2015-06-27

icon_45_b.gif『忍者だもの』読了。

タイトルは「忍者だって人間だもの」ってところでしょうか。
個人的には柴錬&山風が好みでした。

明智光秀、突然の謀叛。そのとき信長方の忍び・九十郎は……(「鬼火」)。職人として腕を磨き、子も生まれた。順風満帆な万作に、ある知らせが(「赤絵獅子」)。不義密通の許しを得たければ、我らの面前でこの女と再び交合せよ――。頭領は若き手下に命じた(「忍者服部半蔵」)。誰よりも速く走り、跳び、隠れ、騙す。けれど心にいつも巣食うのは、孤独と葛藤。笑って泣ける、傑作忍者小説五編(文庫より引用)。
縄田 一男(編)『忍者だもの』

副題には「忍法小説五番勝負」とありまして
大御所作家5名による、忍者を主人公とした短編アンソロジーです。
忍者と言っても超能力まがいの忍術使って云々…というものではありません。
忍者らしいキャラもいればそうでもないキャラもいて
それぞれ個性が異なるので、読んでいて飽きませんね。
ですが、性格は違えど共通している部分は一緒。
どの主人公忍者も、己の信念に従い生きていく姿が描かれております。
目次と簡単なあらすじ&感想文は以下の通り。

・池波正太郎「鬼火」
・柴田錬三郎「蜀山人」
・織田作之助「猿飛佐助」
・平岩弓枝「赤絵獅子」
・山田風太郎「忍者服部半蔵」

・池波正太郎「鬼火」
明智光秀の密書を毛利方に届けるためにひた走る伊賀忍者・伝蔵。
それを奪い秀吉に届け褒美をもらった甲賀忍者・九十郎。
30年の月日が経ち、再度対決したふたりだが―。

任務を全うできず、人を捨てた忍びと
他方、任務を全うし、人となった忍び。
ラストで両者の立場が逆転しますが、
どちらが幸せかというと、どちらも幸せではないんですよね…。
池波作品は一番読み慣れているせいか、すんなり読めました。

・柴田錬三郎「蜀山人」
江戸の庶民の味方・怪盗「自来也」の正体を突き止めようする南町奉行所の与力。
狂歌仲間で風流人の蜀山人こと大田直次郎に目をつけるのだが―。

蜀山人の正体に迫る与力の頑張り具合と、
洒脱なやり口でお上を出し抜く自来也の振る舞いが痛快。
5編中、最もさわやかな読了感でした。

・織田作之助「猿飛佐助」
猿飛佐助のわくわく冒険譚という趣なのですが…。

あとがきにて縄田氏が面白さを絶賛しておりつつも、読むのが苦痛でした。
コンプレックスの塊のブサメン佐助がとにかく五月蠅い。
お前は躁か!
くっちゃべってないでさっさと動け!!
…すいません、自分には合わなかったようです。

・平岩弓枝「赤絵獅子」
鍋島藩の御用赤絵師として順風な暮らしを送っていた万作であったが、
その出生にはとんでもない秘密が隠されており―。

これは江戸の市井ものを得意とする作家さんならではの作品でした。
実の父を知らない主人公が実父を知ることで悲劇が始まるという流れがつらい。
ラストは涙ものです。

・山田風太郎「忍者服部半蔵」
3代目「服部半蔵」正重の弟である京八郎正広。
忍者の修行に落第して以来、遊び惚けてばかりの軟弱者の弟である。
これを半蔵が成敗しようとしたところ、とんでもない事件が出来し―。

この弟のキャラが面白い。
忍者の修行や技術を批判するのですが、そのどれもが至極合理的で現実的な考えなんですよね。
「それを言っちゃ元も子もないよ!」というレベル。
忍者全否定のこの京八郎がラストは……これは痺れますね。かっこいい。
やはり京八郎も忍者であったんだなぁ、と。しかも天才型だよ恐ろしい。
ちなみに主人公の半蔵つーのは
3代目…と見せかけて4代目…って、あれ? W主人公って感じで良いのかしら。
posted by まるひげ at 23:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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