2015-09-15

icon_45_b.gif『人魚ノ肉』読了。

新選組のメンバーが実は
百目鬼だったり肉人だったりドッペルゲンガーだったりゾンビだったり…したら
ワクワクするでねぇか!っていう企画ですねこれ。

ということで、
闇アイテム「人魚の肉」で幕末の人たち(主に新選組)がえらい目に遭うお話です。
前作『宇喜多の捨て嫁』よりもかなーり伝奇寄りになっておりまして、
こっちに来てくれたか木下さん!という感じで、わたくしとしては非常に嬉しい。
ねとっとした粘度の高い夏の夜のような伝奇モノでした。

坂本竜馬、芹沢鴨、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一、岡田以蔵…想像を絶する幕末京都伝!人魚の肉を食めば、妖に憑かれる―。時代小説界の麒麟児、書き下ろし野心作(アマゾン・レビューより引用)。
木下昌輝(著)『人魚ノ肉』

人魚の肉を食べた者はみな怪異に取り憑かれる、というか自身が人外の者に変化してしまうという。
途中、ちょっとしたホラーな描写がありますので苦手な方はご注意。
割と早い段階で近藤&沖田&斎藤が人魚の肉を口にしてしまうので
この後どうなっちゃうんだ的ハラハラ感も楽しめます。
そしてどの話も、どんな結末を迎えるのか想像できないところが楽しいですね。
それぞれの主人公に関するくせや逸話など、
史実といい具合に整合性が取れているのがうまいなぁ。
というわけで、ある程度新選組に関して知ってる人向けの作品ですな。
すべての短編が別の短編とどこかしら繋がっているので、
読了後、もう一度ざっと読み直すだけでも再発見があります。

竜馬ノ夢(坂本竜馬)
妖ノ眼(平山五郎)
肉ノ人(沖田総司)
血ノ祭(安藤早太郎)
不死ノ屍(佐野七五三之助)
骸ノ切腹(沼尻小文吾)
分身ノ鬼(斎藤一)
首ノ物語(岡田以蔵?)


以下、感想文長いので畳みます。毎度すみません。


・竜馬ノ夢
土佐の桂浜に打ち上げられた人魚の死体。
それを岡田以蔵と坂本龍馬が発見したことがすべての始まり。
「人魚の肉を食べた者は不老不死となる」言い伝えは真かどうか、
以蔵と竜馬は伝承の真偽を確かめようとする。
やがて時が過ぎ、近江屋の二階で談話する竜馬と中岡慎太郎の姿があり…。

個人的にはオチがすごく怖い。無限ループですよ。
確かにこの状況は「不死」と言えなくもないですが…死の間際にリセットボタンですもん。


・妖ノ目
水戸派の新選組(つかこの時期は浪士組か)の平山五郎が主人公。
人魚の肉を食べてから苦手なはずの左側からの攻撃が得意になり、
「刹那の先の未来が視える」ようになった平山はある日、己の死を視てしまう…。

平山の異能発現から芹沢暗殺までの流れが不安を掻き立てられます。
んでもって、副長かっこいい。


・肉ノ人
人魚の肉を食べてから異常なほど喉の渇きを覚える沖田。
やがて渇きを本当に満たすものの正体に気づき―。

池田屋事件の前後が描かれるのですが、
ここから少しずつ人魚の肉に関する情報が小出しになってきます。
沖田を取り巻く人たちの優しさが胸に迫ります。特に山南さんよ…(涙)。


・血ノ祭
主人公は安藤早太郎と京の老舗の扇子商・駿河屋永兵衛とのW主人公っぽい。
人魚の血肉と切支丹の呪法との関連性、
人魚の肉を隠し持っていた以蔵のその後、そんでもってホラー。
ラストの風景描写が切ない。


・不死ノ屍
‟強運”に恵まれた佐野七五三之助が新選組を離局しようとするが…。

この七五三之助と大石鍬次郎の確執を中心に描かれる、割と短めの話。
ヤンデレ鍬次郎が怖い。怖いんです。


・骸ノ切腹
市中見廻り組の沼尻小文吾と勘定方の河合耆三郎。
武士の出ではない下っ端隊士と
局長・近藤との交流が厳しくも暖かいのですが、
耆三郎が隊の金を着服した罪で切腹させられ、小文吾がその介錯をした日から異変が。
さらに処刑された近藤の首のない骸が小文吾の前に現れて…。

これもややホラー風味。
でありながらも、近藤・小文吾・耆三郎の3人が救われるラストは一種の清々しささえ感じられます。


・分身ノ鬼
伊東一派御陵衛士として一時的に新選組から離れた斎藤一。
もう一人の自分が存在していることに気づき…。

良いですなぁ、この構成!
斎藤の行く先々にもう一人の自分がいて、お互いが対立する立場にある…
つまりは殺し合う関係にある己の分身との戦いは、
剣豪小説のような気迫が読みどころでもあります。
どっちの斎藤が生き残ったのかわからないラストの死闘、たまらん。


・首ノ物語
これだけ単体で読めば、主人公は晒し首となった以蔵の首の見張り役の男なんですが…
出てきた感想は「京都、怖い」でした。
短編中、もっとも短い話。


お遍路さんのような白装束の人たちの正体は結局なんだったんだ、とか
山崎烝の弟である林五郎が新選組に身を置きながら新選組を憎む理由が
ちょっと弱いかなぁとか思ってみたりして…。
posted by まるひげ at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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