2013-04-24

icon_45_b.gif『時限の幻』読了。

図書館レンタ本。

政宗と盛備、二人静かに並んで座ってるのにテーブルの下ではお互い足蹴り合ってる、そんなイメージ。

天下の趨勢が織田信長に傾いていた戦国中期。「会津の執権」金上盛備は、ときに政略結婚で隣国の動きを封じ、ときにあえて仇敵と同盟を結び、巧みな外交術で主家・蘆名氏を支えていた。しかし本能寺で信長が倒れるや、天下を狙う隣国の若き当主・伊達政宗が牙をむく。一気に蘆名を平らげるべく暗殺者を送り込んだのだ──。合戦の勝敗は、始まる前に決まる。「外交の達人」金上盛備と「独眼竜」伊達政宗の、奥州の覇権を懸けた謀略合戦が幕を開ける(アマゾン・レビューより抜粋)
吉川 永青(著)『時限の幻』

ダブル主人公となっております。
一人は説明不要の独眼竜・伊達政宗。
二言めには「殺すぞ」って言う結構なDQN坊ちゃんでございます。
もう一人は、巧みな外交手腕を称えられた「会津の執権」こと蘆名家筆頭家老・金上盛備。
…マイナーですねー(笑)。
会津を治める蘆名一門衆の家柄でありながら
家臣としての立場を貫き、会津の守りに生涯を捧げた人物です。頑固で真面目な爺さんでした。
天下取りのために時を早く進めたいと願う政宗と
蘆名家家中をまとめるために時を止めたいと願う盛備。
とぢらの願いも時限のものであり、結果的には幻となってしまったという物語です。

お話は伊達と蘆名の内情が交互に語られる構造となってます。
政宗が家督を継いでから勢いを増す伊達家には
先代からの有能な軍師や多くの若い家臣たちの支えがあったのに対し、
蘆名家は主君が相次いで亡くなり、
譜代の家臣たちと他家から迎えた主君の家臣たちとの軋轢、
すれ違いや主張の相違による盛備の孤立化など、落ちぶれる一方です。
なんかもう、蘆名サイドがガタガタに崩れていくさまが哀れでいたたまれない。
盛備おじいちゃん一人で頑張ってるからに!

伊達と蘆名、正面切ってぶつかり合う戦はあまりなく、
大きな戦いは人取橋の戦いと摺上原の戦い。
それ以外は血で血を洗う謀略やら調略の応酬が描かれます。
水面下での熾烈な戦い…えげつないです。

蘆名を手に入れたけれど、天下を取るという最大の目的は果たせなかった政宗。
家中をまとめ切れなかったけれど、天下が定まるまで蘆名家を存続させた盛備。
結局は政宗も盛備と同じように、家名を存続させるために天下人へ従うという道を選びます。
盛備があったればこそ、天下への野望を燃やし続けられた政宗という構図が良いですね。
情感を抑えた筆致で割と淡々と進むのですが、ラストは少し切ない余韻を残しておりました。
posted by まるひげ at 23:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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