2011-03-01

icon_45_b.gif『秀吉の枷(上)』読了。

『信長の棺』を読んだ後、2作目を読もうかどうしようか悩んでいたところ
Excaliburさんのblogでオススメを頂いたので、ボリュームに負けじと読んでみました。

「本能寺の変」の後、遠く離れた地から電光石火で京に戻り、謀反人・明智光秀の首を取る。この「中国大返し」に太閤伝説最大の謎が潜む。信長の跡目争いに羽柴秀吉を突き動かした、ある使命とは。そして本能寺に隠された秘密とは。史実の行間をスリリングに読み解く本格歴史ミステリー(アマゾン・レビューより引用)。
加藤 廣(著)『秀吉の枷(上)』

いわずもがなの『信長の棺』を、主人公を秀吉にして再構成したお話です。
…といっても、前作のように時間が遡ったりしておらず、
三木城の戦いから秀吉の死までが時系列に沿って描かれてるので
こちらの方が読みやすいかもしれません。
と言いつつも、
前作では牛一側の視点で述べられていたアレやコレやの事件を
秀吉サイドから描写しているので、
観点が変わっている部分を見つけるのも楽しいものです。

ちなみに上巻は、半兵衛の死から本能寺の変を経て秀吉が天下を取り、
大坂城を新たに築くところまで。

物語の序盤、死の床にありながら
「秀吉は信長よりも大きな器をもっているのだから、
早急に信長を捨てるか、あるいは信長を踏み台として利用するべき」
ということばを秀吉に囁いた半兵衛。
この半兵衛の遺言が、秀吉を呪縛しているような雰囲気が漂います。

当初は「そんな大それたことを…」と恐れていた秀吉ですが、
その後の信長の行動を観察していくうちに
徐々に主君を冷めた侮蔑の目で見るようになります。
さらに、半兵衛のもうひとつの遺言であった
諜報の重要さを認識した秀吉は
敵方だけではなく、味方である織田家中にも忍びの者を放ち、
少しずつ、だが確実に自らの野望のため動き出します。

ということで、上巻は秀吉が天下を取るまでのサクセスストーリー…
のはずなのですが、
小心者で野心家の内面がこれでもかと暴かれます。
人たらしな発言や豪気な行動も多々あるんですが、
それ以上に印象づけられるのが秀吉の暗黒面かと。
ここまでじとっとじめっとした内容であれば、
普通なら一人ぐらいサワヤカ担当の人物が登場するもんですが…どこにもおらぬ。
清涼剤キャラが欲しいところです。
清玉上人は…サワヤカ系とは違うしなぁ。

秀吉は半兵衛の死後も、ことある毎に半兵衛を思い出し偲んでます。
一方、もうひとりの軍師・官兵衛とはちょっと距離を置いてます。
心の裡を見せない官兵衛に
秀吉は一抹の不安と嫌悪を抱き、警戒している感じです。
裏の仕事を任せた前野将右衛門に対しては
秀吉が唯一弱みを吐くことができています。
あと、登場人物といえば
「ミソサザイ、ミソサザイ…」とブツクサ言いながら
実子ではなかったという設定の嫡男・信康を始末した家康が不気味。
…下巻に続きます。
posted by まるひげ at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時代・歴史モノ | edit | web拍手
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『秀吉の枷』 加藤廣
Excerpt: 前作『信長の棺』では「信長公記」の著者・太田牛一の目を通して織田信長という人物を描き、「本能寺の変」の真相に迫らんとしていたが、本作の主人公は羽柴秀吉である。 だが単純に「秀吉=黒幕説」を取らずに、..
Weblog: 【徒然なるままに・・・】
Tracked: 2011-03-02 06:21