2013-10-12

icon_45_b.gif『姉川の四人 信長の逆切れ』読了。

高潔で武勇無双な浅井長政。超人です。
戦後の論功行賞で美形スマイルを惜しみなく振り撒く信長。ご機嫌です。

どちらも怖いわ。

あの屈辱の金ケ崎の敗戦から三ヶ月。復讐に燃える信長は、盟友・家康をこきつかい二倍近い大軍で浅井長政領内奥深くに攻め込む。楽勝かと思いきや、とことん弱い織田勢は…大誤算にキレる信長、一撃で粉砕、弱すぎる秀吉、どこにいる?光秀、またも巻き込まれた家康。のちの天下人・四人の悪戦苦闘をコミカルに描く痛快歴史小説(アマゾンレ・ビューより引用)。
鈴木 輝一郎(著)『姉川の四人 信長の逆切れ』

独特の人物設定と会話の妙が読んでて楽しいこの「四人」の困ったさんシリーズ。
今回は姉川の戦いにおける四人のドタバタ劇を描いております。
ちなみに史実では光秀はこの戦いに参加した記録はありませんが、
作中では将軍家につくか織田家につくか迷っており、
姉川の戦いにはとりあえず「一山当てる」つもりで参戦(というかほぼ傍観)
という設定になってます。
主人公は、やっぱり巻き込まれ体質の家康。

今作の四人をひとことで言うと。
・コミュ障兼人間不信兼神出鬼没のコスプレ魔の信長。
・「この人居ないと織田家が機能しない!でも兵力はゼロ」…何がなんでも死にたくない秀吉。
・貧乏性を正室からいびられたり息子の将器に嫉妬したり…家中より家庭内に問題のある家康。
・家康が迷うとすかさず懐からサイコロやらちょぼ札やらを差し出してくるバクチ屋光秀。
ちなみに脇役では、稲葉一徹が良い味出してます。
光秀と一徹のじじぃ同志の確執もチラリ。

冒頭、信長が千草峠で何者かに狙撃されるところからスタート。
犯人は最後になるまで判明しないので、疑われるのが例の3人なわけですよ。

家康→伊賀者をかかえているから暗殺しやすい?
光秀→将軍・義昭から密命を帯びている?
秀吉→信長が死ねば織田家乗っ取る or 他家に高禄で召し抱えられる?

といった理由でそれぞれ容疑者扱いされてます。
そういった状況下で、とりあえず「浅井長政ぶっ殺す」宣言をした信長。
信用しきれない者たちに囲まれながら、
果たして強敵の浅井勢を打ち破ることはできるのか―という内容です。
後半が良いですね。
織田軍の備えを次々と破っていく浅井軍の勢いに
家康、一時は信長を裏切ることまで考えます。
焦りに焦る家康の心理が読者にまで伝わってきます。

テンポは前作の方が良いです。
と言っても、長くなった分、戦闘に関する薀蓄がふんだんに盛られているので
読み応えがあるという面もあります。
後書きにありましたが、作者自ら戦場跡を何度も地取りし
史料の記述と実際の地形とを比較したうえでの戦闘描写が詳細です。
このシリーズは、珍しい人物設定と軽妙な会話シーンが話題に上がりますが、
戦闘や当時の時代背景に関わる解釈の筆致はとても鋭く冷めてます。このギャップも素敵。

ということで、今回も楽しく読ませて頂きました。
このシリーズ、本能寺まで続いてくれないかしら。
posted by まるひげ at 23:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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