2012-11-30

icon_45_b.gif『小太郎の左腕』読了。

今月もあと30分で終わりだというのに、今月の積読本消化1冊目を紹介。


そうだよね、ラストはあぁなるよねー。
鼻の奥ツーンとする感じです。小道具の扱い方が小憎らしい。
どうでも良いが、不気味忍者は結構好きだったりします(笑)。

一五五六年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、もはや開戦を避けられない状態にあった。後に両陣営の命運を握ることになるその少年・小太郎のことなど、知る由もなかった―(単行本帯より引用)。
和田 竜(著)『小太郎の左腕』

久しぶりに和田作品を手に取りましたが、相変わらず読みやすいですね。
自らの信念を命を懸けて貫き通す武人の清々しさと物語展開のやるせなさが今作の特徴でしょう。
戦闘シーンから始まる冒頭からぐぐっと引き込まれます。
あらすじは公式のとおり…ってこれだけだとわかりづらいのでちと補足。

所領争いを繰り返していた地方領主の戸沢家と児玉家。
戸沢家の猛将・林半右衛門は戦で怪我を負ったところを、
猟師とその孫である小太郎に助けられます。
普段は「阿呆」と蔑まれる小太郎ですが、
いざ左撃ちの銃を持つと、神が宿ったかのような超人的な鉄砲の撃ち手へと変貌します。
半右衛門と小太郎の出会いが、二人のその後の運命を変えることとなり―というお話です。
「人並みになりたい」という少年の願いは叶えられるのか、
半右衛門の戦いの行方は…これは一気読みルート一択でございました。

今回も登場人物で読ませてくれます。
主人公は戸沢家の重臣・林半右衛門。
嘘や卑怯な振る舞いを嫌う、とことん真っ直ぐな武人(35)です。
サブ主人公として、神が宿るかのような鉄砲の腕を持ちながら、心根が優しすぎる少年・小太郎。
小太郎の能力が戦に利用されることを怖れ、身を隠すように生きてきた元雑賀衆の要蔵。
“好敵手”という言葉がぴったりの児玉家の勇将・花房喜兵衛。
半右衛門の養育係である老武者・藤田三十郎。
半右衛門と喜兵衛の戦場での掛け合い、
半右衛門&三十郎の漫才のような会話が微笑ましかったです。おじいちゃんかわいい。

勝つ見込みのない籠城戦から兵たちを救う将としての行動が
半右衛門という人間の根本を崩してしまうことになる展開がやりきれない。
「卑怯な真似は決してしない」という誓いを自ら破った瞬間、
その後の展開がなんとなく読めるのが残念といえば残念。
ああ、この人死ぬんだな」という予感が濃厚に。
それほど、半右衛門のひととなりや考え方が自然に読み手に伝わってきます。
いやー、和田さんってば、豪快で真っ直ぐな武人を魅力的に描くのが本当にうまい。
『のぼうの城』だと和泉&正木、『忍びの国』だと大膳みたいな。

一方、小太郎には不思議なほど感情移入できず。
小太郎の「人並みになりたい」というささやかな願いへの対価はあまりにも大きく、
心根が優しすぎるこの少年には過酷な運命となったわけですが。
それでもね、小太郎には銃を捨てずに生きる道を選んで欲しかったと思うのでありますよ。
すべてを失う原因となった異能の左腕であっても、
それごと抱えて生きていくべき、と思うのは現代人の考え方なんだろうなぁ。

あとは…
憎まれ役・戸沢図書の心情が正直よくわからなかった。
半右衛門に対する劣等感やそれによるあてつけってのは理解できますが、
配下の娘に手を出してるって擬態は、はたして必要だったろうか?

…いつもの如くキャラ話に流れてしまいました。
次回作『村上海賊の娘』も楽しみです。
posted by まるひげ at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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