2012-06-20

icon_45_b.gif『ふたり、幸村』読了。

図書館レンタ本。

おそらく、山田作品初読者には敷居が高い作品ではないかと。
誰のことですか私のことですよ。

講談で真田信繁の“別名"として描かれる幸村だが、信繁とは別に、実在していた?戦乱の天正十一年。諏訪大社の雑人ににして、真田家から微禄をあてがわれ早飛脚をつとめる少年、雪王丸は、諏訪湖の御神渡りを目の当たりにしていた。激しくひび割れる氷の音は、雪王丸のその後の波瀾の人生を予感させるようであった。数奇な運命に導かれ、雪王丸は真田幸村と名乗り、戦国の世に羽ばたく。史実の間隙をつく鮮やかな筆致で描く、戦国時代エンターテインメント(単行本より引用)。
山田 正紀(著)『ふたり、幸村』

物語の核の部分をいまいち読みきれていない気がするのは、
作者の意図していた「マジックリアリズム」の手法が個人的に苦手なせいもある。
どうにも話に入り込めなかったわ…。

それはともかく。
あらすじにある「戦国時代エンターテインメント」と聞いて
想像するような内容とはかなり違っておりました。
血湧き肉踊る系の時代小説ではありませんので、これから読む方はご注意あれ。

現実と夢、過去と現在が錯綜する、非常に壮大な物語でした。
幻想的というか観念的というか…むしろSF?
大きな歴史の流れと、それを見下ろす神鷹の視点がキーポイントです。
ストーリーは、
「信繁と幸村は別の人間だった」という設定で始まり、
主人公である雪王丸(=幸村)の少年時代からその死までが描かれます。
信繁の影武者となった幸村は、
望月六郎、山本道鬼斎、真田昌幸ら“軍配師”との交流を通して
自らもまた軍配師として歴史に名を刻むことになるのですが…。
ポイントは、この幸村の英雄譚がメインではない、というところなのです。
禰津甚八、海野十郎ら真田十勇士は、作者の都合により八勇士に。
リストラされたのは入道と名のつく2名様です。
作中、人でない形で名前だけは登場してますが(笑)。

中盤以降の展開は
史実に対する作者の考察が続きます。
そもそも、戦国時代とはどのような時代であったのか?
何故、関ヶ原で真田家は西軍と東軍へ分かれたのか?
何故、関ヶ原合戦後、昌幸と信繁は九度山配流だけで済んだのか?
何故、大坂冬夏の陣に関する文献では、徳川時代以降に書かれたにもかかわらず、
敵方であるはずの大坂の武将が過大なまでに褒め上げられているのか?
これまでの解釈をバッサリ斬り、史実の背後にある謎を作者が暴くのですよ。
ある意味、ここが一番読み応えがありました。
昌幸と家康の密約なんて、パッと考えただけではあり得なさそう…
いやいやちょっと待てよ!な感じでワクワクするでねぇか。

個人的には、
若かりし頃の藤原惺窩が雪王丸に語った蝸牛の神話と、
ラストの締め方がとても良いと思います。
posted by まるひげ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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