしい。
どんでん返ってさらに暗転、なシメでした。

奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか―(単行本より引用)。
三津田 信三(著)『首無の如き祟るもの』

やっと読みました三津田さんの「如き〜」シリーズ第3作目。
旧家の跡継ぎ問題で争う排他的な村のなかで起こった事件を背景とし、
状況は首無し死体・密室・連続殺人と設定がもうコテコテのドロドロ。
一気に読まずにはいられない面白さでございました。

今回、いつもの探偵役の刀城がなかなか出てこないんですよ。
中盤で旅行中の刀城と阿武隈川先輩(初登場ですね)がちょろっと出てくるくらいです。
ラストの刀城は…斧高か、それとも…という感じで。
ホラー濃度も前作より上がりました。
一番印象に残ったのは、
血の跡を引きずりながら斧高が寝てる布団のまわりをズルズル這い回る首…うはぁ〜。

以下、ネタバレ注意な感想文です。
posted by まるひげ at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-06-14

icon_45_b.gif『砲台島』読了。


…暑いです。
冬が得意な自分としてはこれからの季節は地獄です。
まだ6月だというのに良い気になってんじゃないよラニーニャ。

そういえば昨日はブログアップした後、さぁ寝ようと思ったら
空が確実に白み始めてました。
「チュン」とか「カァ」とか聞こえたような…。
3時半てまだ夜でいいでしょ。

昭和20年、爆弾が降り注ぐ和歌山。18歳の警官、瀬名弘之は、砲兵3名の焼死事件を追う。弘之は、捜査に訪れた死神のような憲兵、渡里純一と行動をともにする。が、謎めいた渡里の言動と次々起こる事件のため、事態は混乱に陥る。ようやく事件の核心に近づくが、弘之に召集令状が……戦火の中、生と死をみつめた少年の哀しみのミステリ。(単行本より引用)
三咲 光郎(著) 『砲台島』

以前日記に「気になる本」として載せたこの本、読んでみました。
ミステリというよりは、戦争小説かも。
構成とか雰囲気とか。

冒頭にすごく引き込まれました。
土手で親友の遺品に目を通していた弘之に迫り来るグラマン機や
爆撃を受け、血みどろとなった車両に何事もなかったかのように佇む渡里など、
情景が目に浮かびやすい(血みどろが…?)。

主人公は特攻に志願した親友の死により無気力になっている少年警官・弘之。
彼の目を通して、一連の事件の真相を探っていくというのが筋です。
話の大部分が地道な聞き込み調査に費やされているせいか、展開が遅いのが欠点ですね。
途中から関係わかんなくなったよ!
渡里の行動は事件を解決するためのものではなかったと判明してからは
展開が早くなるんですけどねぇ。

空襲警報が鳴り響き、米軍による爆撃が続くなか、
憲兵殺害事件と石油の横流し事件、
この2つの事件の謎を追い、真相にたどり着く直前で弘之に召集令状が届くのは…
う〜ん、辛いです。
途中、淡い恋模様やら憧憬やらが散りばめられてますが、
そういったものは戦争という大禍の前では至極儚いものとなっております。

不気味憲兵・渡里が想像以上に無口でした。
「死神のような」雰囲気だそうですが、
実際会ってみないとこの不気味さはわからなそうだなぁ。
会う人皆に恐怖を植え付けてるお人です。
どんだけ怖いのよ?
この人の正体は意外でしたね。
そうそう、意外と言えば。
容子先生がキーパーソンだってのは予測つきましたが、
彼女と渡里に繋がりがあったとは予想外でしたぞ。
学生時代はどんな人柄だったんだろなぁ、渡里。

ラストは「これぞ戦争小説」と言わんばかりの空襲シーン。
事件の真相よりも事件を引き起こしてしまった背景こそが悲劇でした。
戦争の虚しさ・悲惨さが全てを覆ってしまうこの時代の小説は
読後、なんともやり切れなさが残ります。
posted by まるひげ at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-05-26

icon_45_b.gif『名探偵 木更津悠也』読了。


最近、ミョーに疲れます。
これが悪名高い「五月病」というシロモノでしょうか。
風呂上がりの1杯がよく冷えた栄養ドリンクって何か違う気がする。
…はい、近況でした。

探偵モノを読みたくなって普段読まない作家さんに手ェ出してみました。
プロデュースby 香月の探偵・木更津悠也氏に挑戦です。
なんて皮肉なタイトルでしょう(苦笑)。

京都某所の古めかしい洋館・戸梶邸で、資産家が刺殺された…。柵もあってしぶしぶ依頼を引き受けた名探偵・木更津悠也を待ち受けていたのは、ひと癖もふた癖もある関係者たちの鉄壁のアリバイ。四角く切り取られた犯行現場のカーテンが意味するものは?一同を集めて事件の真相を看破しようとする木更津だが…。(「白幽霊」)。京都の街に出没する白い幽霊に導かれるように事件は起こる。本格推理の極北4編。 (新書より引用)
麻耶 雄崇(著) 『名探偵 木更津悠也』

