2013-08-12

icon_45_b.gif『関ヶ原』読了。

図書館レンタ本。

結果的にみんな「こんなはずではなかった…」感が半端ない。

秀吉の死後に豊臣家で起きた内部抗争を、三成の娘・辰姫を養女にし、天下の平安を願い続けた寧々はどんな思いで見ていたのか? 三成・家康の視点を交えて描く「寧々の関ヶ原」(アマゾン・レビューより引用)。
岡田 秀文(著)『関ヶ原』

物語は秀吉の死の直後から始まり、
関ヶ原の戦い後、寧々に預けられていた三成の三女・辰が津軽家へ引き取られるところまで。
父の勝利を願い、その身を案じる辰は7歳とは思えない落ち着きを見せておりました。

三成と寧々の不仲説に新解釈、というフレコミでしたが、
読んでみたら新解釈ってほど目新しいものではないかと。
三成、家康、寧々、三者の視点からの関ヶ原を描いた作品でした。

ここでの三成は、
当初は家康の野心を警戒しつつも、その人望と軍事力を頼みに連携して
政権を取り仕切っていこうと半ば本気で考えているところが面白い。
家康が秀吉の望み通りに振る舞うならば家康を支えていくよ! 的心意気です。
ところが、利家の死後から豊臣家をないがしろにし、
三成と敵対する立場をとった家康は打ち倒すべき存在となります。そっからは容赦ないです。
と同時に、寧々のもとには幼い我が子を預け、出自を隠して養育してほしいと依頼したり。
利家存命時点でのこの行動、三成の覚悟の程が推し量れようというものです。

一方、利家の死後は「三成ごとき何も出来ないだろう」と高を括っていた家康。
ゆるやかな政権簒奪を考えていたものの、
自らの天下取りへの道を大きく狂わせられたことに気づき、三成を徹底的に警戒し出方を窺います。
時が経つごとに、家康にとって悪い方向へと動いていく情勢。
この作品での家康は8割方焦ってます。

そしていまひとりの重要人物である寧々は、
豊臣家のため、秀頼のために、家康に従うことを余儀なくされます。
家康の律義さを信じつつも信じきれない、
中途半端な気持ちに懊悩し続けた寧々が下した決断は
「どちらの味方にもつかない、和平の使者となる」というものでしたが…。
秀吉の死後は徳川へと傾く時勢とはいえ、

「避けられぬ戦であるなら、秀秋にかぎらず、自分の身内たちには、大坂のため、
豊臣のため、戦って欲しい。」(p.281)


この独白が偽らざる寧々の本心であったと心情的に納得できますな。

また、関ヶ原の戦いは東西両軍それぞれに身を置く大名たちにとっても
自身の思惑の齟齬が続いた末の戦であったことが描かれます。
ある理由により天下を望んだ輝元、
豊臣家への忠義心と家中の徳川派の家臣たちとの板挟みに苦しむ秀秋など
「なるほど、そんな風に考えていたのかも」と思える心理描写でした。

あと、どうでも良い注目点。
佐和山主従は、落ち着いたもん(?)です。『太閤暗殺』でのキャッキャぶりどこ行った。
結構喧嘩っ早いというか家康始末を主張するのが左近で、
三成は戦が諸処にもたらす影響を慮り、
ぎりぎりまで武力に訴えることを回避しようとします。
こういったところは「暗殺は卑怯だ」と正義感に燃える三成が反対した、
とするよりも現実的で良いですね。
posted by まるひげ at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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