![]() | 群れず、欲のみに生きる、虎狼の族、伊賀忍び。 伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、お国の尻に敷かれ、忍び働きを怠けていた。主から示された百文の小銭欲しさに二年ぶりに敵の伊賀者を殺める。そこには「伊賀天正の乱」に導く謀略が張り巡らされていた(単行本帯より引用)。 和田 竜(著)『忍びの国』 |
引き込みの強さは前作『のぼうの城』と一緒です。
読みやすく情景が浮かびやすいので、やっぱり印象は少年漫画(笑)。
前作よりもザンコク描写が多いので、
そちら方面が苦手な方は、要注意です。
それにしても、ロクな奴がいないですね、伊賀忍者。
命より大事なものは金、出し抜き上等、裏切ってナンボの世界です。
織田信長による「天正伊賀の乱」の前日譚となっております。
伊賀攻めの先鋒は、信長の次男・信雄。
物語の冒頭において、伊勢の国主であり、舅でもある北畠具教を殺し、
織田による伊勢の取り込みを狙います。
北畠が滅んだ後、残る邪魔者は伊賀の忍び衆のみ。
同じ頃、伊賀の里では下忍同士の争いで命を落とした弟の仇として
伊賀の里すべてに復讐を誓った下忍・平兵衛が里を抜ける決意をします。
迫り来る織田軍に対し、伊賀の国の十二家評定衆はどう立ち向かうのか―という内容です。
スポットが当たってるのは、
伊賀十二家評定衆の百地三太夫が飼う忍びの中でも超一流の忍び・無門と、
のちの石川五右衛門である文吾、老いを怖れる木猿。
伊賀を攻略する信雄サイドでは、
ヘタレ信雄の臣下である日置大膳、長野左京亮、そして
かつては伊賀の十二衆であり、今は信雄に仕える柘植三郎左衛門あたりが活躍してます。
いざ、伊賀攻めとなった矢先に、
大膳が過去の出来事との不可解な一致に、
謀略の匂いを嗅ぎ取るとこあたり、カコよいですね。
一番の読みどころは、伊賀十二衆の謀略の全貌がわかる後半と、
それに続く無門 VS 大膳 ですかね。
無門、もはや人外じゃねぇか…(怖)。
以下、ちょっとしたネタバレと腐発言ありなので注意です。
この作品のメインは勿論、
織田軍と伊賀の思惑、無門の心の変化なんですが…もひとつは。
大膳×信雄。
コレですね。
またか自分…ッ!(血涙)
なんだろうこの「行間読みしてください」と言わんばかりの両者の関係はぁ!!
信長という巨大すぎる父親を持ってしまった故の葛藤と鬱屈を抱える信雄。
一方、信雄と日々衝突し、苦々しく思っていた大膳は、
本気になると主君を「小僧」呼ばわりです。
信雄の臣下誰もが感じていながら、
憚って口にできないでいたことをズバッとぐさっと信雄に突きつける大膳。
大喧嘩をやらかした後のこの主従の関係が、大層微笑ましゅうござりました。
ごちそうさまでしたー。
大膳、えぇ漢だのーぅ。
あ、ちなみに大膳と左京亮のダチっぷりもとても良い感じです。
親友の暴走を気に病む左京亮は苦労人ですね…。
無門が惚れたお国さん、
彼女のどこが良いのかわかんないんですけど、
とにかく無門が逆らうどころか口ごたえも出来ない状況です。
えーと…
「尻に敷かれてる」というよりは全く相手にされてない状態ですね。
飄々とした態度で楽々とこなす忍び働きの後に、
稼ぎが少ないとこっぴどく叱られてしゅんとなってる無門のギャップがすごいです。
これぞ劇的ビフォ●アフター。
『のぼう〜』と違って、サワヤカな読了感は得られないのですが、こんなラストもありですね。
結局は鉄の世話になるのね、無門…。
ということで、大層面白く読めました。
次作はいつ、どこの国の話なのか今から楽しみです。


カテゴリーで時代物が一番多いので、ちょっとオススメさせてください。
矢野隆さんの「蛇衆」、軽めですけど、よかったら(記事あります)。
トラックバックさせていただきました。
そうですね、ほんとにこの作家さんはキャラを立たせるのが上手で(笑)。
『蛇衆』、実はちょっと気になってました。
軽めなんですね。
…ということは、読みやすいのでしょうか。
ではでは、藍色さんの記事、拝見させてくださいませ♪