はい、4編収録の短編集です。
読みにくくはないのです。というかむしろ読みやすいんだと思います。麻耶さんにしては。
実は『翼ある闇』で木更津&香月が出ていたということですが…
なにせ読んだの10年前なんでストーリー覚えてない。
「なんかエライもん読んだなぁ(げっそり)…」という記憶は残ってます。

読めばわかるんですが、この『名探偵〜』、事件よりもトリックよりも、
香月と木更津の関係が面白いですね。
香月…ほんとに探偵フェチだなぁ。
探偵を探偵たらしめている条件に悉く当てはまる木更津の行動・言動その他諸々に
「探偵・木更津ってカッコイイ!タマラン!!」と香月が悶えています。
まぁ、ワトソン役あっての名探偵、というのは頷けますが、
如何せん香月の探偵萌えが過剰なのでちょっとビビります。

気になるのが全編に共通している「白幽霊」の存在。
白幽霊の存在がヒントとなって事件解決に結びつくという構成です。
そしてこの幽霊が謎のままで終わってるんですよね…。
あ〜、なんかスッキリしないなぁ。

なんだか普段とテンション違うのは酒が入ってる状態で感想文書いてるから、
ではなく、今までの戦歴が

『翼ある闇』→「探偵死んどるがな!」
『あいにくの雨で』→挫折
『神様ゲーム』→挫折

という「お前麻耶さん苦手だろう」つーのがバレバレなせいでしょうね。
いやいや、麻耶さんのような小説もアリだな、というのはわかりますよ。
でも、やっぱり自分には合わないみたいです。
おかしいな、結構ヒネくれた人とか話とか好きなんだけどな…。
探偵とホ○と時代劇には夢を見ていたい人種だからダメなんでしょうか。

ということで、なんだかしっくりこなかった探偵モノでした。
次はどちらの探偵様に挑戦してみようかしら。
posted by まるひげ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-05-16

icon_45_b.gif『赤い夢の迷宮』読了。


お疲れ様です。
ちょっくら東京に行っていたので日記をサボってしまいました。
つーか、土日に東京なんて行くもんじゃねーな…。

で、帰りの電車ン中で読んだもの。
珍しく新刊読んでます自分。

小学生だったあの頃、仲良し7人組みのぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろいことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如OGに招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった(新書より引用)。
勇嶺 薫(著) 『赤い夢の迷宮』

なんでしょう…なんとなく感想に困るなぁ。
今までクイーンシリーズしか読んだことなかったから油断した。
「え、死んじゃったの!?」て聞きたくなるくらい、結構アッサリ人が死んでるし。
エグい表現もあるし。
ミステリとしてはどうかと言うと、
わかりやすい伏線がそこかしこに散りばめられてましたね。
自分のようなエセミステリファンでもピンときた、ということは
真性ミステリファンの方ならトリック見破ってらっしゃるでしょうね。
うむ、こういう物理トリックは嫌いじゃないな。ほくほく。

以下、ネタバレ注意!です。
posted by まるひげ at 03:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-05-03

icon_45_b.gif『書物狩人』読了。


連休、どっぷり活字に浸ろうかと思ってたんですが
予定通りにいかないものですね。
いろいろヤボ用入ったり活字以外のモノにハマッてみたり。
まぁ、あくまで予定は未定であり決定ではないわけな(ry

タイトルに惹かれて買っちまいました。
赤城さんの本は初めてです。

世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、その存在は謎に包まれ、彼らの活動が表に出たことは一度もない―書物狩人。バチカンから獲得を依頼されたギリシア語写本やナポレオンの旧蔵書…。書物狩人が鮮やかに稀覯本に隠された物語を紐解く!書誌愛好家必読!!(新書より引用)
赤城 毅(著)『書物狩人』

歴史を揺るがす真実を秘めた書物を巡る短編が4本収録されてます。
ストーリーを大雑把に言うと、
ワケありの人物が書物狩人「ル・シャスール」こと半井優一のもとへ訪れ、
とある書物の入手を依頼します。
その書物には世界を揺るがすような秘密が隠されており―というような話ですかね。
状況はそれぞれ4編違いますが、まぁ話の流れでいえばそんな感じです。
JFK暗殺、キリスト教第5の福音書、ナポレオン毒殺説、中国版図の拡大を巡る『秘史』…。
設定はすんごく良いと思うのですが、
自分はいまいち話に乗り切れませんでした。
多分、自分としては書物を入手する過程が読みたかったんだと思われます。
その過程で書物の謎が解かれていく、みたいな。
ま、そんなことで文句言っても仕方無いですが。

