2013-11-10

icon_45_b.gif『とっぴんぱらりの風太郎』 読了。

現状に流されて生きてきた風太郎が、絶望的な状況のなかで見つけた自らの信念。
忍び仲間たちが胸に抱えるそれぞれの想いと決意。
つないだ希望と果たされなかった約束。
ほんのり切ないラストに静かな溜息が出ます。

天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?(単行本より引用)
万城目 学(著)『とっぴんぱらりの風太郎』

ファンタジー要素ありのエンタメ時代小説でした。
片手で読んでるといつの間にか手が痺れてる重さです。流石に746ページ。
大坂冬〜夏の陣を背景としておりますが、
有名な大名やら武将やらが登場するわけではありません。
主人公との関わりで、高台院や伊賀藩主の高虎がちょろっと出てくる程度です。

出来損ないとして伊賀の国を追い出された主人公・風太郎(ぷうたろう)。
相棒である南蛮生まれの忍者・黒弓の手違いから自分の望む未来を棒に振ったと根に持ち、
「こんなはずではなかった」と詮無いことを愚痴りながらのグダグダ生活が始まります。
自分は何者なのか、これから何をするべきか、将来に漠然とした不安を抱える
彼の精神状態は現代人とも大差ないです。
そんなある日、風太郎の前に自らを“因心居士”と名乗る謎の幻術士が現れ、
「ひょうたんを育てよ」と告げられます。
伊賀つながりの店のよしみで仕事をもらいながらひょうたんを育てる風太郎。基本素直です。

やがて風太郎が秀吉の正室であった高台院から依頼を受け、
とある貴人の護衛を任されるところから物語は本格的に動き出します。
この貴人と高台院の関係は?
幻術士の目的は何か?
そして落城間近の大坂城で風太郎が手にしたものとは―

という展開で、中盤以降は読むスピードが上がります。
ちなみに、読みどころは終盤。
燃えさかる大坂城へ乗り込むところは戦闘シーン続きで緊迫感がハンパない。
同じ作品とは思えないくらいのテンションでした。

以下、気になった点をふたつほど。
読み直してみると、物語序盤から主要な要素が登場しているのですが、
いかんせん話の進みがゆっくりなので、ちょっと間延びしてる感があります。
このボリュームですので「読んだなぁ」という達成感はあるものの、
果たしてこれほど長くする必要はあっただろうか、疑問が残ります。

時代のせいか、みんなあんまり忍びっぽくない(苦笑)。腕は良いんだけども。
忍び仲間たちもキャラが立ってるので会話シーンは退屈しませんね。
でも一人くらい(頭目の釆女様はともかく)忍びらしいキャラがいても良かったのかな。
あと、凄腕の敵キャラ・残菊に最後まで手こずるとは予想外でした。
予想外と言えば、まさか主要キャラほとんど死んでしまうのが寂しい。
posted by まるひげ at 01:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
icon_45_b.gifこの記事へのコメント
icon_45_b.gifコメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。