ル・シャスール、この人の手腕は某刑事ドラマ特命係のU京さんかと思うくらいイヤらしいですね。
書物獲得には「合法非合法を問わず」ということですが、
彼自身はあんまり危ないことはしてないです。
…書かれていないだけかもしれませんけど(汗)。
入手した書物を、その書物の秘密や来歴のみならず
それに関わった人々がどう書物を扱うのかといったそれからの話まで発展してます。
凄腕でありながら一癖も二癖もある人物なんですが
それはやっぱり書物狂であるが故の言動なんでしょうねぇ。

「(中略)ひとの命なんかより、本の方が大切に決まっているではありませんか」(p.91)

この台詞が、半井の本心から出た言葉なんだなぁと賞賛する一方でソラ恐ろしくもなりますよ。
本のために確実に人殺してそうな。
実際、周りでドンパチやら人死にがあっても平然としてたしなぁ。

続編がメフィストに連載されるそう予定だそうです。
書物狩人の同僚なんか増えたら楽しいだろうなぁ。
posted by まるひげ at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-04-23

icon_45_b.gif『晩餐は「檻」のなかで』読了。


昨夜の大河は母親とのチャンネル争いに負けたため、
土曜の再放送までおあずけになりました…。

気を取り直して感想文行きます。
以前の日記で面白そうだと書いてたミステリです。
ようやく読めましたよ。
や〜、この構造はスゴイね。
最終章、「えっ!なにっ?どゆこと!?」としばし混乱。
読み返したらきっとミスリード伏線の嵐なんだろうなぁ。

仇討ちのために用意された建物―「檻」。いまここに七人の男女がいる。彼らにはそれぞれ「殺人者」「被害者」「共謀者」「傍観者」「邪魔者」「監視者」それに「探偵」という役割が与えられている。たがいに自分の役割しか知らない。だから誰にも気は許せない。やがてひとりが死体で見つかる―。気鋭が満を持して書き上げた渾身の長編(単行本より引用)。
関田 涙(著)『晩餐は「檻」のなかで』

関田さんの作品は初挑戦です。
読みやすい文章なのですらすら〜っと読了しました。

全体の構造としては、
「檻のなかの七匹の獣」という作中作パートと
その物語を執筆している売れない作家「錫井イサミ」の日常を綴っていくパートに分かれてます。
で、物語と作家の日常が交互に展開していく、というもの。

作中作パートは、
仇討ちが認められる社会のもと、仇討ち制度第1号となる事例のお話です。
「殺人者=ヤギ」「被害者=トラ」「探偵=サル」
「共謀者=ヘビ」「傍観者=イヌ」「監視者=クマ、カメ」
というような役割と名称が与えられ、
登場人物の誰がどの役割を演じているのかを推理するのも読者の楽しみ、になっているんでしょうか。
自分はメンドくさいから考えませんでしたが(←ミステリファン失格)。

それに対する錫井の実生活パートは読んでて楽しいもんじゃないですね。
登場キャラが汚くて(苦笑)。
あんまりお付き合いしたくないなぁという人ばっかりです。

錫井が折に触れて「いま、ちょうど第○章を書き終えた」などと、
作品の進捗状況を述べているので、
すっかり錫井の日常と平行して物語が進んでいくのかと思いきや。
読む側としては、
「作中作で錫井に関係するものが出てくるに違ぇねぇ。
つーか錫井が事件の「殺人者」か「被害者」のどっちかだよなぁ…」
とかアタリつけながら読むと思うのですよ。
ところがところが。
最後の最後まで気は抜けませんぞ。
1回ドデカイどんでん返しのあと、ダメ押しでもひとつドンデン返されます。
いや〜、驚きますね。
早い話、「錫井は誰か」ということなんですよね。
ま、わかったところでもうひとつの仕掛けにハマってしまうのであんまり意味は無いんですが(汗)。

最近読んだこのテの作品は模倣の殺意かな。
時間軸モノって気づくの難しい…。
posted by まるひげ at 01:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-04-20

icon_45_b.gif『百万のマルコ』読了。


や〜、楽しかった。
5分間ミステリーみたいなとんち話が満載。
短編が13話収録されてます。
さらっと読める手軽さが良い。
今から続編希望ですよこれは。

黄金が溢れる島ジパングで、大冒険の末、黄金を捨てることで莫大な黄金を手に入れた―。囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。新入り囚人<百万のマルコ>ことマルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが…。多彩な謎が詰まった、文庫オリジナル連作集。(文庫より引用)
柳 広司(著)『百万のマルコ』

マルコが語る「東方」の異国情緒溢れる雰囲気も良いです。
話のほとんどは、マルコが大ハーン・フビライの使節として辺境の地へ訪れ、
その地で遭遇した困難を鮮やかに解決していくというもの。
その出来事についてマルコが語るんですが、彼が言うのはいつも
「こんな困ったことがありました」「結果はこうなりました」だけ。
どのようにしてマルコが困難を乗り越えたのか、肝心なところがいつも抜けてるんです。
そんで、マルコが語る「ホラ話」の謎を
牢の同居人があーでもないこーでもないと議論するんです。

それぞれの話の真相は「おぉッ!」と驚くものもあれば、
「なんだソレ」と人を食ったようなものまで。
人を食った、といえばマルコの話の最後に言われる
「神に感謝。アーメン、アーメン」もなんだか馬鹿にしてる感じがします。
好みにもよりますが、
自分は「雲の南」「一番遠くの景色」「騙りは牢を破る」が好きでした。
「山の老人」も論理的で面白いんですが、
このネタ、数年前に友達からふっかけられた謎々の答えそのまんまでした(苦笑)。

語り手のルスティケロがこの議論にほとんど参加していないので
ちょっと警戒してしまいますね。
なんかワケがあるんじゃないかとかいらん勘ぐりをしてしまいました。
杞憂杞憂。


そうそう、これ読んでてなんとなぁく思い出したものがコチラ。


レイモンド・M・スマリヤン(著)/市場 秦男(訳) 『パズルランドのアリス1 』

こっちの方がアタマ使うんですけどね。
論理パズル集。
てーかそもそも、『百万の〜』とは毛色が違いますが(汗)。
posted by まるひげ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-04-14

icon_45_b.gif『凶鳥の如き忌むもの』読了。


勝手に命名「〜の如き」シリーズ2作目。
前作がなかなか面白く読めたのでこちらも期待してたんですが
他所様の感想文を拝見すると「どうも…イマイチ…」「前作の方が…」
という感想文が多かったので今まで敬遠してました。
でもやっぱり気になるので覚悟を決めて読んでみましたよ。
結論。
こちらを先に読んでいたら、『厭魅の如き〜』は読んでなかったと思われます。
や、面白いことは面白いんだけど…。
寝る直前に読了したんですが、はっきり言うと気分の良いものではないです(笑)。
夢に出てこなくてよかったなぁ。

怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる“鳥人の儀”とは何か?儀礼中に消える巫女!大鳥様の奇跡か?はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた高密度推理小説。(ノベルスより引用)
三津田 信三(著)『凶鳥の如き忌むもの』

以下、どうしようもないネタバレです。
でも叫ばずにはいられません。
未読の方はご注意あれぃ。
posted by まるひげ at 22:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-03-08

icon_45_b.gif『シャドウ』読了。


ミステリ・フロンティア、ハズレないですね〜。
って、片手に数えるくらいしか読んでないンですけど。

人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?(新書より引用)
道尾 秀介(著)『シャドウ』

ネタは決して気分の良いものではないのですが、手法が素晴らしいです。
道尾作品、前に読んだ『骸の爪』と同じく、
登場人物それぞれの認識の差異がポイントとなってます。
第三章、鳳介が学校で出された作文の宿題をパソコンで打ち込む時に、
漢字変換された文字や打った文章を見て、
思考がどんどん一人歩きするところは鳥肌モノでした。
父親の洋一郎に疑惑を持たせるところや
亜紀が公園でイタズラされそうになった出来事と絡めて
それと同じようなことが起こっているかのように読ませるところも
やってくれますね。
ミスリード、鮮やかに騙されましたよ。
それにしても鳳介良い子ですね!

ラストは犯人、あのような結末を迎えてしまいましたが、
きっと洋一郎親子(+亜紀)は乗り越えていけると思います。

以下、チミッとネタバレです。
posted by まるひげ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-02-22

icon_45_b.gif『少年検覧官』読了。


珍しく新刊を新刊のうちに読んだ作品。
…発売から1ヶ月経ってないものって「新刊」扱いでよろしいですよね?

何人も書物の類を所有してはならない。もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。僕は書物というものがどんな形をしているのかさえ、よく知らないーー。旅を続ける英国人少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。町中の家々に赤い十字架のような印が残され、首なし屍体の目撃情報がもたらされるなか、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが……。書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。(単行本より引用)
北山 猛邦(著)『少年検覧官』

良いなぁ、作品に漂うこの絶望感というか終末感というか。
クセになります。
そらもう大好きです。

水没の危機に瀕した世界。
書物が駆逐され、検閲された内容だけがラジオを通して人々にもたらされていた。
なかには紙がどのようなものであるのかさえ知らない者もいる。
紙が最後まで存在していた日本にやってきたクリスは、
森に囲まれた静かな町で起きた『探偵』による殺人事件に遭遇する―。
しかし、町の人々は『探偵』を森の番人とみなしており、
彼による殺人は不可避な災害というとらえ方をしていた。
というのがおおまかなあらすじです。

書物のない世界、「ミステリ」が何であるかを知らない世界というものは想像がつきませんね。

部分的に挿入される被害者パートも謎めいていて読ませてくれます。
それが解明されるところは、「あぁ、そうか」と思わず納得。
序奏、目を潰された少女が触れたこの世の終わり「箱庭幻想」とか
間奏、少年が発見した物言わぬ謎の少女「鞄の中の少女」とか。

ある事柄を知る者と知らざる者。
ごく単純なひとつの物事に対する認識の不一致。
こういう、認識の齟齬によるトリックて好きなんですよ。
目からウロコ感を味わえます。

以下、ちびっとネタバレあります。
posted by まるひげ at 02:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-01-26

icon_45_b.gif『メモリアノイズの流転現象』読了。


順調に積ン読本消化中。
ちょっと前に新作の出た、ソウルドロップシリーズ読んでみました。
これなぁ…カテゴリ「ラノベ」の方がよかったような。

「あの事件は終わっていない―」私立探偵・早見壬敦は、禿猿山で出会った不思議な人物から謎の言葉を聞く。その山は、二十年前一家を襲った惨劇の舞台だったのだ…。一方同じ頃、杜名賀邸では庭が爆破され、怪盗“ペイパーカット”の予告状が発見される。神出鬼没の怪盗を追うサーカム保険の調査員伊佐俊一と千条雅人が現場に急行、生命と同価値のものを奪う怪盗の標的が早見ではないかと不安を抱くが…。(ノベルスより抜粋)
上遠野 浩平(著)『メモリアノイズの流転現象』

相変わらずワッケワカラン。
とりあえず、ペイパーカットこと飴屋さんはやっぱりアレですか。
神ですか。
いえ、そうでなくても、
良いんだ別に彼が「不思議な少年」みたいな存在だとしても。
良くないのは彼が何したいんだかわかんないってことですよ。
「人間て不思議だ」とか思ってるんでしょうか。

1作目より奈緒瀬のキツさがなくなったのが誠に残念です。
その分、お兄様の壬敦さんが非常に良い味を出していなさいます。
くたびれた私立探偵バンザイ。
冴えない外見ですがかなりの切れ者。
おまけに超能力持ち。
伊佐と相性良いんだか悪いんだか。

…というか結局、飴屋さんに狙われていたのは
暗殺者ソガさんだったということでよろしいのか。
生命と同価値の何かを盗むということですが、
ソガさんの場合は暗殺者としての能力(というか意志?)を奪われちまいました。
無職となったソガさん、
壬敦さんに雇われてちゃっかり一緒の職場で働いてれば良いと思います。

見所は、
子ども(明彦)抱えながら凄い勢いで崖走り降りる千住。
最後にゃ大音量で歌いながら病院駆け込むし。
多分、どっちも無表情。
きっと明彦、トトロに初めて会った時のメイみたいな顔してたに違いない。


…すいません、いつにも増してこの本読んでない方には
何が何だかな感想文になってしまいましたわいや。

上遠野さんも今月末に講談社から新刊出ますね。
『酸素は鏡に映らない』。
あらすじ読む限りでは、ミステリーランドシリーズでしょうか。
(今回の感想文、質問ばっかりだ)
posted by まるひげ at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-01-22

icon_45_b.gif『骸の爪』読了。


ずっと気になってた、道尾さんの作品を読んでみました。
自分、この人の文章が合っているようで、読みやすかったです。
てゆーか、シリーズ2作目だったんですねコレ。
文中、前作の事件の記述がチラホラ出てきました。
が、知らなくても支障はなかったです。
しかし1作目も気になる。
そのうち読もう。

骸の爪道尾 秀介(著)『骸の爪』


なぜか甘ゾンの画像がアップされてません。
あらすじだけ引っ張ってこよう。

ホラー作家の道尾は、取材のために訪れた瑞祥房で、口を開けて笑う千手観音と頭から血を流す仏像を見た。話を聞いた真備は、早速瑞祥房へ向かう―。20年の時を超え彷徨う死者の怨念に真備が挑む、シリーズ第2弾。

…という感じ。

トリックは、認識の齟齬…身も蓋もなく言ってしまえば、勘違いのオンパレード
え、いいの?って思うぐらい勘違いもりだくさん。
見間違い、聞き間違い、考え違い…が重なって事件が複雑なモノになってます。
ということで、
勘違いだと気づくまでの過程がメイン。
終盤の解決編と意外な犯人にはそこそこびっくりしました。
ポイントは、
見ているものが同じでも、同じように見ているとは限らないんだということ。
…ですね。

そして最後の最後であの展開。
おじーちゃぁん!!
…面白い人だったのになぁ。
posted by まるひげ at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-01-20

icon_45_b.gif『スイス時計の謎』読了。



二年に一度開かれていた"同窓会(リユニオン)"の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失! いったいなぜか…。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。(文庫より引用)
有栖川 有栖(著) 『スイス時計の謎』

積ン読本消化。
目についた積ン読本から片づけてます。
行き当たりばったり読書法。
4編収録の短編集、国名シリーズ。
火村&アリスを読むのは1年振りくらいですかね。
この次の国名シリーズも、文庫に墜ち済みなんですね。
知らなかった…てーか国名シリーズ、どこまで読んだのかすら覚えてねぇ。

ということで、以下ネタバレまみれ。お気をつけあれ。
posted by まるひげ at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-01-16

icon_45_b.gif『吾輩はシャーロック・ホームズである』読了。



夏目漱石がイギリス留学中、精神に支障を来し、自分はシャーロック・ホームズだと思いこむ。下宿先の女主人が困ってワトスン博士に相談に行くことから、漱石は、事件にぶつかりワトスン博士と謎に取り組んでいくが、元来探偵の素養はなく、とんでもない迷推理を披露。ところが、ワトスン博士は、漱石の推理過程が、ホームズのそれと非常に似ていることに驚く。笑いあり、ペーソスありの極上エンターテインメント小説。(アマゾン・レビューより引用)
柳 広司(著)『吾輩はシャーロック・ホームズである』

う〜ぬ、自分、シャーロキアンじゃないからなぁ。
はっきり言いますと、『トーキョー・プリズン』よりは楽しめませんでした。
主人公のワトソン(役)が、折につけてこのことは「○○の事件」、
あのことは「××の事件」参照されたしというニュアンスが漂います。
読んだことあるのほとんどなかったので、何が何やら。
や、自分が悪いンですがね(笑)。

倫敦塔にまつわる不気味な噂が広がる20世紀初頭のロンドン。
ホームズの出張中、留守を預かるワトソンの元にひとりの日本人がやってくる。
彼は自分がホームズで、とある事情で「ナツメ」という日本人留学生の変装をしているのだ、と主張。
そんな時にやってきたのは降霊会の招待状。
そこでワトソンと偽ホームズは殺人事件に遭遇する―。
…というもの。
この殺人事件を調べていくうちに、
倫敦塔の怪異との関連が明らかになってきます。

これらの事件、真相を一言で言ってしまえば、
幽霊の 正体見たり 枯れ尾花、ですね。
怖れるのは知らないから、理解できないから、ということで。
降霊会然り、倫敦塔の怪異然り。

観点を少しズラすだけで、
今まで見えていなかったものが見えてくる、
今まで見ていた姿とは違う形でものが見える、
という論理はここでも健在です。
それは文化の違いであったり、立場の違いであったり。

徹底的にホームズの真似をするナツメ氏が笑いを誘います。
憧れの女性の前で固まってしまったり、
一生懸命自転車に乗る練習してるナツメ氏には
ついエールを送りたくなってしまいます。

ラストでワトソンについてのビックリがありますが、
どんでん返るほどのモノでもないです。
んー、でも構成としては良いですね。
「ホームズ:ナツメ」「ワトソン:○○○」という関係。

もうひとつ。
柳さんの描かれる幻惑的なシーン、今回はいつ出てくるのか
そわそわしながら読んでましたが、終盤にきました。
阿片によるバッドトリップでございました。
幻覚シーン、何故だか印象に残るんですよねぇ。
他がしっかりしてる分、異質なんです。
でもこういうシーンがないとちょっと物足りないような気になる、そんな柳作品。

「百万のマルコ」が早く単行本になってくれないか気になる今日この頃です。
posted by まるひげ at 22:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2007-01-12

icon_45_b.gif『模倣の殺意』読了。




中町 信(著) 『模倣の殺意』

積ン読本消化。
典型的叙述ミステリ。
さら〜っと書かれてるんですが、
計算された構成、精緻なミステリという印象を受けました。

ですが、「なんだか惜しいな」というのが読了後の感想。
なにが惜しいって…この作品が上梓された時期と自分が読んだ時期です。
1974年に出版された著者のデビュー作品の改稿版として2004年に再登場。
おそらく74年当時は「叙述ミステリ」というジャンルがなかったかも。
そして自分がもっと前に読んでたら
「おぉ!」と感動したかもしれない作品。
なんでしょうねぇ、文体が淡泊なせいか盛り上がることなくすら〜っと読み終えてしまいましたことよ。

というか、作品の紹介文も見事ですよね。
この作品のあらすじ読んだ時点で既に騙されてました(笑)。
ちょっと長いですが以下に載せておきます。

七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。
遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。
坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、
彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。
一方、ルポライターの津久見伸助は、
同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、
調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、
さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、
坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。
著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。(文庫より抜粋)


ラスト良いです。
秋子が坂井のアパートを去った後、プロローグに続く―という構成で。

交換殺人には向かない夜』を真っ先に思い出しました。
ってー書くとネタバレなので伏せときます(苦笑)。

余談ですが、巻末の「解説」(という名のネタバレ)が簡潔で非常にわかりやすかったです。
こんな感想文書いてみたいもんだ…。
posted by まるひげ at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2006-10-11

icon_45_b.gif『エデン』読了。



見せてくれないか、信念とやらが造り上げた楽園の姿を。
新宿のスラムで育ったストリートギャング、亞宮柾人。彼が政治・思想犯専用の特別収容所「K7号施設」に入れられた時、「闘い」は始まっていた! 知力と暴力とが交錯する近未来ミステリー。(単行本帯より引用)

五條 瑛(著)『エデン』

『瓦礫の矜持』が五條作品にしてはアレだったんでちょっと不安でしたが
やっぱり気になる最新刊『エデン』を読んでみました。
今回も帯コピーがカコ良いです。
このフレーズ、プロローグであっさり出てきたなぁ。

争いというものは他者に対する不信から始まるということは
当たり前のことなんですが、
その不信が最終的に行き着くところまでに、
どういう階級の人間がどのように状況を捉え、どのような行動をとるのか
その過程がじわじわと描かれてます。
…といっても、固い話ではないので読みにくくはないです。
ムショ内は微笑ましいシーンが多々ありますし。

結論から言うと、『瓦礫の〜』よりもかなり楽しんで読むことができました。
でも…他の五條作品と比較すると
「ちょっと最後が惜しいな」というのが正直な感想です。
最初の方は、引き込みが強かったんで期待しながらどくどく読めました。
後半になるにつれて少しずつ不安が…。
いろいろ詰め込んだものがもっとどばーんと解放されたらよかったのに。
北所長とかマリとか終身刑の皆様とか。

わがままを言わせてもらえば、あと1章欲しかった。
エピローグの前に、施設内での暴動が収まったあとの様子が見たかったです。
登場人物のその後も気になります。
おそらく、あの事件のあとK7号施設は解体されたんじゃないかと勝手に思ってるんですが。
どーなったんでしょう。

相変わらず、主人公モテモテです。
そして非常に頭の良いひとですね。
勉強ができる、というレベルではなくて頭の回転が速いと言いましょうか。
状況判断能力に優れてるのが羨ましい。

いやらしいのはカウンセラーの宇津木センセ。
食えない匂いがブンブンします。
読んでる方としては、すごく楽しい方ですがね。

一番の謎はやっぱり宇賀神。
最初と最後にちょこっと出てきたっきり、カリスマだけ残して姿消してしまいました。
てっきり柾人の父親かなんかかと思っちゃいましたよ。
ただの行きずりの男だったんですね(←誤解を招く言い方)
彼のことがもっと知りたかった。
なんつったってカリスマの塊ですから、
すごく魅力的なひとに違いない。

なんとなぁく、五條作品は早く読めるようになった気がする。
文体に慣れたんだろうなぁ。
…って今まで何冊読んでるんだよ自分。
調子ついたんで、ただいま積ン読五條本『上陸』読んでます。
基本的に1話完結なもんで早ぇ早ぇ。
posted by まるひげ at 00:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2006-09-25

icon_45_b.gif『三年坂 火の夢』読了。



「三年坂で転んでね」―そう言って兄は死んだ。火の街を疾走する謎の人力俥夫。「隠された坂」が背負う運命とは?第52回江戸川乱歩賞受賞作。 (アマゾン・レビューより引用)
早瀬 乱(著)『三年坂 火の夢』

おぉっと。
ちょっと前に読み終わった本の感想書くの忘れてた。
8月に出た第52回江戸川乱歩章受賞作を読んでみました。

何よりもまず言いたいこと。

おい、地図…。
おまえはなぜにそのようなところにおるのだ。


巻頭ならまだしも、巻末て…。
読み終わって地図の存在に気づいてももう遅いし。
そしてできれば明治期の地図の方が助かりますのだが。

「三年坂で転んでね…」という謎の言葉、
東京にいくつも存在するという「三年坂」、それにまつわる不吉な噂、
過去に幾度か発生した大火事、そのなかを何かに憑かれたように走り回る車引き…
などなど、材料はとっても良いんです。
良いの、ですが…。
なんだろう。
イマイチ雰囲気が伝わってこなかったなぁ。
期待してたよりも話に入れ込めませんでした。

話の構成としては、
帝大を退学してすぐ亡くなった兄を持つ一高受験生・実之が
兄の死の謎、そして行方不明の父の消息を求めて東京中を探索する「三年坂」パートと
探偵役の予備校教師が大火と民権運動の関連性を探す「火の夢」パートで
進んでいきます。
話が進むにつれて、これら2つのパートが交差しそうで交差しない、という
なんともわきわきする思いを味わいました。
そのわりに、謎解き部分が短くてあっさりしてます。
2つのパートが重なる時期、というか
鍍金先生と実之が会って協力しながら事件の謎を解いていく、という
展開だったらもっと話に入り込めた気がする…。

まぁ、例によって犯人は意外な人物なんですが、
その正体よりも、犯人初登場時からすでに探偵が罠をしかけていた
という真相にほほぅ、となりました。

登場人物のなかでは、探偵役の鍍金先生が良いですね。
こんな先生の授業受けてみたいわ。
posted by まるひげ at 01:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2006-09-07

icon_45_b.gif『トーキョー・プリズン』読了。



元軍人のフェアフィールドは、巣鴨プリズンの囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。貴島は捕虜虐殺の容疑で死刑を求刑されているが、その記憶からは戦争中の記憶がすっぽりと抜け落ちているというのだ。時を同じくして、プリズン内で不可解な殺人事件が起きる。その殺人は<密室状況>で為されていた。フェアフィールドは貴島の協力を得て、事件の謎を追うのだが……。
(アマゾン・レビューより引用)

柳 広司(著)『トーキョー・プリズン』

柳作品は『聖フランシスコ・ザビエルの首』に続いて2冊目。
結構評判も良いらしい『トーキョー・プリズン』読んでみました。

ちょっとこじつけっぽいトリックと
夢か現かわからない不安な幻想シーン、
他者との文化や認識の差異をキーワード(テーマではなく)とするのが氏の特徴なのですね。

ふむ、面白かったです。
最初から引き込みが強い。
それに比べてラストが惜しいのは今回も一緒(苦笑)。
以下、読みどころをつらつらと。


登場人物のなかで一番キジマが異彩を放ってます。
看守に不気味がられるほどの頭の良さとか、取っつきにくそうな人柄とか。
カコ良かったです。
うん、カコ良かった(←再確認)。
記憶喪失、そんな都合良くいくものなのかイマイチ疑問です。

探偵フェアフィールド、人探しのためにやってきたのに、
それよりもプリズン内で起きた事件の解明に奔走してばっかりです。
そうしているうちに、探し人の行方がなんとなくわかってくるのですが。

キジマから不当な扱いを受けたとして捕虜たちが供述した調書、
それは果たして本当にキジマが行ったことなのか、
失われた記憶は戻るのか―
ここがやはりミソでしょうね。

キジマの友人・イツオやキジマの婚約者・キョウコが
なんとかしてキジマの死刑判決を覆そうとしているところに、
キジマが独房内で襲われたり
裁判で必要な資料を何者かに盗まれたり
キジマの無実を証明してくれるはずの証人が行方不明になったり…
キジマの存在を消そうとする何者かの姿が見え隠れしております。
それは一体誰なんだろう、何故キジマを消そうとするのか、などと思ってるうちに
いよいよキジマの裁判が行われ、そして…
という展開になります。
これ以降はもう、なんつーかオスカル死んだ後のベルばらってゆー感じ。

暗躍してたのがあのひとだったとは。
キジマもイツオもあんなことになるとはねぇ…。
真相、意外は意外なんですが、驚きよりもやるせなさが先に立ちました。

戦争小説というよりもむしろ、エンタメ系歴史ミステリの色が強いです。
欲を言うなら、もう少しフェアフィールドとキジマの会話を見たかったなぁ。
posted by まるひげ at 03:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2006-08-27

icon_45_b.gif『カクレカラクリ』読了。



廃墟マニアの郡司朋成と栗城洋輔は、同じ大学に通う真知花梨に招かれて鈴鳴村にやって来た。その地にある廃墟施設を探検するためだ。だが彼らを待ち受けていたのは奇妙な伝説だった。鈴鳴村にはかつて天才絡繰り師が住んでいたが、120年後に作動するという絡繰りを遺してこの世を去った。今年はまさに絡繰りが作動するその年にあたるというのだ!2人は花梨と妹の玲奈の協力を得て、隠された絡繰りを探し始めるのだが…。(単行本帯より引用)
森 博嗣(著)『カクレカラクリ』

「ダ・ヴィンチ」の広告見てちょっと気になったもんで読んでみました。
それにしても、発売日に購入してその日のうちに読み始めるなんて何年ぶりでしょうかのぅ…。
遅読なため、読み切ることはできませんでしたが。

作られてから120年後に始動するカラクリを巡るお話。
読んでみたら、ひと夏の青春物語っぽく。
こんな夏休み過ごせたら良いなぁ〜という物語でした。
来月にはドラマ化なんですってね。
この作品自体、森さんがTV向けに書き下ろしたものだそうですよ。
なるほど、映像が頭に浮かびやすいわけだ。

森さんらしいのは表紙と各章の扉にのせてある散文ですかね。
まぁ、カラクリの仕掛けについては言うまでもありませんが。
posted by まるひげ at 23:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | edit

2006-06-20

icon_45_b.gif『交換殺人には向かない夜』読了。



浮気調査を依頼され、使用人を装って山奥の邸に潜入した私立探偵・鵜飼杜夫。ガールフレンドに誘われ、彼女の友人が持つ山荘を訪れ